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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
3章 かぞくっていいな

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第2話 侵入者

 集落との往復でわかったことだが、どうも家の周辺には大した魔獣が居ないらしい。


 穴を掘ればゲーミングミミズが、草原をよく見りゃパンクな感じのトカゲさんが見つかったりするけどさ、集落がある草原みたいに、デカいネズミやら、鳥さんやらはいる気配がない。


 ああ、そうさ……あの堀、ちょっとだけ大げさすぎたかなって。


 帰り道、魔獣のポップがスッカスカな草原をみて、うっすらと考えたさ……。


 ぶっちゃけ、気持ち程度の柵で良かったよな、これじゃただ単に出入りがしにくいだけだよな、ああ、パンちゃんが気づいたらくっそバカにすんだろうな……。


 って、思っていたんだよ。


 なのにだ。


 堀になにかが落っこちているらしい……。


 クロベエも、トカゲを見てキャッキャとしてたから、トカゲならそう言うはずだ。


『変なのがいるんだ』


 つまり、クロベエが知らない魔獣がいる。


 俺よりもあちこち見て回っているだろうクロベエが知らない魔獣だ。


 やはりあの堀……作って正解だったのかも知れない。


 クロベエの後に続いて現地に向かうと、堀の底で何かが丸くなっていた。


「なんだあれ……たしかに変なのがいるな……」


 堀に溜まった枯れ草に埋もれてるものだから、ギリースーツを着た何かが蠢いているようにしかみえねえ……。


 トカゲさんが枯れ草まみれになってるだけなのか、それともマジで未知の……ミノムシタイプの魔獣さんなのか。


 こっからじゃまったく判別できねえな。


 あ、そうだ。スマホで撮れば……って、家だわ……。


 取りに行けって? まあ、俺もそう思うよ。けどさ、めんどくせえんだよ……この、ギリあってもなくてもなんとかなりそうな状況っていうの?


 無いとなにもできねえってなら、そら取りに行くけどさ、あの枯れ草の中身を確認するくらいなら……ギリなんとかなると思わねえ?


 スマホが無い俺はクソ雑魚だってわかっちゃいるけど、面倒くささが勝ってしまったのだから仕方がねえ。


 よし……覚悟完了だ。


「クロベエ……ちょっと降りてみてきてよ……枯れ草どかせば流石に何が居るのかわかるだろ」


「ええ…… おれにふるの? ユウがいきなよ……」


 くっそ、しれっとクロベエに任せる作戦があっさり失敗してしまった……。


 どうすっかな……やっぱスマホ取ってくるか? 下手に降りて襲われるのも馬鹿らしいしな……けどなー、こっから家までって地味に距離があんだよな……。


 なんかねえかな、降りなくてもいい方法……あ、良いもん落ちてんじゃん!


 前に何かを作ろうと思って出した素材の残り、無駄に長い棒やらツルやらが落っこちていた。


 いやあ、これだよこれ。こういうファンタジー世界にはさ、御都合展開があってこそだよ。


 うん? ただ単にズボラなだけだろ? ちゃんとしまってなかっただけだろうって?


 それはそうなんだけど、こうして助かってんだから良いだろ……。


 棒と棒をツルで縛って繋げ、くっそ長い棒の完成だ!


 うーむ……久々に手動でクラフトしたけど、たまになら悪くねえな。


 そろそろと棒を下ろし、ゆっくりと蠢く枯れ草に近づけていく……動きは変わらずか。


 もうちょい近づけて……いや、ここは大胆に行こう!


 つんつん つんつん


 軽くつついてみたが、反応が無い……つうか、相変わらずモゾモゾしてるだけだ。


 弱っているのかな……? うーん、もうちょっとだけつついてみよう。


 つんつん つんつん つんつくつん


 微妙に場所を変えつつ、満遍なくつついていると……枯れ草の塊がビクビクっと大きく跳ねた。


「うおおお! びっくりした! 動くぞこいつうううううう!!!!」


「……っ!」


 うおおおお、枯れ草が、ザザザザ……っと動いたぞ……めっちゃいる、なんかいる! トカゲじゃねえぞあれ! なんだよ、なんだよー!


「き、君は完全に包囲されているー! おとなしく出てきなさーい」


 魔獣相手になにしてんだって? いやほら、賢い魔獣だったら、加護の力で会話できるって、パンちゃんがいってたし……クロベエだって謎に言語スキル生えてるしよ、ワンチャン通じるかもしれねえだろ……。


 ……すいません……やってみたかっただけです。こういう時の定番だろって、ついやっちゃっただけです……って。


 言葉が通じたのかはわからない。


 たまたまなのかもしれない……だが、枯れ草の塊はぴたりと動きを止め、スクっと立ち上がって……姿を……現した。 


「えぇ……そう来たかぁ……」


 枯れ草の中から顔を出したのは魔獣ではなく、薄いブルーの髪色をした、真っ白な肌の小さな女の子だった。


 ……なんで全裸なんですかねえ。


「う……うおおお! 全裸は色々とまずいってえ! そこの君! 大丈夫か? 大丈夫なら今すぐ枯れ草に戻るんだ! はやく戻ってくれ!」


 このままでは俺が社会的に抹殺されてしまう! マジで頼むぜ、なあ!


 うおおおお、なんなんこの子、全然動じねえ!


 キョトンとしたお顔が可愛いですねって、ちげえだろ! 


 言葉が通じてない? いいや、それはない。


 女神印の翻訳もってんだぞ? 人族どころか、魔族だって一部の魔獣にだって言葉が通じるらしいんだぞ! 通じねえわけねえじゃん!


 うおおおおなんでも良いけど、マジで枯れ草に戻ってくれ! この状況はほんとやばいんだってえ!


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