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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
3章 かぞくっていいな

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第1話 久々の我が家

 住民たちに「宿題」を出しておこうと思いついたのは昨夜のことだった。


 夜空でチルりつつ、女神の放屁を右から左に流している時に「そうだ、宿題を出そう」と、ぽっと思いついたんだ。

 

 集落の連中は、もう既に止まっていた足を動かし始めている。だから、もう俺が手を貸さなくても大丈夫だとは思う。


 けど、背中を押してやれば、歩みの速度があがって、もっともっと良い集落にしてくれるんじゃねえか、そう思ったんだ。


 ……だもんで、寝る前にあれやこれやと準備をしたわけじゃん? ぶっちゃけ寝不足で、ちょっぴりだるだるでさ。


 みんなのとこ回るのめんどくせえなあってちょっと思ってたから、こうして見送りに来てくれたのは助かった……いや違うな。


 めちゃくちゃ嬉しかったわ。


 キンタ一家に狩人たち、ザックやシゲミチに、マモ爺まで……いや、つうかこれ、集落総出で来てくれてんじゃねえか……くっそ、目から汗が出ちまう。


 一泊二日くらいの予定だったのに、思ったより長く居ちまったなあ。


 人が多いとこってそこまで好きじゃなかったんだが……やっぱ人恋しかったのかも知れねえな。


 名残惜しいが、いつまでもうだうだしても居られねえ。


 じゃ、そろそろ行くかねー。


「みんな、見送ってくれてありがとうな」


「ありがとうはこっちのセリフだよ、なあみんな!」


「そうっすよ! ユウさん、次来た時、びっくりさせるよう頑張りますから!」


「俺もいっぱい描いて、立派な図鑑作ってびっくりさせまーす!」


「お兄ちゃーん、ありがとねー!」


「マモ爺も感謝ですぞーい!」


 集落中の人らが俺の周りに集まって、やいのやいのと始まった。


 くっそ、これじゃ帰れなくなっちまうだろうがよ……ええい、離せ離せ! 俺のケツを揉んでるのは誰だ……ってマモ爺じゃねえか! やめろばか!


「……じゃあなあ、みんな! またくっからなあ!」


「またなー みんなー」


「クロベエちゃーん、またねー!」


 弾けるようなリットちゃんの声に背中を押されながら、集落を後にした。


 ……え? パンちゃん? ああ、あいつね……居ねえと思ったら、クロベエの背中に埋もれて気配を消してたよ……。


 やるじゃねえか。


  ◇


 ……そうだった。


 くっそ暇なんだった。 


 いやあ、帰り道、くっそ暇っすわ……。


 森までの道中は良かったんだ。集落の余韻が残っていたしさ、賑やかになった森を歩くのは楽しかったからな。


 パンちゃんを軽くいじりながら泉で休憩してよ、俺んち側に出たところで一泊だ。


 天に帰ることを忘れたパンちゃんに肉を与え、テントでしょうもない話をしてるうちにぐっすりと眠りに落ちて。


 んで、朝飯を食ってよ、後は家に向かうだけだってなったわけなんだが、クソ暇平原エリアに入った途端……。


『ちょっとリプラシル(ユリカゴ)に居すぎたわね……アニメの消化もしたいし……ごほん、仕事もあるし、そろそろ帰るわね』


 なんて、白々しいことを言ってパンちゃんが離脱。


 あいつ、アニメ見たいがために俺を見捨てやがったんだ。


 クロベエとの二人旅も悪くはねえよ? でもよ、パンちゃんが居たらよ、トークの幅が広がるし、いい暇つぶしになってたんだよ……。


 いやあ……マジで暇だわ。


 暇すぎてパンちゃんを恋しく思う始末。


 あんまりにも退屈過ぎるので、行きにやった街道の整地の仕上げ……軽く採石をばらまき、転圧をしながら進んでいく。


「ユウー これやると歩きやすいけどさあ 帰るの遅くなるよねえ」


「……クッ……そうだった。これやるとスピードダウンすんだよな……」


 けどな、あの集落はいいとこだったからな……またそのうち行くつもりだし、今のうちにやっとけば……うん、がんばるか。


 クロベエの背中に揺られ、ひたすら家を目指して進んでいく。


 はあ……せめて半日でつくようになりゃなあ……。


 クロベエのおかげで一泊二日で済んでるんだから、贅沢は言えねえけどさ、もうちょっと気軽に行き来してえよなあ。


 そして――


 牧歌的過ぎる景色に心が折られそうになった頃、ようやく我が家が見えてきた。


 いやあ……改めてみると、この堀エゲつなくて笑うわ。


 おかげさまで、家の敷地内に魔獣が侵入した様子はない。


 懐かしの我が家は当然健在だ。


 強いて言えば……気持ち埃っぽくなってるくらいで、出発した時とまったく変わらない姿で俺たちを出迎えてくれたよ。


 集落の皆もこれからに向けて頑張るんだ、俺も負けずにここを充実させていかないとな。


 とはいってもだ。


 今日は移動でかなり疲れちまったからな……。


 もう……何もやる気がでねえ……ああ、ベッド様のぬくもりが心地良い……この……素朴な素材が絶妙に俺を包み込んで……あかん眠くなってきた。


 スヤァ……


……

…


◇◆


 ふふ……ふわっふわだわ……やめろよ、リットちゃん、それは肉じゃなくて、アホ女神のケツだよ……だから違うってば……叩いちゃダメ……。


「ユウ! 堀になんかおっこちてる!」


 ……うーん、ほら……叩くから……パンちゃんが転げ落ちちゃった……


「ユウ! 起きて! 大変だよ!」


「なんだよ……うるさいな……んあ……クロベエかよお……」


「起きてってば! ユウ! はやく!」


 ……にゃむにゃむ……まだ……朝の五時じゃねえかよ……ああ、すっかり寝ちゃってたんだな……。


「もー! 変なのがいるんだよ! 早く来てよ!」


 うーん? うん……変なのとは……穏やかじゃねえな……。


 帰って早々に事件かぁ? マジでやめてくれよ……。


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