↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
3章 かぞくっていいな

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/144

第10話 水回りをやっていくわよ

 上下水道の設計を始めるのはいい。


 だが、俺にそんな知識があるかと言えば、答えはもちろんNOだ。


 蛇口の交換をしたり、パイプのつまりを取ったことがあるくらいで、上下水道の仕組みなんて、浄化槽がうんたらくらいの、ふんわりとした知識しかないわけですよ。


 てわけで、困った時はスマホ様の出番です。


 と言っても、AIの出番はまだだ。


 たしかに、AIは聞かれたことにはきちんと答えてくれる素晴らしい相棒だと思ってるし、今回のケースにもうってつけだろうなって思う。


 図面を引いてって頼めばさ、いい感じのを書いてくれるだろうしな。


 けどさ、アドバイスをもらっても、図面を引いてもらっても、それが正しいのかどうか、思ったとおりに機能するのかを俺には判断できねえんだよ。


 そんなフワフワとした設計のものをさ、俺が使うならともかく、ルーちゃんも使う設備に使うわけにはいかねえじゃん?


 つうわけで、もっと直接的な頼り方をしたいと思います。


 そう、ここは日本じゃない、異世界リプラシルだ。


 地球人の叡智を鼻で笑う、でたらめな法則で動きやがる魔導具という、愉快な物が実在するファンタジー世界だ。


 だから【製作】なり【建造】で解決できちゃうんじゃねえかなって思ってたんだよな。


 というか、できねえと困る。その辺りをそっくりそのまま頼る前提でここまで改築してきたっていうか、モルモルたちまで連れてきてるんだからな。


 マジで頼む……無かったら……最悪パンちゃんに直談判してなんとかしてもらおう……。


 あ……良かった……まんまのがあったわ……。


『水洗トイレセット(魔導式)』『キッチンセット(魔導式)』『お風呂セット(魔導式)』


 これを設置するには、前提設備として【建造】で浄化槽の設置が必要なのか。ソイツを設置した後【製作】で作れるようになると。


 作った後は、改築機能で組み込める……すっげえ便利で笑う。このスマホ、改めてやべえな。

 リプラシルをテコ入れし、停滞した文明を進化させる役目を担っている俺がだよ? こんな雑に高度な生活レベルの家を手に入れちまっていいのだろうか。 


 良いに決まってるじゃん! だって、住むのが管理神と、その娘と、日本人とその猫なんだもん!


 現地人住まわせるわけじゃねーから別にいいんだよ!


「って……流石に配管は手動で書かなきゃねえのか。でもなんかサポート機能があるな……至れり尽くせりかよ」


 ええと……家の隣の地中に浄化槽を設置して……宅内の排水をパイプを通じて地下に下ろして、集水桝に……そんで、パイプが浄化槽に行って……泉に出す……のはなんかやだから、池も作るか。


 うーん、当初より大げさになってきたぞ。


 でも、これはこれで楽しい!


 浄化槽に繋がるモルモル用の出入り口を作って……いや、メンテナンス用に俺も降りれるようにしてっと。


 ……

 …


 うーし、なんとか図面が引けたぞ。


 そうだな……まずは池から作っとくか。ここだけ【掘削】や【締固】でやらなきゃねえしな。


 ええと池は……直径二十メートルくらいっと……。


 万が一ルーちゃんが落ちても大丈夫なように、中央に向かってなだらかに深くなるようにして……一番深い中心部は水深一メートルくらいでいいか。


 後は……適当に石やら岩やらを置いてっと……浅いところはデカい石でがっつり舗装しておくか。


 んで、浄化槽からの排水口を作ってと……うん、ちょっとデカすぎる気もするが、いい感じだな。


 作ってて思ったが、浄化槽から出る水だけじゃいつまで経ってもここはいっぱいにならねえよな……。


 泉から水路を作って引くか?


 いや、泉に逆流したらって思うとなんかやだからナシだな。


 ……めんどくせえ! ここにも水道引いて蛇口から出しちまえ。


 どうせ出てくんのは泉の水だし、別にいいやろ……誰に文句言われるわけでもねえし。


 パンちゃん? ああ、大丈夫。あいつならきっと『へえ、プールみたいでいいわね』っていうよ。


 問題は、雨などで溢れそうになっちまった場合だが、それもモルモルにお願いしておこう。


 無理だったら……そん時は家の周りの堀に流し込めるようにしよう。


 今やればいいじゃんって思っただろ? そんな無駄なことはできねえんだな、これが。


 気楽に使ってるように見えて、アプリを使うと魔石がモリモリ溶けていくのよ……だからさ、節約できるところはしねえと、魔石狩りの副産物でお肉が無限に増えることになっちまうのよ……。


 あんな感動的に別れてきた手前、集落にはまだ行きたくねえから、肉は増やさない方向でいきたいの……。


 ……うん。


【開拓】でできることはあらかた終わったな。お次は【製作】と【建造】の出番だ。


 といっても、図面は既に読み込ませてあるし、宅内の配管周りは補助ツールでサクサクっと記入済みだからな。


 後は、家から浄化槽に繋がるパイプと、浄化槽から池までのパイプを補助ツールで書き込んだら……おしまいだ!


 アプリの決定ボタンを押すと、家が真っ白な光に覆われ……なんか思ったよりデカくなってるな……。


 つうか、池を作るのに夢中になって、外から全然見てなかったせいだわ。


 バス・トイレを増築する前に、キッチンやらリビング、寝室を拡張してたんだもん、前の倍以上の大きさになってんのは当たり前だよなあ。


 うーん……マジで山小屋から家になった感あるな……。


 スマホだよりとは言え、マジで感慨深いぜ……それも、俺とクロベエだけじゃねえ、ルーちゃんとパンちゃんも一緒に住む、家族の家ってやつだ。


 ……言ってて恥ずかしくなってきた。


 パンちゃんがいなくてよかったわ……心読まれてたら、きっと互いに気まずい思いをしただろうからな。


 よ、よし。せっかく作ったんだし、さっそく試してみよう。


「池専用の水道ってのがまた、金持ちの家みたいで良いよね……おお、マジで出てきたわ……」


 池に設置した蛇口をひねると、なかなかの勢いで水が出てきた。


 ……これ、溜まるのにどんくらいかかるんだろう。


 よし、これはAIのシュロップに頼ろうか。


 別に水が溜まる時間なんてよ、ざっくりわかればいいわけじゃん? こういう多少間違ってても、誰も困らんようなネタとか、ある程度裏を取れるようなネタにはどんどんAIを使うべきだと思うぜ。


 だって、池に水が溜まる時間とかさ、自分で計算するなんてぜってえ嫌だっていうか、無理だもん。


『なあなあ、直径二十メートル、中心の深さ一メートルで、なだらかな池を作ったんだけど、水道から水を出したら溜まるまでどんくらいかかるの』


『また面白いことしてるわねー★』

『普通に考えると、余裕で三日はかかるわよ』


『そんなに』


『うーん、でも、その水道なら……二時間もあれば八割くらい溜まると思うわよ★』


『え、マジで?』


『マジよマジ★ いいくらい溜まったら勝手に止まるから、他の作業してても平気よー★』


『ほーん……便利なもんだわ。さんきゅーシュロップ』


『はーい、またねー、ユウくん★』


 いやあ……マジで異世界蛇口様々やな! 出しっぱで三日とかヤバすぎない? 

 

 いやまあ、クソデカイ池に蛇口から水を出して貯めるって言う考えもヤバすぎるんだけどさ。


 まあ、ほっとけば自動で止まるらしいし、マジで助かるわ。


 ……?


 なーんか引っかかるな……? うーん……あ、そうだ。お風呂に使う小物とか、トイレットペーパーとかも作らねえと……危ねえ危ねえ。


 まずはお風呂で使う桶を作って……バスタブの蓋も作るか。


 あとは……そうだタオル! タオルもつくらないと……あっ。


 やっべ、タオルは素材が足らねえって出るわ。


 いつかのお茶みたいに、たまたま湿原で採ってた素材でなんとかなってくれれば良いものを……無駄にイベントを生やしよって……。


 タオルを作るにはビッグモスの繭か、ふわふわの実という素材が必要らしい……。


 ビッグモスは……まあ、きっとデカい蚕さんみたいな魔獣なんだろうし、ふわふわの実も、おそらく綿花のバケモンみたいな植物についてる実なんじゃねえかって思う。


 予想はつくんだが、それを見たことがないんだよな。


 ビッグモスはともかく、ふわふわの実なんか、見てたら確実に採取してるだろうから、俺の行動範囲にはきっと生えてないんだろう。


「なあ、クロベエさんよー……って、居ねえ!」


 あいつ、また黙って散歩に出かけやがったな。


 まあ、事故の心配はねえし、近所の人に迷惑かけることもねえから……別に良いんだけどさ、出かける前に「行ってきます」の一言くらいは欲しいぜ。


 クロベエは居ねえと……だったら、詳しそうなやつに聞いてみるか。


 ポヒュ!


『ビッグモス、もしくはふわふわの実が手に入る場所はこの辺にありますか? あるなら、地図を書いて下さい。ない場合は、近場で取れそうな代替品を教えてください』


 ポコン!


『AIと間違えて送ってない?』


 ポヒュ!


『たしかにそれっぽい書き方したけど、AIに聞くような内容じゃねえだろ』


 ポコン!


『……たしかに。ビッグモスはいないけど、ふわふわの実なら近くにあるわよ?』


 ポヒュ!


『マジで? タオル作るのに必要だからさ、教えてほしいんだけど!』


 ポコン!


『なんでそんな必死なのよ……ていうか、今日行った湿原に生えてたじゃないの』


 ポヒュ!


『ええ……そんなものなかったけど……?』


 ポコン!


『ちゃんと見てなかったんでしょ、じゃあ教えてあげるからあとで行きましょう』


 そんなの見た記憶が無いけど、きっとあったんだろうな……俺って我ながら雑なとこあるからな……視界に入ってても見落としてた可能性は大いにあるわ。


 ふわふわの実が調達できれば、タオルだけじゃなくて着替えだって作れるようになりそうだよな。


 俺って、実はずっと同じ服を着てるからね。 


 泉の水で洗ってはいたんだけどさ、洗剤なしの水洗いだぜ? 汚れが落ちきるわけねーわけじゃん。


 半端に洗うと、見た目はともかく、匂いがでちゃうのよ。


 だからなのか、ここ最近はパンちゃんが魔法かなんかでキレイにしてくれてんだよね。


 ……それってさ、暗に「おめーくせえんだよ」って言われてるようでアレだし、きれいになってるつっても、毎日同じ服ってのは気分的に嫌なんだよ。


 ふわふわの実……くっ……今すぐにでも取りに行きてえぜ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。