第19話 沼地で得たもの
リプラシルの運営さんであり、開発者でもあるパンちゃんですら、何が起きているのかまったくわからんこの状況。
まあ、ほぼほぼ確実に可愛いうちの子案件ですよねえ……。
どれ、ルーちゃん。ステータスを見せてごらん
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名前:ルト
職業:ダンジョンコア
LV:8
体力:6300
魔力:6800
スキル:人化 ダンジョン管理 勧誘 使役 召喚 自動翻訳
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「うわ、またレベルが上がってるな……スキルもなんか増えてんな……」
「ほら、さっき話そうとしたのがこの『召喚』でね、この間ダンジョンをカスタムした時にレベルが上がって生えたのよ」
「あんだけのことをやったら、そらめっちゃ経験値入るだろうな……しかし、召喚か。勧誘に使役ときて召喚だから、そういうルールでもあるんかね」
「うーん……純粋にルーちゃんが必要だと思ったから生えたっぽいわね」
「必要?」
「ええ、モルモルって移動手段がピョコピョコじゃない。ルーちゃんが『大丈夫? 大変じゃない?』ってきいてたのよ」
「あー……ダンジョンまでの移動を気遣って生えたってことか……なんて優しい子なんじゃ……」
「なにおじいちゃんになってんのよ……優しい子なのには同意だけどさ」
「つーこた、今日は使役だけして、後からダンジョンに行って妖怪どもを召喚するって流れになるんか」
「そうなるわね。あいつらをダンジョンまで誘導するのってめちゃくちゃ骨が折れそうだもの、ほんと良いスキル覚えてくれたわ」
「ほんとそれ。召喚するときは俺も立ち会っていいんだよな?」
「もちろんよ。ユウってダンジョンってまだみてないわよね? ふふ、きっと驚くわよ」
「楽しみにしておくわ……つかさ、魔族も普通に使役してたけど、もしかして……」
「うん、そうみたい……人族も……普通に使役できちゃうみたいよ……」
「ひゃー、魔王になって世界を掌握なんてこともできちゃうじゃねえかよ」
「あの子にそんな気は無いでしょ」
「それはそう」
「双方の同意がないと成功しないし、別に言うこと聞かせられるようになったりするわけじゃないから平気よ」
「それを聞いて安心したわ……」
「あ、一応言っておくけど、召喚は契約と別みたいよ。ルーちゃんがよく知ってる相手なら、使役してなくても呼べるらしいの」
「えっ、それってつまり……」
「当然、私やユウも呼べるわね。ふふ、置いて出かけたら呼び戻されちゃうかもねー」
「な、なんてかわいいスキルなんじゃ……」
「んー、他にもダンジョンで暮らしやすくなるように、一部の権限を付与する住民登録みたいなこともしてるみたいね」
「住民登録か……なあ、知らんおっさんがいつの間にかダンジョンに住んでたりとかしねえよな」
「しないでしょ……でも、ルーちゃんに知らないおじさんを使役しないよう言っておくわ……」
「やらねーと思うけど頼むわ……」
ダンジョンに棲み着いた怪しいおっさんたちが「ルーさま!」とか言ってたら嫌すぎるもん……マジで頼む。
しっかし、スマホといい、ルーちゃんといい、みんなチートスキルがポコポコ生えていいよなあ……。
まさか、クロベエにも何か妙なスキルが生えてたりしねえよな?
……いや、今はそれよりも言葉の件だ。
「それでさ、話戻すけどよ……この状況って……」
「そうね、これは明らかに【自動翻訳】の影響ね……たぶん、生えたのはついさっきだと思うわ。私も知らないもの……」
「……いったいどういうスキルなんだ?」
「ええと……ルーちゃんの周囲……ざっくり半径十メートル内にいる者たちは、互いに意思の疎通が可能となる……うっわ、なにこのぶっ壊れスキル……!」
「マジでぶっ壊れてて草。意思の疎通ってのがやべえな」
「それよ! モルモルみたいに声帯を持たなくても問題ないわけよ。ほんとすごいわね……」
ルーちゃんスゲエなあ……マジで魔王みたいになってるじゃんよ。
世界を征服したりはしないだろうけど、一大勢力を築けるレベルじゃねえのこれ……。
早すぎる我が子の成長に遠い目をしていると、会議が終わったのか、ルーちゃんがとてててーっと、走ってきた。
うちの魔王様きゃわわすぎんか。
「ユウ、沢山のお友達できたよ! みんなすごいの! お話しできるようになったの! でね、契約したからね、こんどルーちゃんのダンジョンに呼ぶね! ねね、いいよね?」
うおおお! 成長してる!? おしゃべりが達者になってる! 言語関係のスキルが生えた影響なのか?
「も、もちろん、呼んでいいぞ! ダンジョンが賑やかになりそうで良かったな、ルーちゃん」
「うん! みんなに言ってくるね!」
にっこり笑って、駆けていくルーちゃんの可愛いこと可愛いこと……。
「みんなー! みんなは今日からルーちゃんのお友達ね! ダンジョンについたら呼ぶからきーてーね!」
「「「「はーーーい!!!」」」」
「じゃあ、きょうはここまでー! かいさーん!」
あああああ! やりとりが微笑ましすぎて浄化されるうううう!
……妖怪がお友達とかダンジョンコアらしくてとても正しい感じがするから困る。パンちゃんを見てみろよ……こいつな、尊すぎてキュン死してんだぜ……。
解散の声を聞いてザブザブと妖怪達が巣に帰っていく……。
これから引っ越しの準備でもするのだろうか? そもそも持っていくものがあるのだろうか……なさそうだな。
「よし、俺たちも帰ろうか。いつまでもこんな妖怪の巣にいられねえぜ!」
「だーから、カッパだの妖怪だの言うの、ほんとやめてよねー! 一気に世界観が台無しになるじゃない!」
「えー……」
「えーじゃないわよ……ったく、ファンタジー世界なんだからね!」
管理者様に言われちゃしょうがねえな……でもよお、蛙の魔獣が奏でる「ゲッゲッゲ」という声を聞きながら沼地を後にしていると……ますます妖怪の巣にいる感が増してくるんだよなあ……。




