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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
4章 あらたなおともだち

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閑話 おしえてぱんちゃん先生!『ませきのつかいみち』

「魔導具と言えばさ、魔石についてもっと詳しく知りてーなって思ってたんだよね」


「まためんどくさいことを……まあ、今日は色々やってもらったし、教えてあげるわ」


「へへ、どうもどうも」


「……あんた、その三下っぽくなるのやめなさいよね……それで、なにを聞きたいのよ?」


「魔石ってさ、何度も使ってると真っ黒くなって充電できなくなるじゃん」


「ああ、限界が近づくとそうなるわね」


「なんかに使えるかなって、保存してあるんだけど、どうもストレージに入れないと、いつのまにか消えちゃうっぽいんだけど、そういう仕様なの?」


「……なんでもかんでもストレージにいれるのはよしなさい!」


「だってさあ……なんかもったいないじゃん?」


「魔石の場合、ストレージに入れられちゃうと、逆にもったいないことになるの!」


「……どういうことなんです?」


「魔石は真っ黒になると、数日で消滅して世界に還るのよ」


「あー、それで消えるんだ」


「魔石は魔力の結晶、つまり形を保てているのは魔力があるからなんだけど……限界を迎えた後も、形を保つためにちょっぴり残ってるのよ」


「なるほど……ほっといても微妙に魔力を放出するから、最終的に形が保てなくなって消えちゃうわけか」


「そういうこと。そして、最後に放出する僅かな魔力だって、リプラシルに還れば糧となる。無駄にしまい込んでもなんにもならないから、後で庭にでもまいておきなさい」


「うう……コレクションみたいで地味に良かったのに……わかったよ、後でまいておくよ……」


「あ、でもね、完全に使い切る前、まだ透明感が残ってる魔石なら、魔力を継ぎ足して再利用することもできるわよ」


「マジかよ。よけいにモバイルバッテリーみたいじゃん」


「ふふ、たしかに。冷蔵庫なんかだと、大型の魔石が必要になるわけなんだけど……そんなのホイホイ集めるの大変でしょ?」


「集めるのは大変じゃないけど、魔石の調達のたびに肉が余る未来が見える……」


「確かに……ヒッグホッグってものすごい量の肉がとれるものね……」


「いやあ、いいこと聞いた。これからは肉の在庫を無駄に増やさないで済みそうだぜ」


「集落の子たちに配りまくるのも良くないしね、私も忘れてたから、聞かれて助かったわ」


「キンタたちは魔石をどうつかってんだろうな? 魔石ランプはあるみたいだったが、他に魔導具っぽいのは見かけなかったな」


「そのとおりで、今のところリプラシルでは照明代わりに使われているくらいなのよね……」


「つうか、逆にランプがあってびっくりしたんだよな。それもアセットかなんかのおかげなん?」


「それがね、これは数少ない自発的な発明だったのよ!」


「まじかよ」


「オレンジ色の鉱物で『日照石』ってこの世界の人が呼んでるものがあってね、その石に魔石が触れると発光するの」


「唐突におもしろ鉱物が出てきたぞ」


「なんかねー、大昔に石集めるのが好きな物好きがいたのよ」


「シゲミチくんとかみたいなやつだな」


「彼はね、石を拾ってはズタ袋に入れてたんだけど、ある日、袋が光ってるのに気づいてね」


「なるほど、中で魔石と日照石がくっついてたと」


「そういうこと。これは便利だなって、集落に広めてね、たまには役に立つじゃんって、ちやほやされてたわ……懐かしいわね」


「そこから発展して魔石文明でも起きそうなもんだが……ああ、バグってるからそれで終わったのか……」


「くっ……事実だからなんも言えないわね。でも、なんでか『夜に明るいのは良いな!』って気持ちはバグに負けなかったみたいでねー」


「そういうこともあるのか……」


「うん、極々稀にね。それで、そこから別の集落に、さらに別のにってじわじわと広まったのよ」


「それにしては、魔石のために狩るような話は聞かなかったな」


「ああ……魔石ランプって燃費が異様にいいのよ。そこらで拾えるような、小さな魔石でも数年は光らせられるわ」


「え、魔石って落ちてるもんなの?」


「あんたが魔獣として認識してないような、ちっちゃなネズミとかのやつね。体が世界に還ると、魔石だけ取り残されるのよ。住民たちはそれを拾ってランプに使ってるのよ」


「へえ……ほんっと知らないことだらけだわ」


 ほーん……なるほどねえ。


 魔石はほっといてもジワジワと魔力を放っている。


 スマホはそれを吸って充電できるし、うちの魔導具や、集落のランプはそれで動いていると。


 魔導具は【製作】さんが作ってくれたから、中身がどうなってるかがわからなかったんだけど、ランプの話を聞いたら、なんとなくわかった気がする。


「魔導具って、なにかしらの属性を内包した媒体に魔石から魔力を通すことによって、一種の魔法を発動させているような感じ……であってる?」


「おお……一応間違ってはないわね。そのとおりで、例えば冷蔵庫なら氷雪石という、氷属性のエレメントを内包した媒体があればできるわね」


「その理屈からいくと、給湯器なんかは炎熱石とか溶岩石みたいな、火属性の媒体が必要だと思うんだが、そんなの拾った覚えはないぞ」


「気づいちゃった? 実はさ、調達が大変な一部の素材に関してはオマケしてんのよ」


「オマケ……あ、もしかして麹も?」


「麹は違うわね。あれは……私もよくわからないけど、ファンタジー的なな(・)に(・)か(・)が醸してんのよ……たぶん」


「違うんかい! クッソ、聞かなきゃ良かった、余計にモヤモヤしたわ」


「と、とにかく、媒体を今すぐ集めるのは無理だから、ルーちゃんや私のためにおまけしたの!」


「ああ……そういうことか……まあ、俺も助かってるからいいわ……でも、集落の連中にやらせようと思ったら、そうはいかないよな」


「そうねえ……でも、だいぶ先の話じゃないの? それこそ、あんたの任期なんてとっくに終わったずーっと後のさ」


「そうでもないかもよ?」


「マジでいってる?」


「マジマジ。いきなり難しいのは無理だろうけど、魔力の流れを遮断する仕組みを教えてさ、明かりのオンオフスイッチを作らせるところから始めんだよ」


「ほむほむ」


「集落の連中やべえぞ? ちょっと背中押してやったら、ものすげえ速度で頭の中身が進化してんだもん。ザックやシゲミチ辺りを組ませてヒントを出したら……きっと一気に近代化が進むと思うぜ」


「た、確かに……ヤバい、ドキドキしてきた! なによ、ほんとあんた凄いわね!」


「へへ、褒めるな褒めるな。でさ、そうなってくると魔石の需要が高まってくるだろ?」


「そうね、魔石も手に入れないとってなったら、狩りの回数も増えるわよね」


「でもさ、あいつらはまだ大型の魔獣を倒せねえし、倒せるようになっても、バンバン倒すのは難しいだろう……肉の消費だって大変だろうしな」


「ああ……肉ね。交易でもしないと余り放題になっちゃうわね」


「必要な魔石が満足に手に入らねえ環境じゃあ、魔石文化の発展なんて無理ゲーなわけよ」


「うっ……たしかに……バグが取れても、しばらくは難しそうね……」


「ふふ、そう落ち込むな。実はさ、それを解決する策をひらめいたんだが……口で言うのも面倒なので後で資料作っとくわ」


「えっ? なによ、お預けなの?」


「まあまあ。色々調べて、ネタが固まったらプレゼンすっから待っててくれよ」


「もっともらしいこと言っちゃって」


「それより……今はホップのが大事だろ」


「そうだった! ねえ、この世界初のビールになるのよ? 気合いを入れて取りに行きましょう! 何なら今からいっちゃう?」


「いかねぇよ! とっぷり夜だよ! お前の体力は無尽蔵かよ!」


「嘘ですすいません……腰が……腰がね? もう、今日は辛いの……」


「……俺も今日は腰がやばい……なあ、あまり女神様の力に頼るのもアレだと思うけど、今回ばかりは助けてくれ……俺の布団に腰痛を治す加護を……」


「仕方ないわね……自分の布団に回復効果+5(A)を付与するつもりだったからついでにやってあげるわ……」


「ありがてえ……ありがてえ……はじめて女神様らしい事をしてもらった気がするぜ……」


「うるさいわね! やってあげないわよ!」


「へへ、すいやせん、女神様ー。ゴミムシめにどうか御加護をくだせえー」


「だから卑屈になるのやめなさいってば……」


 こうして……腰痛の危機は去り、穏やかな睡眠時間が訪れたのでありました。


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