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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
3章 かぞくっていいな

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第17話 沼地の戦い

 昼食を済ませた我々ルーちゃん探検隊は、沼地へ向かって意気揚々と出発したのだが、沼地への道が我々に牙を剥いた。


 湿原というだけあって、これまでも気分を損ねる程度にはぬかるんでいたのだが、沼地へと近づくにしたがって、これぬかるみっつうより、もう完全に沼の中歩いてね?


 ってレベルで、水深が増してきたと言うか、基本膝丈くらいの水場で、たまに陸地がある感じの非常に非常に歩きにくいっつうか、不快指数100億パーセントな地形なんですよ。


 もうすでにルーちゃんはクロベエの背中に避難してるし、さっきからずっと俺もパンちゃんも無言である。


 楽しそうなのはモルモルたちくらいのものだ。


 ええい、こんな場所歩いていられるか! もういい、開拓させていただく! 


 っつうわけで、ここには今後も来ることになりそうなので、サクっとスマホで通路を作ることにした。


「ちょっとストップ。流石にうぜーから湿原の遊歩道みたいなの作るわ」


「素晴らしいわ! ちょうど今心が折れかけてたとこなのよ……」


 そうだろう、そうだろう。


 ええと……開拓つったけど、ここは【建造】かな。それで……どう検索すりゃいい? あれなんだよな、観光客が歩く桟橋みたいなのを作りたいんだけど……。


「そのものを入れなくても、用途から逆検索もできるわよ」


「マジかよ神じゃん」


「フフン! 我女神ぞ!」


 はいはい、すごいすごい……おお、いいね。木道っていうのか、アレ。


 木道を選択して……ほーん、範囲指定で設置ができると……じゃあ、手始めに俺達の足元から上がるように……。


「きゃっ……ちょっと、びっくりしたじゃないのよ!」


「悪い悪い。こうしないと木道に乗るの大変だと思ってよ」


 木道って地面から離れたところにあるじゃん? 今俺達がいるのは地面どころか水の中じゃん? 目の前に作っちまったら、よじ登らないとならないじゃん……嫌じゃん。


「確かに……ありがとう」


「いいってことよ。じゃ、歩きながら設置すっから、道案内頼むぜ」


「了解よ。ええとしばらく真っ直ぐでいいわよ」


「ほいほい」


 流石は女神謹製のチートツールだ。よくわからんが、ぬかるんだ地面の結構深いところまで杭が打たれているらしく、俺たちが歩いたくらいじゃ全然揺れもしない。


 それどころか、高さも均一と来たもんだ。


 こいつぁ、楽しくなってきたぜ!


「ちょ、ちょっとユウ? 夢中になりすぎてどっか行っちゃわないでね?」


「……善処します」


◇◆ 



 二時間ほど進んだところで、パンちゃんに肩を叩かれた……が、俺の手は止まらない。


「……ついたわよ、ほら、スマホから手を離しなさい、離しなさいってば! ソォイ!」


「……いってえ! くっ……お前の声は届いていた……だが、体が勝手に……」


「なに敵に心を奪われたやつみたいなこと言ってんのよ……ほら、沼よ、沼!」


 くっそ、肩パンしやがって、リプラシルジョークじゃねえかよ……どれどれ……沼の景色はっと……うーん、どっからどうみても沼だなという感想しか出てこねえ。


 うちの泉にも茂っているショアと思われるアシ的な植物が鬱蒼と茂っていて、水面にはクソでかい蓮のような植物が浮かんでいるのがみえた。


 めっちゃ遠くに見えてるのが対岸か……マップに沼って書いてるから沼なんだろうが、深さがあったら湖扱いされてもおかしくねえ広さだわ。


 三人と三匹で外周を歩いていると、岩の上に腰掛けている何者かの姿が見えた。


「あれは……どう見てもカッパなんだが……魔獣でいいのか?」


「え……あっ、ち、ちがうし! カッパじゃないわよ! ほら、図鑑見てみなさいよ。タルットっていう魔族よ?」


 あれが魔族……初めて会った魔族があれかよ。


 まじでどう見てもカッパじゃねえかよ……。


=====

 

 名前:コータ(34)LV:4 体力:256 魔力:8 

 職業:タルット

 スキル:スモウ LV2 投擲LV1


 背中に立派な甲羅を持つ沼地の魔族。

 その甲羅は、熟練の戦士が放つ槍すら跳ね返し、

 隙を見せれば得意のスモウスキルで投げ飛ばしてしまうぞ!

 

 だが、安心するといい。

 タルットは友好的な魔族なので、出会ってしまっても安心だ。

 好物のキウリーをあげれば、フレンドリーに接してくれるぞ


=====


「あの、これやっぱりカッ……」


「タルットよ! ほら! 職業がそうなってるじゃない! 図鑑はいつでも正しいんだから!」


 釈然としねえが……まあ、世界の創造者たる女神様がそうおっしゃるんならば、そうなんだろう……見た目も、図鑑の説明もカッパとしか思えねーけど……。


 よし、切り替えていこう。


 初めて遭遇した魔族が、友好的で、話が通じやすそうなやつなのは助かるな。


 できたら魔族側の協力者になってくれたら嬉しいが……まずは挨拶からしてみよう。


「まいどどうも! 最近あっちに越してきたユウといいますー」


「おっ 珍しいな、新顔かいな!」


 まさかのエセ関西弁かよ! おいこら、管理神! どういうキャラメイクしてんだよ……あ、目をそらした。あたしも知らないわよって顔してる……。


「えっとっすね……今日来たのは……あ、ルーちゃん挨拶して」


「るーちゃんは、るーちゃんです! だんじょんこあ、やってるのよ」


「へえ? あんさんダンジョンコアかいな! なんでまたこんなとこまできたんや?」


「るーちゃんね、だんじょんに、ぬまがあるおへやつくったの」


「ほうほう! そら凄いな!」


「えへへ、すごい? それでね、きょうはね、ぬまちのみんなにおしらせがあってね」


「ほんほん…… あ! 待ってや! まだ言わんといて! おっちゃん当てたるわ!」


 くっそ、もう完全にめんどくせえおっさんのノリじゃねえかよ……。


 うず……。


「ん! わかったわ! 当てたるで? ズバリ当てたるでー? ズバリ!……ダンジョンに沼を作ったっていいにきた!?」


 うず……うずうず……。


「だから今そういったやんけ! この鳥頭!」


 くっそ、耐えきれなくなってつっこんじまった……。


「わいの頭のどこに鳥がいるっちゅうねん!」


「たしかに……お皿しかあらへんな……ってそういう話や無いやろがい!」


「がっはっは、兄ちゃんおもろいなー! 気に入ったで!」


 ああ、やめろやめろ! 肩組むな! ケツを揉むんじゃねえ! おい、パンちゃん、笑ってないで助けろ! おいこら!


 ……うわあん、このコータとか言うカッパ、めんどくせえよお、ノリがくどくて胃もたれしてきちゃうよお……でも嫌いじゃない俺がいやだよお。


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