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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
2章 交流するぞ

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第22話 肉と狩りと新装備と。

 パンちゃんのあれやこれやを誤魔化したせいで、開幕からかなりグッダグダになっちまった。


 なにが一番だるいかって、キンタに掘らせた穴あるじゃん? あれさあ、取ってきた丸太を狩人たちに立ててもらうつもりだったんだよ。


 なのにさ……もうみんな食い始めてんじゃん? ここで「ちょっと手伝って」って言う勇気は俺にはねえよ……。


「ユウさん、なにしてるんすか?」


「ん……おお、モフゾウか。この後使うんでな、丸太を穴に立ててんだよ」


「手伝うっす!」


「わりいな、ちょっとここ抑えててくれ……よし、いいぞ!」


 いい若者じゃねえかよ……キンタなんて、向こうで両手に肉を持ってニッコニコなんだぜ? わんぱくスタイルではしゃぎやがって、少しはモフゾウくんを見習えよな。


 ふう……こんなもんか。


 モフゾウに手伝ってもらったおかげで、立派な柱を立てることができたわ。


「ありがとな、モフゾウ」


「いいっす、いいっす! ユウさんにはほんと肉で世話になってんで!」


 モフゾウにとっておきのヒッグホッグ焼きをお礼に渡すと、ニッコニコしながら去っていった。


 さてと……俺もリブッカを味わうとしますかね。


 うん? パンちゃん? ほら、向こうで両手に肉、口にも肉のストロングスタイルで場を沸かせてるのがそうだよ……。


◆◇


 ふう……リブッカは確かにうめえが、流石にキツくなってきたな……他の奴らは……まだまだいけそうか……流石だな。


 いい感じに場があったまってきたし、そろそろ良い頃合いだな。


「はーい、ちゅうもーく!」


 モフゾウと立てた丸太の前に立ち、声を上げると、なんだなんだと住人たちが注目した。


「まずは肉に乾杯!」


「「「乾杯!」」」


 なんとなくノリでいってみたけど……戸惑わず乗って来たあたり乾杯の概念はあるようだな……酒はないっぽいのに不思議だ……。


 こういうしょうもない概念があるのが、リプラシルって感じで最近クセになってきたわ。


 こうして俺が場を盛り上げて、何をしたいかと言うと、集落再生プロジェクトの説明をしたい……ってのもあるんだが、まずはじめに俺の神格化を防ぐという、大事なミッションがあるんだ。


 このままだと間違いなく俺は「肉の人」として祀り上げられ、最悪マジで「肉の神ユウサン」なんて称号がつきかねえ。


 そう……リプラシルだからな!


 だから……俺は手柄を擦り付ける……! 


 集落のヒーローは……肉のヒーローはキンタ達だ!


「今、みなさんが食べている肉……誰が狩ったと思いますか? なんと、キンタたち、狩人のみんなが狩ってきたんです! 狩人たちに感謝ァ!」


「うおおおおおおお! 感謝ァ!」


 会場がどっと沸いた。いやあ、ノリが良いよなあ、ここの人ら。


「てっきりユウさんが狩ったのかと思ったぜ、やるじゃねえかキンタ!」


「こいつらはいつかやると思ってたわ」


「ほんそれ!」


 チヤホヤされ、照れる狩人たち。中でも一番てれてれしているキンタが、恥ずかしそうな顔で前に出てきた。


「待て待て、それを言うならユウにも感謝だろ? あんなでけえ肉を分けてくれただけじゃねえ、俺達に再び肉を狩らせてくれたんだ、どんだけ感謝したらいいかわからねえよ!」


「「「ヴぉおおおおお!! ユウサンに感謝ァアア」」」


 うっわ……地響きかと思った……なんでそんなに盛り上がれるんよ……びっくりしちまったじゃねえか。


 やっべ、すっげえキラッキラした顔で俺を見てる……くっそ、擦り付けたのに俺に返してんじゃねえよ。


 このままじゃマジで肉の神にされちまうだろうが……なあ、パンちゃん、助けてくれ、俺このままじゃ……ってパンちゃん、なんで俺を拝んでんだよ! マジでやめろ!


 くっ……このままじゃやべえ。キンタにカウンターを当てねえと!


「なあに、俺はあくまで切っ掛けを作っただけさ。今日の成果は、彼ら狩人が本来の力を出せるようになったおかげだ」


「本来の力?」


「ああ、この肉はほとんど狩人が狩ったんだぞ? しかも昨日だけでだ!」


「うおおおお! すげえな、やるようになったじゃねえか!」


「これからは毎日お肉が食べられそうね!」


 いいぞいいぞ……キンタたちに意識が向き始めた……ようし、このまま……。


「いや……ほんとにすげえのはユウさんっす」


 モフゾウくん? 


「ああ、そうだな……なにせ、あんなにでっけえ魔獣……リブッカを仕留めたんだからな」


 キンタさん?


「リブッカ……?」


「ああ、今日食ってる肉の中に、やたらとうめえのがあっただろ? それがリブッカだ」


「うおおお……これをユウさんが……」


「俺達はよ、ロップやクッカを自在に狩れるようになって、調子に乗っちまったのよ」


「そうっす! キンタさんよりずーっと大きい、リブッカも狩れるって思っちまったんす!」


 やばい! この流れはヤバいぞ! チヤホヤされるのは好きだけど、この流れでされるのはいやだ! おい、誰か流れを変えてくれ!


「そんなでけえのに挑んだのかよ、お前らやるじゃねえか」


 そうだ! いいぞいいぞ! こいつらはやるんだよ! ほら、もっと褒めてやれ!


「確かに俺らは挑んだ。だがよ、射った矢はまったく効きやしなかった。それどころか、リブッカを怒らせちまった」


「怒ったリブッカはユウさんに向かっていったんす!」


 おい、やめろやめろ! 俺をかっこよく語る流れはマジでやめろ!


「ものすげえ勢いでユウに迫るリブッカ。俺だったら腰を抜かして泣いちゃってるね」


「ところがユウさんは落ち着いた顔で立っていたっす。そして……こう、両手を出して、マホウのパンチで殴り飛ばしたんすよ……」


「マジかよ……ものすげえでけえ魔獣をパンチで一発か……」


「マホーがすげえっていうか、やっぱユウさんがすげえんだろうな……!」


 魔法がすげえ、ユウさんがすげえ、ユウと魔法がなけりゃあんなの狩れねえなあと、場が完全に俺と魔法を褒め称える感じになってしまっている。


 弓なんてだめじゃねえか、これからは魔法じゃね? なんて声もちらほら聞こえるが……この流れって実は悪くねえんだよな。


 肉神呼ばわりされる前に、本題に入るとしよう。


「弓がだめ? いいや。弓でもアレは狩れるよ。もちろん、俺じゃなくてキンタが射った矢でな」


「まじかよ! 無理だろ? だって矢が通らなかったじゃねえかよ」


「キンタ、お前たちは矢を変えたら見違えるほどに狩りがうまくなっただろ?」


「ああ、あれはびっくりしたな」


「だったら、弓も変えたら……どうなると思う?」


「弓も……ま、まさか……」


 人々が肉を片手にこちらを見たのを確認し、ストレージから秘密兵器……コンポジットボウを取り出した。


「こいつは様々な素材を張り合わせて弓を強化……ざっくりいうと、威力を高めたものだ……フッ!」


 バシュン、と音を立て、モフゾウと立てた柱に矢が飛んでいく。


 バスッ


 深々と柱に刺さる矢にざわめく会場。


 ……ちゃんと当たってくれてほっとする俺。


「うおおおおおお! なんて威力だよ!」


「ユウさんってパンチの人かと思ったが、弓の腕前も凄えな! ど真ん中だぜ!」


 ……隣の柱を狙ったんだって事は内緒にしておこう。


「いずれこれを大物用として使って貰いたいと思ってるんだけど、簡単に作れるようなもんじゃない。だから、俺が作ったこの弓は、腕が一番良いキンタに渡そうと思う」


「キンタさんか、なら文句ないな!」


「俺でいいのか?」


「ああ、いいとも。まあ、今後のために、他の奴らにもたまに貸してやってくれ」


「おう、任せてくれ!」


「ただ、次に俺がここに来るまでは練習にだけ使ってくれ」


「え……なんでだよ?」


「見せた通り、この弓は威力が強い。慣れないうちは怪我をするかもしれんからな」


「なるほど……わかったぜ!」


 この弓なら、キンタはもちろんモフゾウや他の狩人たちだってリブッカを狩れるようになるだろう。


 そのためには、狩人全員にこいつを行き渡らせる必要があるわけだが、それを全部俺が作るのは違うと思うんだよ。


 キンタにやったのは、きっかけを作るためのサンプルだ。


 そして……そのサンプルって、実はもう一張あるんだよな。


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