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朝起きたら、 飼い猫が美女になっていた  作者: ベル


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第十五話 猫用品売り場

日曜日、こはくは美咲と出かける支度に時間をかけていた。


淡い黄色のブラウスとスカートを合わせ、鏡の前で何度か髪を直す。


「これどう?」


「似合ってる」


「早い」


「前に聞かれて学習した」


こはくは満足そうに出ていった。


家に残った直人は掃除と洗濯を済ませた。


以前なら一人の静けさに慣れていたはずなのに、今は少し広く感じる。


昼過ぎ、こはくから写真が届いた。


美咲と食べている昼食と、猫の形をしたクッションが一緒に写っている。


《これかわいい》


《買うの?》


《考える》


夕方、こはくは紙袋をいくつか持って帰ってきた。


服と髪飾りを見せたあと、スマートフォンの写真を一枚開く。


写っていたのはペット用品売り場だった。


「行ったんだ」


「同じところあった」


猫だった頃に食べていたフード、似た形の爪とぎ、好きだったおもちゃ。


「美咲に猫いるのって聞かれた」


直人が身構える。


「何て言った?」


「前にいたって」


「そう答えたのか」


「猫の私は、今はいないから」


こはくは写真を見たまま言う。


「猫だった私、いなくなった?」


直人はすぐには答えなかった。


「いなくなってないだろ」


「でも使わないもの増えた」


「身体は変わった。でも、前のことまでなくなるわけじゃない」


こはくは考えて、直人の隣へ座った。


「美咲にもこれする?」


そう言って、直人の手を自分の頭へ持っていく。


「しない」


「何で?」


「これは、お前だから」


言ってから直人は気まずくなった。


こはくは何も突っ込まず、目を細めた。


テーブルには、猫用品売り場で撮った写真が表示されたままだった。

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