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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
1章 拠点を作るぞ

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第5話 異世界サバイバルの必需品

 ハイヨー! クロベエ! どうもこんにちは、ネコライダー、ユウですけれども。


 いやあ、いいですよね、クソデカキャッツ。なんたって、こうして背中に乗ってノッコノコと移動ができるんだ。


 油断すると酔いそうなのに目をつぶればケツは痛くねえし、意外と落ちねえから乗り物として悪くないぜ。


 で、何してるかって、俺たちが今日を生き抜くために必要なもの二つだ。


 そう、水と焚き火に使えそうな物を探しているんだ。


 後者に関しては、こうして移動してる間にも、いい感じの枝やら、焚き付けに使えそうな木の葉やら、松ぼっくりのようななにかやらが見つかっていて、なかなかに幸先が良い……のだが。


 いやぁ……水なめてたわ。


 泥水みたいなのなら、ちょいちょい見かけるんだが、飲めそうな水が湧いてるスポットとなると、マジで見つからん。


 遠くに見える岩山か、森に入れば見つかるかもしれんが、岩山は遠いし、森は奇襲とかされたらこえーから、今はまだ行きたくないんだよな……。


 この際、川でもいいから見つかって欲しいんだけど、このだだっ広い草原にゃ、そんな気配はひとっつも感じられないんだ。


 はあ……どうすんべ。


 ログボの食糧セットに水も含まれてたら、こんな苦労をしなくても良かったんだけどなー、なぜか水は明日だからなー。水って人が生きるのに必要なのになー。


 そもそもさ、水や食料はログボじゃなくて『チュートリアル』をこなす過程で手に入るようにしてくれたら良かったんだよ。


 ファイヤースターターとかさあ、ナイフとかさあ。サバイバルのお約束道具ってあるじゃん? そういうのをさあ、チュートリアル報酬でアンロックしてくようにすりゃさ、もっと自然にこの世界に馴染むことができたんじゃねえのお?


 ログボは好きだし、ワクワクするけどさ、もっとこう、あるだろう?


 ……と、クロベエがクンクンと鼻を動かし立ち止まった。


「どしたんクロベエ?」


「水のにおいがするよ」


「マジか! よしいけクロベエ!」


「にゃおおおん!」


 ……クロベエって、俺が思ってた以上に有能なのかもしれん。


 クロベエの背中で揺られること数分、まもなくして視界に入ったのは綺麗な泉だった。


 その泉は丘の上にあり、ちょっとした市民プールくらいの大きさだった。


 泉の中央には、こんこんと水が湧き出している岩場があり、目を凝らすと妖精さんが飛んでいるのが見え……見え……見えねえが、居てもおかしくはなさそうなほどに綺麗なスポットだった。


 まさか丘の上に泉があったとはねえ。なるほど、泉を囲むように生えているアシっぽい植物で下からじゃ見えねえのか。


 で、泉の水はなぜかどこにも流れ出してないと……こんなん、近くまで来なかったら見つからねえわな。


 マジでクロベエ、よくやった! 


 泉に手を入れてみると、凄く冷たい。見た感じ飲めそうだが、どうなんだろうな。


 まあ、汚染もクソもないような世界だしな、そういう面では平気だろうと思う。


 たださ、いくら汚染されていない綺麗な水だと言っても、箱にミネラルウォーター入れたのとは違うじゃん。


 何かしら住んでいるだろうし、それが原因で腹を壊すことも考えられる。


 だから、普通に考えれば生水は飲んじゃダメだと思う。


 でも、ここはファンタジー世界だからな……ご都合主義的なアレやこれで多少は気を利かせていると思いたい……。


 ……こんな美味そうな水を前にして……我慢することなんて……よ、よし……まずは一口含んでみよう。


 話はそれからだ!


 こうして、両手ですくってと……。


 おお……ヒンヤリとしていて甘い……やべ、思わず飲み込んじゃった。


「いやーうめえな……いいや、もう俺、気にしない! 飲んじゃえ飲んじゃえ!」


 そういや俺って不死身らしいし! 多少腹が痛むことはあっても死ぬこたねえんだ、なんかあっても大丈夫だ! 未来の俺が耐えるだけや!


 うひょー! めっちゃうめえ、水ってこんなにうめえんだなあ!


 みろよ、俺の隣で水を飲んでいるクロベエも満足そうだ。


 ……めっちゃ顔突っ込んで飲んでるけどさあ、お前さ……風呂嫌いであんま洗わせてくれないよな……。


 お前から変な菌が滲み出てて、俺に感染ったりとか……ないよな……? 大丈夫だよな?


 ……次からは、俺の飲み場とクロベエの飲み場をわけることにしよう……。


 ◆◇


 これで水も焚き火もOKと。とりあえず、最低限の備えができたので、ちょいとスマホタイムにすることに。


 日課のように見ている画像掲示板を開くと、普通にスレッドの最新リストが取得できた。


 ……WEB検索もできたし、AIも……反応がちょっと変だったけど使えたわ。


 うん、まさしく俺のオーダーどおりだ。


 これならなんかあった時はスマホで解決できそうだ。


 ただ、どうやらメールの送受信や通話、SNSなんかのアプリは使えないようだ。


 泉の写真をさ、SNSに上げようかなってアプリを開こうとしたら、通信エラーが出てなんもできねえの。


 俺のスマホに入ってる、大手SNS全てがそうなった。


 だったらメッセはどうだと、年下の友人であるカズくんに『うんち』と書いて送ってみたが、やっぱり送信エラーがでた。


 当然メールもだめだったので、じゃあダイレクトアタックじゃいと、かけた電話に至っては、繋がる気配がまったくなかった。


 SNSは結構使ってたから閲覧すらできねえのはわりと辛いな……。


 ブラウジングはできるのによくわからんな。


 あっ、じゃあサブスク周りは……いけるんかい! 漫画も動画も行ける……おや? IDは俺のっぽく見えるけど……なんか履歴がおかしい……。


 なんか誰かのIDと混線してね? こえーから後でパンちゃんに聞いてみよう。


「ん……そうだ、ログボもらってガチャ回しとくか……確かガチャチケが配布されてたはず……ん? え、ちょ、えぇ……ウッソだろおい……おいおいおいおい、まじかよ……」


 パンちゃんさん? 俺、ゲームできないと死ぬって言ったよね!? それ、ソシャゲのことなんですけど! 


 うわあ……これもだめ、こっちもだめ! 全部のソシャゲがエラー吐くじゃねえかよ!


 ふえぇ……俺の生きる意味が三分の一くらい失われてしまったよぉ……。


 ぐすん……ああもう、間違えてマップ開いちまった……これこそ異世界じゃ何の役にも……って、なんじゃこりゃ。

 

 てっきり『現在地が見つかりません』って出ると思ったのに、なんか変だぞ。


 ……あ、これ……もしかして、この周辺の地図がでてんのか?


 画面のほとんどが緑で塗られていて、上の方に水色が見えてる……。これ、よく考えなくても、このクソ広い草原と、目の前の泉だわ……。


 ……ああ、よく見たら上に小さく「リプラシル」って書いてるじゃん。 


 マジかぁ……マップアプリ、まさかのローカライズ来ちゃったかあ。


 泉と思われる水色の場所をズームすると、『泉』という字が現れた。


 いや、まんまやんけ!


 使い方は元のマップアプリと同じ……つうことは、こうすれば広域になって……あっ。


 指をこう、クパァとして広域表示にしてみたら、まさかの真っ白だ。


 いや、中央付近だけ緑に塗られていて、あとは真っ白というべきだな。これはおそらく、俺が行ったことがある場所だけが表示される地図なんだろう。


 地図埋め作業は嫌いじゃねえけどさあ、せめて近くの集落くらいは地図に入れといてほしかったぜ……。


明日以降は当分の間、10時と18時に投稿されます。

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