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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
4章 あらたなおともだち

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第16話 さらなる境地へ……

「モル丸! 待ってろ! 今経験値作るからな!」


「んぐんぐんぐんぐ……プハア! はい、経験値! もっといるわね!」


「主の主……女神様…! 我の為に……! この恩は忘れませんぞ!」


 モル丸のレベリングが開始してから十五分が経過した。


 パンさんが貯め込んでいたゴミが枯渇してしまったため、我らモル丸強化団は、新たなゴミを必死に生み出している。


「ッカー! っぱ、これよぉ! あ、パンさんも冷やしトマトどうだい?」


「あら、いいわね……んぐんぐんぐ……っくっはー! 最高ね!」


 ……決して、モル丸をダシに昼間からビールクズをやってるわけではない。


 空き缶という、高効率のレア素材を調達するために必要なことだから仕方がないのである……。


「よーし! おじさん、元気出てきたから張り切って喰わせるぞー!」


「あっはっは、いいぞいいぞー! あたしもがんばっちゃお!」


 なんか楽しくなってきちゃったんで、使われないままアイテムボックスに貯め込んでた素材もどんどん喰わせていく事にした。


 木材によくわからん草、ノリで取っておいたよく分からん謎の木の実!


 パンさんもゲラゲラ笑いながらシャンプーに石けん、コロンに化粧水などでたらめに喰わせててウケる。


 あっはっは、ほんとダメな女神だなあ!


 よっしゃ、俺も負けてらんねえ!


 こうなったら、虎の子の魔鉄鋼をぶち込むしかねえな! 


 これはうめえぞ、たらふく食べろお!


「あ、あれ? ちょ、ちょちょちょユウ! なんか光ってるわよこの子!?」


「え、ええ? マジだ、めっちゃ光ってるじゃん! わかった! さっきパンさんが石鹸食わせたからじゃね?」


「なに言ってんの! あんたが今あげた魔鉄鋼のせいじゃないの!」



 だんだんと強くなる光……目から、口から凄まじい光を発するモル丸……こ、このエフェクトは……!


「じ、自爆するぞー!!!!!」


「きゃーーーーーー!!!!」


……

…


 しませんでした。

 

 パンさんを抱き込むように必死にダイビングして伏せたのにしませんでした。


 生きてる? 私たち生きてるー? って感じっすわ……。


 ゆっくりと目を開けると、そこには二回りほど大きくなったモル丸がいて……思わずパンさんと抱き合ったままぼんやり見つめちまった。


「あっ……わりい」


「う、ううん……いいのよ。守ってくれてありがとね」


「いや……うん、とっさにな、うん……」


 クッソ気まずい。


 気まずいが今はそれどころじゃねえな。


「で、さあ……あれってモル丸なのか…?」


「えっと……多分……そうね?」


 鈍く輝くガンメタの丸い姿、中央でくりくり動くつぶらな瞳……ここは変わりねえな。


 だが、滲み出るオーラは、明らかに強者のものだ……。


「……力が漲る……主の主、女神様! うちから湧き上がるこの力……今の我ならば、十分にやれそうです!」


 なんつうか……倒したらめっちゃ経験値貰えそうな見た目になっちまったが……どれ、鑑定して……うわぁ。


====================================

 名前:モル丸(仮)

 職業:魔鉄モルモル(塩のダンジョン)

 LV:28

 体力:870

 魔力:391

 スキル:溶解 吸成長 癒やしの香り 斬撃耐性 射撃耐性 奥義【鋼落とし】 

====================================


 「……」


 「……」


 やっべえなこれ……ちょっと、ちょっと? やりすぎたかもしれん……。


「ええと……斬撃耐性に射撃耐性ってやべえなこれ……」


「無効じゃないけど、通りにくいだけで十分ヤバイわ……それにこの鋼落としってなんなのよ……ふむふむ、あーボディプレスだって」


「このメタルボディのボディプレスって……ただじゃスマねえだろうなあ」


「あいつらのいいお仕置きができそうね」


「ほんとにな……つうか、これも絶対やばいだろ?『癒やしの香り』ってやつ。名前からして回復スキルだろ? もうこれ手に負えねえやつじゃん……」


「……それは良い匂いがするだけだから……問題ないわ」


「は?」


「シャンプーやコロンから芽生えたスキルね。ふんわりと良い匂いがするの」


「くっそしょうもねえ……あー……めっちゃいい香りする……」


「いい匂いがする強者になってしまったわね……」


「笑わせんじゃねえよ、たく、誰のせいだよ……」


「モル丸もまんざらじゃなさそうだからいいじゃない……」


 ……ほんとだ……モル助が謎に羨ましがってるわ……。


 変なスキルが生えちまったが、それを上回る強化に成功したことだし……今回は結果オーライとしておこう。


 性根が良いモル丸がこんだけ強くなったんだ、間もなくして一階層は平定されるだろうな。


「ルーちゃんに一階層のフロアマスターとして登録して貰うわね」


「そういうシステムも有るんか」


「ルーちゃんとフロアマスターを指名しなきゃねって話してたんだけど、ちょうどいい子がいなくて保留にしてたのよ」


「経緯はアレだったが、結果的に丸く収まってよかったな」


「ほんとにね。あれだわ、災い転じて福をなすとかそういうあれよね」


「雑にふんわりとまとめやがって……」


 しかし、まさかまさかの案件だったなあ。


 こういうのが起きるのはもう少し未来の話かと思ってたのに、こんなに早くに起きるとは。


 妖怪どもは愚かだったが、あいつらの気持ちもわからんでもないんだよね。


 強くなった力を試したいってのもあったと思うんだけど、最初は暇をつぶしたかっただけだと思うんだ。


 それがエスカレートしまくった結果、今回の大惨事が発生したと……。


 やっぱこう、何か暇を潰せる物が無いとだめだな。


 そうだな、フロアマスターも産まれたことだし、半年後くらいにと思ってたアレを前倒しするのも悪くないかもしれないな。


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