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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
4章 あらたなおともだち

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第5話 俺たちの収穫祭はこれからだ

 はあ……いいお湯だったわ。

 

 つうか、モル助のやつ、俺が行くといっつもいるんだよな……。


 この時間があいつのシフトなのかもしれんが、なんかこう、銭湯で常連のおっちゃんと話しながら入ってるみたいでなんかアレだわ……。


 つーわけで、しっかりと身体を清めてきましたので、さっそく調理に取り掛かるとしましょうか。


 作るのは、疲れた体に嬉しい料理……そう、うどんだ!


 麺の打ち方は知ってるし、実際に打ったこともあるが、今日は畑でクタクタだからやりたくねえ。


 じゃあ、どうするのか? 


 そらもちろん、スマホさんに打ってもらうんですわ。


 ちゃちゃっと【製作】さんを立ち上げ、検索をかけると……あるんだよなあ……。

 

 いやあ、マジで便利だわ。ナーフされんじゃね? って心配するレベルで万能すぎる。


【製作】の枠に食品が入ってんのがまずやべーよな。こんなの運営にバレたら……いや、公認だったわ。


 運営さん、ノリノリで自慢してたわ。


『食品加工までできちゃうんだから、感謝しなさいよね!』


 って言ってたわ……でも、不思議なことに『うどんの麺』は作れても『かけうどん』は作れないっぽいんだよな。


 そのあたりを運営さんにつっこめば、きっと『そこまでやったら【調理】になるじゃない』って言うに違いないぜ。


 俺としてはうどんを打つのも調理なんだが……突っ込んで考えるのは不毛だからやめておこう。


 というわけで、うどんの麺はオッケーだ。


 今夜は温かいうどんを食べたいので、しっかりと出汁が効いたつゆを作りたいと思う。


 ムカつくことに、だし汁はもちろん、粉末だしですら【製作】で作れねえんだよなあ。


 麺がいいならだし汁も良いだろうに……ほんと判定が謎すぎるわ。


 つうわけで、だし汁は俺が頑張って作らなければいけないのだが……あんなの今からやってらんねえので、あらかじめ作っておいただし汁を使いたいと思います。


 だし汁ってさ、まとめて作ってストックすると捗るからな、空き時間を使ってちょいちょいと作っておいたのさ。


 作っただしは二種類。作り方はマジで簡単なんだ。


 キノコだしは、大きめの鍋に水と乾燥ムックル(キノコ的な魔獣)を入れ、一晩放置した後、ザルで濾したら完成だ。

 

 もう一つは鶏だしで、レッグコッカのガラを少々入れ、ざっくり切ったリーゼを入れ、アクを取りながら三〇分ほど煮込んだら完成。


 こうやって作った二種類のだしを、合わせていくのだが、今回はキノコだしをベースに、コクを加える感じで鶏だしを少しずつ足していく……こんなもんか。


 加熱しただし汁に醤油を入れ、みりんを……ああ、しまったみりんがねえわ。


 まあいっか。レッグコッカのだしがいい仕事してるから、そこまで物足りない感じでもないし。


 うーん、これはこれで旨いな……これだけ飲みたいレベルだわ。


 よーし、うどんの用意はこれでいいな。


 あとは副菜だが、これはちゃっちゃとやっちまおうか。


 タマナとキウンバ、それにさいの目に切った豆腐を入れ、シラウのペーストに少量の味噌を混ぜて作ったドレッシングをかけたら和風豆腐サラダの完成だ。


 どれ、味見っと……うーむ、このドレッシング良いな。もったりとした食感と、柔らかな甘みでとっても食べやすいわ。


 これならルーちゃんもおいしくいただけるんじゃないかな。


 続いて作るのは、みんな大好き揚ジャモ(ポテト)さんだ。


 これはルーちゃんが喜ぶかなって思ったのもあるんだけど、実はクロベエからのリクエストなんだよな……。


 イモってさ、猫にとって毒ではないらしいんだけど、消化に悪いから、食わせないほうが良いらしいんだよな。


 まして、フライドポテトなんて最悪で、油分と塩分で内臓がやられちまうから、マジで食わせんなってことらしいんだ。


 けどよお……あのアホ、俺の目を盗んでつまみ食いすることがあってな。


 こっちに来てから聞いてみたら、めっちゃ好物なんだってさ。


 好きなのに、くれないからムカついてたとか言われてさあ……だってお前、あれ食いすぎたら死ぬんやぞっていったら、またまたーって言ってたけど、寿命を縮めるのは間違いねえんだわ。


 けど、あいつ魔獣になって、俺と同じ物を食えるようになったじゃん?


 最初はさ、あっちに帰った後、大変だろうなって思ってさ、猫が食えないものはやらないようにしようって思ってたんだけど……最近、うすうすと感じるのが『クロベエ魔獣から戻れない説』だ。


 ソースはパン。


 この話題を出すと、あいつ、スゥっとどっかに消えるんよ……。


 居なくなるんじゃなくて、おばけみたいにスゥっと薄くなって転移しやがるの……。


 まあ、魔獣化したことで体が頑丈になって寿命が伸びてるらしいからよ、別に責める気はねえけど……魔獣のまま戻れないっつうなら、もう食事の枷を外していいかなって。


 なので、今ジュワジュワと揚げているフライドポテトはクロベエくんへのごほうびだ。


 植物油はまだ手に入れてねえから、ヒッグホッグのラードで揚げてるんだけど、もう体に悪くて美味しい香りがプンプンしてさ、さっきからパンとクロベエの視線が突き刺さって痛い……つうかクロベエ、起きたのか……。


 飯の気配で起きるのはデカくなってもかわらねえなあ。


 ……よし、こんなもんでいいか。


 うどんの麺をさっと茹で、ドンブリに盛って。アチアチの御出汁をふわっとかけて。


 レッグコッカのお肉とムックルを添えたら、リーゼを刻んだものをちょちょいと乗せて完成だ!


 さあ、俺たちの収穫祭のはじまりだ!


「みんなお疲れ様。ちょっと待たせちゃったけど、旨いもん作ったから食ってくれ!」


「「「いただきまーす!」」」


 パンもルーちゃんも夢中になってうどんをすすっている。


 このうどん、うめえよな! 品種改良したミーン、まじでやべーわ。


 ちなみにクロベエのうどんだけ特別製だ。


 いくら魔獣になったとは言え、猫舌は治らんみたいだからな。


 クロベエだけは焼きうどん。先に作って冷ましておいたんだ。


 レッグコッカの濃厚な味が絡んだ麺だから、マジで目の色を変えてうめえうめえと、うどんとポテトにむしゃぶりついてるわ。



「ユウ! ルーちゃんにうどんのおかわりをください!」


「あ! 私にはポテトのおかわりちょうだい!」


「へい、よろこんでぇ!」


「ユウー、おれにも山盛りのイモをくれー!」


「あいよ、ジャモ追加ァ!」


 給仕をするのに忙しくてろくに食えないが、喜んで食べてくれてるのだから嫌な気はしない。


 むしろ食え食え、もっと食え、食って笑って楽しむがいい! って気分になってくるわ。


「あ、立ったついでに冷奴のおかわりも持ってきて! キウンバも軽く冷やして切ってきてよ! あとさ、お出汁残ってたら肉吸いも作って欲しいな!」


 ……パンさんは少し自重しろや!


  ◇


 わいのわいのと夕食は終わり。うどんでおなかをぽんぽこりんにしたルーちゃんは、早々とお布団へ。


 ルーちゃんを寝かしつけ、リビングに戻ったパンがビールを投げてよこしたので、お返しに茹でておいた枝豆を出して食後の晩酌がはじまった。


 しっとりとした大人の時間……になんてなるわけねーので、作業中思いついたことを提案してみることに。


「あ、そうだ。ビールと言えばさ、ミーンでビールを作ろうとしたらさ、マリハナが足らねーって【製作】さんに言われたんだけど、近場で採れたりする?」


「お、いいわね、クラフトビール! 魔獣の森にあるはずだから、今度取りに行きましょうよ!」


「まじか、やったぜ! さっそく作れそうだな!」


「ビールを作るなら、冷蔵庫も作ったら?」


「あー、ストレージじゃビール冷やせねえもんな……確かにぬるいビールは嫌だわ」


「冷蔵庫を動かすには大型の魔石が要るけど、ヒッグホッグのでも十分に使うことが出来るわ」


「氷もたまに欲しいし……作るか、冷蔵庫!」


「作りましょう、作りましょう!」


 いい機会だ、魔石やら魔導具やらについてもう少しつっこんだ話を聞いてみよう。


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