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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
4章 あらたなおともだち

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第12話 イブのうたげ

「わあ~! おうちが凄いきれいだよ? なあにこれ!? なあにこれ!?」


 帰ってきて玄関を開けた瞬間、パタパタと腕を振り回して興奮しているのはルーちゃんだ。


 キラッキラに目を輝かせて喜ぶ姿を見てると、頑張って用意して良かったなって思うわ。


「おかえり、ルーちゃん」


「ただいまユウ! ねえねえ、これなに? なんでこんなにキラキラなの?」


「明日はね、クリスマスだからね、前の晩からこうやってお祝いをするのさ」


「へえー! クリスマスはなにをするの?」


「なにを……うーん、これ、内緒なんだけど、クリスマスの前の夜、寝ている良い子のところにサンタさんっていうおじいさんが来るんだ」


「サンタさん? 夜に何をしに来るの?」


「それはね……良い子のごほうびにプレゼントをくれるのさ」


「わあ……ねえ、ユウ。ルーちゃんのところにも……くるかな?」


「ああ、きっと来るさ。ルーちゃん、とっても良い子だからな。さ、まずはお風呂に入って綺麗にしてきな。そしたら美味しいご飯の時間だぞ」


「はあーい! ママ、お風呂いこー!」


「はいはい、じゃあユウ。お風呂いただいてくるわね」


「おう、ゆっくり入ってきな!」


 クリスマスになにをするのって聞かれて困っちまったわ……割と適当なことを言った気がするが、ここは異世界なんだし、大目に見て欲しい……。


 ◇


「わっあ……なにこれ! おっきなお肉! それにこのスープ、とってもトロットロでおいしいね!」


「ふふ、それはクリームシチューって言うのさ」


「ルーちゃん、クリームシチュー好き!」


 俺もルーちゃん好き!


 チキン自体は普段の食事とそう変わらないので、デカさ以外の感想が無かったけど、初めてたべたクリームシチューはとても気に入ってくれたようで嬉しいぜ。


 あ、誤解されないように言っておきますけれども、これはパンさんに日本のスーパーで買ってもらった固形ルーを使っています! 


 ホワイトソースを作る材料は揃ってたけど、美味しくできる自信がなかったからズルをしました! 


「うーん……もう少し……でもな、うーん……」


 料理をあらかた食べ終わり、満足したような、も少し食べたいような顔をしているのは、もちろんルーちゃんだ。


 ふふ、シチューをおかわりしようか迷っているみたいだな。


 いつもならば『おかわりどうだい』と、背中を押してあげるところなのだが……今日はまだとっておきがあるからね。


 ……ストレージからドン!


「じゃーん、食後のデザート、イチゴのショートケーキだ!」


「ふっわぁあああ……なあにこれ、なあにこれ! 白くておっきくて、いいにおいがするよ!」


「食べたらもっとびっくりするぞー。今切ってあげるから待っててな」


「はーい!」

 

 ルーちゃんがケーキを切り分けるのをガン見している……!


 頭のアホ毛がぴょこぴょこと動き回り、興奮レベルがMAXなのを嫌でも伝えてくるぜ!


 ケーキってスゲーよなあ、見た目からもう旨そうだってわかるもん。


 それに……普段は夕食後に何かを食べることは無いからな。


 俺にも覚えがあるよ。


 こういう、いつもと違う『特別』ってさ、とっても楽しくて嬉しくて興奮するんだよなあ。

 

「はい、ルーちゃんの分だよ」


「ふおおお……これが……ケーキ……!」


 断面をじっくりと眺めた後に一口分フォークで取り、わくわくとした顔でゆっくりと口に運び……


 ……ルーちゃん開眼。


『んん~~~~!!!』と唸ったあとは、二口、三口とフォークが続いていく。


「この赤いの、あまずっぱくて美味しいね!」


「それはイチゴだよ。気に入ったなら俺のもやろう」


「ママもあげるわね、はいどうぞ」


「ふおおおおお! イチゴが二つふえた! ユウ、ママありがとー!」


 どすん、どすんと乗せられた二つのイチゴにルーちゃんのボルテージがどんどん上がっていく! 

 

『ユウ……自分もやっといてなんだけどさ、あんまり興奮させると寝れなくなるでしょ……』


『これは……念話か。なんか久々に使われた気がするわ』


『本番は今夜なんだから、あんまり興奮させちゃ駄目よ』


『大丈夫だって。子供ってやつぁよ、電池が切れたようにぱたりと寝ちまう生き物なんだから。今はこうやって元気だけど……そのうちパタリよ』


『たしかに……ダンジョンでもいっぱい歩いたし、いつもより早めに寝るかもね』 


 と、頷きながらケーキをつつくパン……って、お前それ三切れ目じゃねえか! 


 ……まあ、気合い入れて作ったから結構デカく作っちゃったから、別にいいけどよ。


 大きさにして十号は楽にあるからな……。


 うーん、モルモル達に二切れずつ差し入れをするとして……まだまだ残るか……。


 ボックスに入れて後日ってのはなんかこう……あれだし、仕方ねえなー。


「ルーちゃん、クロベエ。今日は特別にもう一個食べていいぞ! モル助ー、これ持ってってモルゾウと一緒に食べてくれ」


「やったーーーー!」


「ユウありがとー!」


「おお、主よ。感謝する」


「ユウー、もう一個ダメ?」


「パンさん……いいよ、くっちまいな……」


 こいつマジかよ、四切れに突入しよったわ……クリームシチューに、ローストチキン、ポテサラとカロリー爆弾を炸裂させて、四切れとは……いや、なにも言うまい。


 なにせ今夜はクリスマスイブだ、これくらいの可愛い罪は……カロリーの神様だって、きっと許してくれるさ。


 ……知らんけど。


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