↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
3章 かぞくっていいな

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/145

第21話 やべーこと聞いた

 いやぁ……湿原だわ。


 ところどころ霧に覆われてるっつうか、奥の方はモヤって見えないほどに広い。


 すげえなあと、見上げてみりゃあ、綺麗な青空まで見えちまうんだ。


 ラノベでお馴染みの環境型ダンジョンって、実際目の当たりにするとやべーな。


「いやしかしすげーな……メインで頑張ったのはルーちゃんなんだろうけどさ、パンちゃんも手伝ったんだろ? かなり苦労したんじゃねえ?」


「いやさあ、言い難いんだけど……えへへ、誤魔化すのも面倒だしぶっちゃけるね。ユリカゴを構築するのに、ある程度はアセット使ってるって言ったじゃん」


「ああ、今風のゲーム開発みたいだなって思ったやつな」


「私が入れたダンジョンアセットはさ、簡単なベーシックモデルだから環境型ダンジョンなんて作れないはずなのよ……」


「……作れない?」


「そう、高度なことができない代わりに簡単でいいわよって、ブーちゃんにおすすめされて入れたのよ。だから、こんな高度なダンジョンは作れないはずなの」


「ちなみに、普通の仕様のままなら、この階層はどうなってたんだ?」


「ベースが洞窟タイプだから、水たまり多めのじっとりしたダンジョンで、所々に地底湖みたいな池があったり、そこに水草が生えていたり、後はまあ……ぱらぱらと苔や草が生えてる感じ?」


「古き良きダンジョンRPGって感じのダンジョンですな」


「ええ、火山のダンジョンなら溶岩が見える洞窟に、氷のダンジョンなら大きな氷柱があちこちにある洞窟……みたいにさ、多少高さや広さに差はあれど、きちんと天井や壁が存在する洞窟型ダンジョンになるはずだったのよ……」


「それがなぜこうなった」


「あたしが知りたいわよ……まさか空間ごと生成しちゃうなんて思わないじゃないの」


「空間ごと」


「そう。ルーちゃんがさ、最初はさ、さすがルーちゃん! 元より広く生成したわねーって思ったわけ」


「ああ、洞窟を広げたと思ったんだな」


「そう。なのにさ、明るいやら広すぎるほど広いやら……天井には空っぽい塗装までしてるじゃない? うっわ、めちゃくちゃ広いし凝ってるじゃないの! 凄いわね! って感動したんだけど……空がまさかの本物でさ……」


「流石に塗装じゃないってわかるやろ」


「まあそれは冗談だけど……でね、ちょっと冷静になりたくてさ……一度地上に戻るかって思ったんだけど……あたし達が降り立ったのって湿原でしょ? どうやって戻るのかしらっておもったわけ」


「ラノベ読んでて気になるやつ来たな……階段でおりたら草原とかあっけどさ、下り階段はいいけど、天に延びる上り階段とかヤバすぎるだろ……」


「上から降りてきたっていうより、私の感覚だと洞窟の最奥が湿原に変わった感じだったからさ、てっきりどこかに扉でもあるのかなって思ったわけ」


「湿原にある扉とか、それはそれでシュールだよな……」


「それでさ、出入り口を探そうと思ってね、周囲を検索してびっくりよ。ここは洞窟の奥でも、地下でも、まして上でも無かった」


「じゃあどこなんだよ……ああ、まって聞くの怖いんだけど!」


「ルーちゃんが作ったのは、小さな世界……のようなもの……だったの」


「うわー、やべえネタきたー」


「扱い的にはリプラシル内の隔離空間。けど、ここは外部から完全に隔離された閉鎖空間、ルーちゃんが管理者となった小さなユリカゴだったのよ……」


「ゲームのキャラクタがゲーム内でゲーム作ったようなそんな感じ……?」


「あー近いかも。私のユリカゴ内に作られたものだから私も弄れるのよね。それに……あくまでもベースはダンジョンだから、今のところは異世界という扱いにはならないから、上から怒られるようなことにはならない……はず」


「……よくわかんないけどわかった」


 まとめると……。


 ・塩のダンジョンは、ある意味ルーちゃんが生み出した小さなユリカゴである。

 ・外部から完全に隔離されている場所である

 ・ベースがダンジョンなので、生成などのルールはそれに準拠している

 ・同じ理由で、異世界という扱いにはならない

 ・……上記二つの件に関しては「今のところ」と但し書きがつく

 ・今後どうなるかはわからない

 ・ねえ、ユウ、助けてよ……ガチのユリカゴ化したら怒られちゃうわ……

 ・しらんがな


 ということらしい。


 ちなみに、どこまでも行けそうに見えるけど、そうじゃないらしい。


 中央の沼地エリアからどの方向に向かっても、ざっくり二キロメートルほど行ったところで見えない壁にぶち当たるそうだ。


 パンちゃんが実際に触って確かめたらしいのだが、ポヨポヨしてるからダッシュしてぶつかっても痛くなさそうだったとか……ちょっと気になる。


「あー、なるほど。それで転移門(ゲート)つけたってわけか」


「そう。あたしはさ、自前で転移できるけど、ダンジョンの住人とか、あんたとかが困るじゃない? だから設置することにしたのよ」


 なるほどなあ……うーむ、転移門(ゲート)に小さなユリカゴか……ここにきて、ぽろぽろっとやべえネタが二つも出てきやがったぞ。


 もう少しパンちゃん先生をつっついて、他にやべーネタを隠してないか聞き出したいところなんだが……さっきから可愛いルーちゃんがちょいちょいと袖を引っ張ってるんだよなあ……。


「ねー、お話はもういいでしょ? お魚はなしにいこ?」


 退屈そうな顔でぐいぐいぐいぐい袖を引くルーちゃん、なんてかわいいんだ……。


 クロベエもぐっすり眠っちまってるし……二人ともごめん、退屈だったよな。


 というわけで、説明パートはここでおしまいだ。


 ルーちゃんと手を繋いで、お魚さん達の放流場所まで出発だ!


 さーて、何処がいいかなーと、歩いていると……間もなくしてダンジョン組のモルモルたちがこちらに気づき、シュタっと飛んできた。


「主……! お待ちしてましたぞ」


 こいつらも渋い声なんだ……。


 自動翻訳の声って、なにを基準に選ばれてるんだろうな? 


 低音のいい声で話すモルモルって、見た目からのギャップがすごすぎてウケるんだけど。


「またせてごめんね、ほら、ユウ! お魚さんたち出してあげて!」


「おうよ、ちょっと待っててなー……まずはここに……ソォイ!」


 湿原に点在する水たまりや小川に魚(の魔獣)を水ごとぶちこんでいく。


 普通のお魚さんなら、も少し気を遣って放流してあげなきゃいけないんだろうが、こいつらは魔獣だからな。多少雑に扱ってもへっちゃらな程度には頑丈らしい。


 どんどん放たれていく大小様々の魚やエビといった水生魔獣の姿にモルモルたちがプルプルと体を震わせ喜んでいる。


「かたじけない……大切に増やしてから喰う」


「あそこの深場は良い産卵場所になるだろう」


「ああ、あそこに入ったものは食べないようにしないとな」


「我ら以外も来るのだろう? 交替で見張ろう」


「そうしよう、そうしよう」


 モルモルたちが養殖みたいなことを考えてる……エビや小魚は、やっぱり使役ができないみたいでさ、減ったら減ったままになるらしいんだよな。


 それを聞いたのかは知らないが、増やして食うなら大丈夫そうだな……っていうか、モルモルってタルットより賢いんじゃねえかな。


 タルットで思い出した……。


 やりたくねえけど、大物の放流もしねえとな……。


 つーわけで、お昼休みを挟んだ後、沼地エリアに移動した。


 昨日見た沼地よりはだいぶ小さいが、それでも結構広い沼地が見える。


 今からここに……妖怪たちが現れるのか……一気にうるさくなりそうだな。


「妖怪たちって結構な数いたよね? 召喚大変じゃね? ルーちゃん大丈夫そ?」


「だから妖怪言うなってーの。それは平気よ、はいルーちゃんこれ」


 パンがルーちゃんにスマホのようなものを手渡した。つかスマホじゃねえか。なんのひねりもねえ、まんまマイホン17じゃねえかよ!


「言われそうだから先に言うけどスマホじゃないからね? 神器……マスターデバイスだから」


「は? 今さりげに『神器』とか『マスターデバイス』とかヤベエワードきこえたんすけど」


「まあそうね。といってもこの端末で出来る事はあくまでもルーちゃんのスキル補助程度のことだけよ。流石に私と同じ権限は付与されてないから安心しなさい」


「いやまあ、使うのルーちゃんだからな。下手なこたぁしねえとは思うけどさ」


「ああ、ちなみにあんたのスマホも私の加護という名のカスタマイズがされてるからマスターデバイスといえるわね。ルーちゃんのより上位権限を付与されてるんだから気をつけて使いなさいよ?」


「そ、そうなんだ……ふーん……」


 くっそ、ちょっと嬉しいな……あ、喜んでるのがバレると揶揄われそうだから後ろを向いとこ……。


「いい? ルーちゃん。ほらみて、ここに昨日仲良くなったお友達の名前が書いてるでしょ?」


「うん……ええと、た、る、つ、と……」


「そうね、タルットね。じゃあ、そのまま名前を押してごらんなさい?」


「青いのがついたよ」


「うん、色が変わったね。一人ずつ呼びたい時は、それでいいの。でもね、今日はみんな呼びたいから……ここに『全部』というボタンと、数字を入れるところがあるでしょ? 全部を押してみて」


「タルット、全部青くなったよ。あと、横に……はち? ってついた」


「そうだねー、えらいねー。タルットの横に8と表示されたね。これはね、ルーちゃんと契約をしたタルットが全部で八人ってことなの」


「タルットのお友達、八人?」


「そう、八人ね。今日はお引越しで全員呼ぶから、同じように他の子たちにもやってみてね」


「わかった!」


 タルット……ここに八匹も越してくるんだ……嫌なこと聞いちゃったな。


 ぽちぽちと楽しそうにスマホ……もとい、マスターデバイスを操作するルーちゃん。


 やがて準備ができたのか、パンちゃんが『じゃあ決定ボタンをおしてね』と言って……すぐ、たくさんの光の柱がシュパシュパと立ち上がった。


 シュパッ


「うわっ びっくりしたなあ!」


 シュパッ


「なんなん? うち、今ごはんたべよっておもっとったんに」


 シュパッ


「たまげたなあ、これが召喚っちゅーやつかいな」


 シュパッ……ザバァン


「うっひゃあ? なにごとや? おふとんがお水さんにかわってもうたで!」


 賑やかな声が聞こえてくる。


 ああ……女性のタルットもおるんか……それはそれでやかましそうだ。


 そして、ピカピカシュパシュパはまだまだ止まらず。


 タルットたちだけではなく、様々な魔獣や魔族が次々現れ、どんどん周囲に溜まっていく。


 召喚された連中が、ギャアギャアとやかましいもんだから、正直言ってなかなかしんどい状況だ! 


 うるせえぞ、妖怪ども!


「みんなー! 並んでね、今から説明をしますので! しーずーかーに!」


 いつの間にか用意していたらしい、朝礼台の上に立ってルーちゃんが召喚された奴らに声をかけている。


 ざわめきが消え、ピタピタっと整列をしたぞ……すげえな、ルーちゃんのカリスマ。


 精神支配なんてもんはねえのに、しっかりと使役されちゃってるわ……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。