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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
3章 かぞくっていいな

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第11話 一方その頃 パンちゃんは その1

◆◇SIDE:リパンニェル◇◆


「ぴょんぴょんぴょこぴょこー ぴょんぴょんー♪」


 ルーちゃんが……歌いながらモルモルたちと跳ねているわ……。


 なんて愛らしいのかしら……うっ……尊すぎて涙でてきた……。


 ルーちゃんを見たときはびっくりしたわ。だって、人化できるダンジョンコアなんて見たことがないっていうか、このユリカゴにそういう仕様は無いんだもの。


 コアに意思が宿ること自体は、ありえなくないと言うか、まあそうなるかって思うの。


 ダンジョンを運営するために、ある程度、思考するように作ってあるからね。


 作ってからこれだけ時間が経っているんだもの、そこに意思が宿るのは十分あり得ることよ。


 けど……ルーちゃんは何もかもが違うのよねえ。


 まず、管理ダンジョンからしておかしいのよ。


 なによ塩のダンジョンって。ユウがスマホで掘った洞窟じゃないの。なんで雑に掘っただけの穴がダンジョンになるのよ……。


 ユウにはさ、マナがーとか、加護がーとか言って適当に誤魔化したけど……ぶっちゃけマジでなんでこうなったのかわからないわ……。


 別に嘘をついたわけじゃないのよ。


 天然のダンジョンってマナだまりにできるし、溜まりやすいのは洞窟だから、天然のダンジョンに洞窟型が多いのは事実だし。


 けど、ユウがあの洞窟を作ったのって、つい最近の話じゃないの。


 ダンジョンができるほどマナが溜まるのは、どんなに早くても一年はかかるのよ? そこからしてありえないわ。


 まあ……百歩譲って、なにかこう……マナがすんごく溜まりやすいスポットだったということにしましょうか。


 通常の数十倍でマナが溜まるスポットだったから、掘ってひと月もしないうちにコアができたと。


 そして、数日でそのコアに自我が芽生え、なぜか受肉したと……。


 ありえないわ……。


 数日で自我が芽生える時点で、もうおかしいのに、受肉してるのがほんとうにわからない……。


 シュロップちゃんに聞いたら教えてくれるかしら? 


 ……んなわけないわよねえ。


 そもそもさ、ダンジョンコアっていうのは、ダンジョンというテラリウムを維持管理する、設備管理特化のAIみたいな感じなわけよ。


 だからさ……なにかの奇跡で、こうして受肉したとしても……可愛らしい見た目を得たとしても……。


 ……こんなに愛らしく歌ったり、踊ったりする存在ではないのよ……ないはずなのよ……。


「まーま、どうしたの?」


「うん? なんでもないわよー。さあ、もう少しぴょんぴょこしながら進もうねー」


「あーい! ぴょんぴょこぴょーん♪ ぴょこぴょこぴょーん♪」


 はー……かわい……。


 もう、ルーちゃんが可愛い、それでいいじゃないのって気分になってるけど……やっぱり塩のダンジョン……ルーちゃんのことはちゃんと調べないとだめよね。


 ダンジョンだってルーちゃんの一部なんだもの、この子を健やかに育てるためにもしっかりと調査しなくっちゃね。


 ◆◇


 さて……塩のダンジョンに到着したわけだけど……。


「ルーちゃん、ママね、ちょーっと調べ物があるから、むこうでモルモルたちと遊んでてくれる?」


「わかったー。モルモル、ぴょこぴょこしよー」


 ふふ、かわいいわね。


 さーて、さっそくルーちゃん誕生の謎をしらべていきましょうか!


 ユウは私の加護がかかったスマホを……狂ったように投げまくり、本能のまま岩山を崩して洞窟を作ってしまった。


 あれって、一応は神具と呼べるものになってるのよ? それを投げるってのがまずありえないし、岩肌に投げつける時の顔がこう……あまりにもいい笑顔過ぎて……。

 

 あいつ、日々平和に暮らしてましたって顔してるのにさ、めっちゃストレス溜めてたのねって、ちょっとだけ優しい気持ちになっちゃったのは内緒。

 

 ストレスのはけ口にされた岩山に掘られた穴は、最終的に奥行き五十八メートル、幅十メートルと、なかなかに頭がおかしい規模になっていた……と。


 そして……通常ではありえないペースでマナが溜まり、マナ溜まりを形成。


 バッチリとダンジョンが生まれる条件が満たされてしまった……と。


 ……洞窟が生まれた経緯と、マナが溜まったペースはまあ、おかしいけど、それでもできるダンジョンは普通のものになるはずなのよ。


 早くても一年後くらいにコアが発生して、周囲への侵食を開始。そこからまた一年位かけて小規模なダンジョンに成長していって……後は周囲の環境次第かしらね。


 このあたりは魔獣が少ないから、迷い込んで住人になってくれる魔獣はそこまで多くないはず……。


 来てもゲーミングミミズくんや、ちっちゃなネズミくんくらいのものだったでしょうから……元々の洞窟に毛が生えたような、小規模のダンジョンになって終わりだったと思う。


 さて……そんなダンジョンの現状はというと。


 規模はユウが掘った状態からほぼ変わっていないようね。


 データによれば、発生からまだ五日の産まれたばかりのダンジョンだから、それが普通といえば普通なんだけど……そもそもの話、コアであるルーちゃんが外に出てたわけで。


 それがダンジョンの成長に影響を及ぼしている可能性も考えられるわね。


 そもそも、コアが受肉してダンジョンから出ちゃうってのがありえないのよね。


 ……やっぱり私の加護が何かしらの影響を与えているんだろうけど、どうしてこんなに可愛らしい姿になったのかがわからないのよね。


 別に、私の子供の頃にそっくりってわけでもないから、私の身体データを参照したってわけじゃないでしょうし。


 よし、この座標に残されたログをもう少し丁寧にチェックしてみよう……。


 あの日、アイツがとった行動の何処かにルーちゃん誕生のヒントが隠されているはずなのよ。


 座標は……このままでいいわね。


 検索する日時は……あいつがダンジョンに来た時……たしか、塩の採掘の時と、採石採取で来てたわね……一応両方見ておきましょうか。


 ログはそうね、見て確認したいからホログラフ再生で……出た出た。これは初めてここに来たときのログね。


 ユウがアホ面で岩山を見上げているわ。ぷぷ、なんてマヌケな顔なのかしら。


 このときは、まだ「ユウくん」って呼んでたし、まさかここまで仲良くなると思っていなかったわね……。


 ほんと、何が起こるかわからないものね。


 ……はー、何度見てもスマホを壁に投げつけるのはギョッとするわね……ほら、この恍惚とした顔……マジでどんだけ仕事でストレス溜めてたのか気になるレベルよね……。


『ぬおっしゃああああるぁるぁっ!!』

 

 ふふ……確かこの後、スマホロストしたって騒ぐのよねえ……あら?


 今、何か……スマホから小さなものが外れて飛んでったわね? 


 ログ情報だと確かこのあたりよね……ええと、ユウの魔力を探ってみましょうか……あった……これは……メモリーカードね?


 ユウのスマホはメモリーカードスロットがないはずだけど……ログを見てみましょうか。


 ああ……なるほど。


 よく見ると、スマホケースに小さな収納スペースがあるわね……。


 そこにカードと、スマホ用のちっちゃなカードリーダーいれてたのね。


 そんなものを入れてんのに、スマホを投げるとかマジで終わってるわね……まあ、今日までなんも言ってないあたりからして、存在を忘れているんでしょうけれども。


 だからきっと、中身はどうでもいいデータなんだと思うけど……一応謝っておくわね、ごめん、中身を見させてもらうわ。


 べ、べつにユウが何を保存してるか気になったわけじゃないのよ? 


 ルーちゃんの誕生に関係ありそうな物はすべてチェックしないといけないからね? このユリカゴの常識から外れた異物、ユウとその所有物はしっかりと調べる必要があるわけじゃない? 


 そう、これは仕方がないことなのよ。


 ええと、この規格なら私のタブレットPCで読めるわね。


 スロットに差し込んでっと……うん、カードは無事なようね。


「ふーん……なにか色々入ってるわね……むっ!」


 この【画像】ってフォルダ……とてもにおうわね。なにかとってもいいお宝が入っている予感がするわ!


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