第18話 おおきなにく つよいにく
狩人たちがへっぽこなのは、矢が終わってるせいだった。
まっすぐ飛ぶようになったら、ばっつばつ当てるようになってんだもん、凄えよね。
それで自信がついたのだろうな、今ならあのデケエ肉でもいけんじゃねえかと、闘志を燃やす狩人たち、いいですよね。
マジでバグから解放された感あるわ。
そんなわけで、ウッキウキの狩人たちの案内で狩場を目指して歩いているわけなんだが……。
「なあ、狩場までどんくらいかかるん? まさか森で夜を明かしたりはしねえよね?」
「うん? ああ、そこまで遠くねえから大丈夫だ。森に泊まるとか俺らだってやだよ」
キンタからその言葉が聞けて安心したわ。
野営道具はあるけどさ、キンタ達の分はねえし、そもそもストレージに入れてっから、お前それどっからだしたん? って言われそうだし……。
かといって、焚き火の周りでごろ寝ーっていうのは……憧れはあっけど、むさ苦しい狩人たちとやるのは嫌だ。
「おっ、今度は俺にやらせてくれ!」
「おみごと」
しっかし、ほんと当てるようになったよなあ……。
キンタとか見てると、元々ちゃんとした腕前だったんだろうなあって思うんだけど、この命中率を見ちゃうと、どうもそれだけじゃねえような……やらかしの気配っつうか、なんか見落としてる感じがするんだよ。
なんだろなあ……あ、まてよ。
ええと……。
ポヒュ!
『写真撮ると図鑑にのるじゃん。それって一種の鑑定みたいなもんだろ? 人にも使えたりしねえ?』
パンちゃんにメッセを送ってみる。
……返事が遅えな……寝てんのかな?
ポポコン!
あ、きた!
『効くみたいね』(削除されました)
『効くわよ』
打ち直してもログが残ってんだが。さては調べてたな? 自分でやっといて知らなかったのかよ……。
そういうことならと、キンタをこっそり写してみる。このアプリ、シャッター音が鳴らないので助かるぜ、ぐへへ。
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名前:キンタ(27)
職業:狩人 LV:12 体力:185 魔力:12
スキル:弓 LV10(MASTER) 投擲 LV3 農業 LV1
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ウワァ! 親の顔ほど見たテンプレ通りのステータス画面だあ!
未熟な世界のくせに、ちゃっかりステータス画面は実装されてるとか……宝の持ち腐れすぎるだろ。
つーかキンタさん……ジョブにスキルまであんじゃん……弓なんて地味にマスターしてるし……そら、あの腕前も当たり前っつうか、それでも当たらねえ矢って凄えな……。
どれ、一番若いやつも見て比較してみよう。
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名前:モフゾウ(21)
職業:狩人 LV:4 体力:38 魔力:8
スキル:弓LV4 投擲 LV1
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こいつもレベルの割に弓スキルが高いな……。
種族特性……ってことはないだろうな。どう見てもノーマルな人族って感じだし。
職業特性か、努力の結果か……キンタに農業生えてっから、後者かもしれんな。
しばらく進んだところでキンタから止まるよう手で合図された。
指をさす方向を見ると、でっかい鹿が草をはんでいた。
「あれが獲物だ」
軽トラくらいある巨大な鹿、といってもニホンジカみたいな可愛らしいアレではなくて、ヘラジカの様な立派な角と体格を備えた重戦車みたいなやつだ。
……いやぁ、もっと小せえのを想像してたんだけど……めちゃくちゃでけえじゃねえかよ……。
「……お前ら、これを狩れると思うか?」
「ユウのお陰で当たるようになったからな! 今なら行けるさ!」
そういう問題でもないようなきがする……なんか嫌な予感がする……なあ、キンタ一度様子を……遅かったか。
キンタが手で合図をし、デカいシカを取り囲む。
シカはまだ草に夢中で気づいていない……キンタが動いた。
シュっと音を立て、キンタの矢がシカに向かって飛んでいき……見事、ヘッドショットを決めた。
「ギュアーーーーーーーーーーーーーー」
シカが甲高い声を上げ、怒りに染まった顔でキンタが居る方向を睨みつけている。
……どうやら、致命傷とはならなかったようだ。
キンタの矢を皮切りに、周囲からも矢が飛んでいく。
脇腹や腿など、あちこちに矢が刺さっているが、どれも刺さりが浅いようで、ただただシカの魔獣を苛立たせているだけだ。
って……なんかあのシカ、俺をガン見してね……うおおお! こっち来た!
「ユウ!! 危ない!」
これだけおっさんが並んでいるというのに、どうして何もしていない俺を狙って突っ込んでくるのだろうか!
まさか……俺だけなんもしてねえから、クソザコナメクジと判断したんじゃねえだろうなあ……?




