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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
3章 かぞくっていいな

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第14話 温かな場所

 パンちゃんを十分にわからせたところで、モルモルたちとの交渉に移ろうと思う。


 モルモルたちが我が家の生命線だ。俺の提案を受け入れてくれたら良いのだが。


 ルーちゃんとモルモルを呼ぶと、一緒にぴょこぴょこと跳ねながらやってきた。

 

 うーん……可愛すぎない?


「しごとのはなしか、っていってるよ」


 モルモルさんたちは話が早いな……集落の連中より賢いんじゃねえか?


「そうだ。これを見てくれ。ここを引くと、穴が見えるだろう? 君たちにはこの中に入って欲しいんだ」


 キッチン脇に据え付けたダストシュートの投入口を引き開け、中を見せる。


 こいつがまた凄くてさ、内側表面に魔導コーティングとやらがされてるとかで、どんな汚れ物もくっつかないでストーンと下まで落ちていくそうだ。


 ……って!


「さっそく入っちまったのかよ……おーい、大丈夫か?」


「おもしろかったっていってるよ」


「そっか……」


 まあ、滑り台みたいなもんだからな……楽しいかもしれん。


「ここからでも聞こえるようだから、説明を続けるぞ。俺達がいるときは、毎日ここから色々なものが落ちていくんだ。モルモルたちにはそれを食べてほしいんだよ」


「いいすみかを、もらったのに、たべものまで。ありがたい」


 ……ごみ処理を頼んでお礼を言われるとか胸が痛いぜ。


「落とすものは俺らにとって不要なものだから、こちらこそありがたいんだ」


 モルモルたちはほんとにシュートの中が気に入ったようで、出てこようとしない。


 浄化槽の説明をするには都合がいいから、このまま話を続けよう。


「奥の方によ、横穴が見えるだろう? そこから入っていった先に浄化槽という、水を貯める場所があるんだ。そこには汚れた水が流れ込むから、それも食べてほしいんだけど……」


「みずばまで! ほんとうに、ゆうどのには、かんしゃしかない!」


 ルーちゃんが感情を込めて翻訳してる……! めっちゃかわいい! じゃなくて、ユウ殿て。とうとう俺を敬い出したぞ……。


「俺らからしたら、水を綺麗にしてくれてありがとうなんだが……」


 こうしてキンタより賢そうな連中に、トイレの処理をさせるってのは……やっぱちょっと悪い気がしてくるよな。


「俺らの排泄物の処理もしてもらうことになるんだけど……本当にいいのか?」


「われらと、おまえら、かちかんちがう。もんだいない」


 価値観……やっぱキンタたちより賢いじゃねえかよ! 


「モルモルにとっては、大体のものが食べられるもの、そういうことか」


「そうだ。おまえらふようでも、われらたすかるもの。いしょくじゅう、くれたゆうどのは、あるじのあるじだ」


「そうか……そういうことなら、よろしく頼むぜ!」


「うむ。こんごともよろしく」


 暇な時はそこから出て好きにしていい、池も好きに使っていいぞと伝えると、ルーちゃんがぴょこぴょこ跳んで喜びの声を伝えてくれた。


 そう……動きまで伝えてくれたのね……くっ……可愛すぎて辛い。

 

◆◇


「ほらみて、ルーちゃん。これがさっき言ってたお池だよ」


「わー、おみずがいっぱい!」


「そのうち、お魚でも連れてきて放そうか」


「うん! るーちゃん、おともだち、つれてくる!」


 お友だちか……そうか、ルーちゃんはダンジョンコアだもんな。魔獣は総じてお友だちになるわけかー。


 ……ほっこりとしたが、今後の狩りがちょっぴりやりにくくなる話を聞いちゃったな……。


 と、複雑な顔で池を眺めていると、ガサガサ、ズルズルと音を立ててクロベエが帰ってきた……お前、なに咥えてんの?


「ユウー 肉とってきたぞー」


 ドサリと音をたて、デカい鳥を落としたクロベエが得意げな声でそう言った。


 すっげえでっけえニワトリじゃん……このタイミングで狩りをしてきたのもアレだが、そんなことより、これって俺が知らねえ魔獣じゃん……マジでお前、なに狩ってきたんだよ。


 魔獣の森はまだまだ探索しきれてないからさ、そのうちまた、俺が知らない魔獣と遭遇することもあるんだろうなって思ってたが、まさか持ってこられるとは思わなかったぜ。


「びっくりしたぜクロベエ……いやあ、大物じゃねえか、よくやったぞ、クロベエ!」


「えっへっへ……すごいだろー!」


 得意顔のクロベエをすごいすごいと撫でつつ、鑑定をすると……。


=====

 魔獣:レッグ・コッカ 可食 超うまい!


 体長1m~2m前後


 発達した脚から繰り出されるキックは大木をも打ち倒すぞ。

 その脚力から、肉質は硬いと思われがちだが、そうではない。


 レッグ・コッカは魔力による身体強化を使いこなしているため、

 脚力の割に筋肉質ではないのである。


 そう……つまりは、ジューシーなお肉ってわけ。

 書いててお腹空いてきたわね……あ、今のなし!


 土壌を耕すゲーミングミミズこと、アースワームの天敵であるため、

 農業従事者は見かけたらすぐに討伐することをおすすめする。


 素材:硬い羽 肉 

=====


 相変わらずアレな解説だな……。


 見た目は、女神の森に住んでるクッカがデカくなったような感じだな。


 これがゲームなら、クッカがわさわさ出るマップのボスキャラって感じだよな。

 

 もしくは、クッカが序盤の雑魚で、こいつは終盤出てくる上位種みたいな?


 ……ヒッグホッグってさ、ぶっちゃけラウベーラより強いと思うんだよ。


 レッグ・コッカもさ、多分だけど、結構強い魔獣だと思うんだよな。


 女神の森が序盤のマップなら、魔獣の森はクリア後に行くようなエンドコンテンツの森なんじゃねえかな……。


 パンちゃんにちらりと視線を送って……くっ、こいつ、レッグ・コッカを見てヨダレ垂らしてやがる。


 ……もしかしたら、なにか考えがあってこんな物騒な森の近くにって思ったけど……。


「ねえ、ユウ……これ、今日食べるの? 食べるのよね?」


 ぜってえなんも考えてなかったやつだわこれ……。


「そうだな……せっかくクロベエが取ってきてくれたんだし、今日は改築記念に鶏鍋でも作ろうか」


「やったあ!」


「とりなべ? おいし?」


「おいしいぞー! 楽しみにしといてくれよな!」


「おれもたのしみー!」


 けどさ。


「クロベエ まてまてー」


「やめれ ルーちゃん しっぽはやめれー」


「ほらほら、右よー! がんばれルーちゃん!」


 もしもここではなくて、女神の森に降り立っていたら……こんなにも温かな場所が生まれていなかったかも知れない。


 結果オーライなのかもしれないけど、これもある意味……女神の奇跡ってやつなのかもしれねえなあ。


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