第9話 改築をしますわよ
モルモルとの契約が叶ったので、さっそく家に向かって歩いているのだが……。
ルーちゃんを背中に乗せたクロベエがさ、ご機嫌なのか嬉しげに尻尾をブンブンと振りながら歩いていてな。
んで、その後ろをさ……ぴょこぴょこ、ぴょこぴょことモルモルたちが飛び跳ねながらついていくんだよ……。
「なあパンちゃん……あれ、ヤバくね……」
「ヤバい……可愛すぎて涙出てきた」
わかりみがある。
めっちゃファンシーっつうか、絵本みたいっていうか……モフモフに可愛いのが乗って可愛いことしてるのマジでヤバくて語彙が終わる。
「いけいけー! くろべー!」
「おー!」
くっ……とどめを刺しにきよった。
「……パンちゃんよ……俺たち、無事にたどり着けるかな……」
「……」
「パンちゃん……パンちゃ……くっ……昇天しやがったぜ!」
◇◆
ルーちゃんから致命傷をいただきつつも、なんとか帰宅した我らモルモル捕獲隊は、さっそくモルモルたちを職場に案内することに……ああ、改築の途中で湿原に行っちまったんだった……。
んー……こういうのって、無理に急いでやるとろくなことにならねえんだよな。
とりあえず……先にダンジョンに行っててもらおうか。その間に設計から改築まで済ましておけば、余計な手間もかからんしな。
「つうわけでパンちゃん。先にダンジョンの用事を済ませてきてくんね?」
「えぇ……帰ってきたところなのに……けど……半端なまま湿原に連れ出したのはあたしだし……うー、しょうがないわねえ」
「ありがてえ。いい感じに改築しとくから、期待しといてくれよな」
「ほんと任せたわよ? 帰ってきたらルーちゃんとお風呂に入るんだから、絶対に完成させなさいよ?」
「任せとけって! あ、そうだ。ダンジョン化した洞窟いくんならさ、なんか鉱石とか拾ってきてくんね」
「もののついでのように使うわよねー……しょうがないわね、めぼしいものがあったら、おみやげに持ってくるわ」
「サンキュー! さっすが俺たちの女神様だぜ!」
「な、なによ……ほんと調子がいいやつなんだから! さ、ルーちゃん、モルモル。いくわよ」
「はーい」
パンちゃんのやつ、ウッキウキでダンジョンに向かっていったぞ。
ほんと扱いやすくて助かるわ。
さて……ああ言った以上、立派なバスルームを作っておかねえと何を言われるかわからねえな。
俺も頑張らねえと!
はじめにリビングだが、これはもう図面を引き終わってるから……このまま作っちまって良いな。
よし……できた。
すげえな、午前中までは山小屋みたいだったリビングが、山小屋風ペンションみたいに生まれ変わっちまった。
広くなったからってのもあるけど、ソファを置いたり、カーペット敷いたのが効いてるな。
んで、次は寝室だな。ここも図面はもうできてるからサクサクっと行っちゃおう。
いやあ……なんだろな……夫婦の寝室感あるっつうかなんつうか。
間にルーちゃんのベッドがあるからさ、厳密にはちげーんだろうけど……独身の俺が居ていい部屋なのか悩むレベルで夫婦の寝室だわこれ……。
パンちゃんのやつ、図面見て何も言わなかったけど、実際みたらどう思うんだろう……。
変に意識されると……なんかアレな空気になっちまうから、そこはバカみたいな顔で「へー、良いじゃない!」って言って欲しいところだな……。
さて……本番はここからだ。
キッチンとトイレ、そして風呂……そう、今日の主役である水回りだ。
モルモルさんに処理をしてもらいたいのは、キッチンやお風呂からの排水と、残り物や生ゴミなど……それと、一番肝心な……そう、我々が体内から排出するあれやこれやだ。
ラノベでよく見かけるのは、ぼっとん便所に住まわせてるパターンだな。
便器を覗くと中にスライムが居て、飼い主一家が排出したあれやこれやをダイレクトに処理してくれるような感じなわけだ。
ただよ、この世界のスライムポジションであるモルモルは、なかなか高度な知性を備えているわけじゃん。
ポヨポヨした見た目してっけど、十分知的生命体と呼べる存在であるわけじゃん……。
そんなモルモルたちにさ、ぼっとん便所に住んでくれっていうのは……なんかアレだし、ケツなどを見られるのも……嫌だ。
だからやっぱ、ここは水洗トイレを再現したいと思う。
トイレからパイプを伝って、お水と一緒に浄化槽に流れ込むようにするんだ。
ほかの排水も浄化槽に繋がるようにしておけば、後はモルモルさんたちが適当なタイミングでお掃除してくれるだけでオッケーだろ。
水洗でも結局あれやこれやを処理してもらうのはかわらねえんだが……まあ、気の持ちようってやつよ。
さて……厄介な上下水道の設計を始めるとしましょうかね……。




