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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
2章 交流するぞ

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第13話 ドヤァ……ズコー……ドヤァ!

 なあ、君はガンギマリの人たちに取り囲まれたことはあるか?


 一回経験したほうが良いぞ、こりゃまじでやべえ。昨日もヤバかったが、今は最高にやべえぜ……。


 油断すると、今にも俺が肉にされちまいそうなほどヒリついてやがる。


 すーはー……すーはー……よし! 対決開始だ!


「えー、先程から皆様の視線を独り占めにしているデケエ肉、これがヒッグホッグの肉です!」


 うおおおおと、野太い歓声が上がった。


「ここらに居るか知りませんが、うちの近所だとめっちゃ採れるんで、遠慮せず交換してってくださいねえ」


「ヒッグホッグ……なんてデカい肉なんだ……!」


「流石は肉の人だな! 取(・)れ(・)る(・)だなんて、野菜みたいに言いやがる」


「ヒッグホッグ……昔聞いたことあるぞ……魔獣の森に住んでいる大きな魔獣だって…」


「じいさんが言ってた奴だな。すげえ遠くにある大きな森には行くなって……」


「デカい魔獣ばっかいるって言ってたが、マジなんだな」


「肉の人はアレを狩れるのか……憧れちゃうな……」


 ……魔獣の森って、うちの近所の森のことかな。たしかに、ここらの森みたいな小型の魔獣は見たことねえな。


「しかし、すげえな……いつもこの量を?」


「うん? ああ、俺か。そうっすね。まだ畑がないんで、もう肉狩るしかないんすよ」


「肉くらいしかって……流石肉の人だぜ……」


「そうだな……肉の人だ……」


 しまった、より肉の人感をアピールしてしまった。


「あと、昨日そこの森で狩ったラウベーラの肉もありますよ」


 そういった瞬間、シンっと静まった。


 あれあれこれはやってしまいましたかな。俺、やってしまいましたかなあー!? 


 ドドドドヤアアア!


 ポコン!


『ドヤ顔うぜえw』


 何かメッセを受信した気がしたけれど、優越感に浸るのに忙しいのでスマホには触らんぞ。ふふん、ラウベーラですよ、ラウベーラ。君たちが頭を悩ませていたラウベーラだぞう!


 さあ、驚け! 褒めろ! 俺を崇めてくれー!


「ラ……ラウベーラっていったか?」


「ま、まさか……」


 ククク……どうよ、どうよ!


「「なんだそれ?」」


 ズコー!


 そ、そうか……見たことがない魔獣が来たとか言ってたもんな……。

 名前なんて知るわけねえか……。


 ポコン!


『m9(^Д^)』


 うるせえぞ! っていうか、久々に見たわそれ。


「ほ、ほら……狩人が森で見たっつう、でけえやつっすよ……そいつの肉や毛皮もあるんすよお!」


「……流石に冗談だろ……? 肉ジョークって奴だよな?」


「ないないwあんなんどうやって狩れるんだよwww」


 ほんとここの連中はさあ……俺には見える、草生え散らかして小馬鹿にしてるのが見えるぞお……!


 これを見ても……そんなこと言えるかなあ!?


 折りたたんで隅に置いておいたラウベーラの毛皮を、ばさりと広げて見せてやった。


「いいんすよw そんな盛らなくて……うおおお……間違いねえ……あいつの毛皮だ!」


「マジかよ……マジだわ……ほんとにアレをやったのか!?」


「すっげえ……あんたマジですげえよ!」


 きたきた、来ましたよ。これだよ、これ! こういうのが欲しかったの!


 集落の人たち全体から褒められまくって気持ちが良い!


 フラっと現れた謎の人物が災害級の魔獣を討伐してチヤホヤされる展開! 

 

 俺主人公な異世界ノベルが今ここに始まったと言えるんじゃね? 


 ポコン!


『あんたの力じゃ無くて、私の加護がかかったスマホのおかげだけどね』


 ……それはそう。


「ユウ! 昨日言ってたのって、このことだったのかよ!」


「よお、キンタ。どうだ? これでまた狩りができるだろ?」


「ああ、ああ! ありがとう、ほんとうにありがとう!」


 ぐおおお……キンタにがっつりハグされてしまった……やめろよ、好きになっちゃうだろ……ならねえよ!


「ユウサンっていうのか、なあ、狩りのコツを教えてくれよ!」


「おお、俺にも頼む!」

 

 ……うおおお! お前らもかよ!


 続いて狩人たちからの熱い抱擁が続く。わかる、わかるぜ! 気持ちはわかるから……いい加減離せ! 長えんだよ! ええい、ケツを掴むな!


……ま、まあ、これで会場は暖まったしな、そろそろ本題に入ろう!


「はいはーい! 皆さん聞いて下さーい! 今から交換の説明をします!」


 ざわめきが消え、視線がぐわっとこちらに向いた……どうどう……まだだ、まだだぞ。


「ま、まずはじめに野菜との交換をします。肉はこの葉っぱ一枚に乗ってる分を全部あげるんで、交換に野菜をくださいね」


「なあ、俺とカカアで野菜をもってったら、葉っぱ二枚分貰えんのか?」


「お、いい質問ですね! そのとおり! もちろん、子供が居るなら、その分増えるぞ!」


「「「うおおおおお!!!」」」

 

 会場が熱気に包まれている!


葉っぱ一枚辺り三キロくらいの肉が乗ってるわけだが、リットちゃんの食いっぷりを見るに、一人三キロでも余裕で消費しちゃえそうなんだよな。


 普段からそうってわけじゃなくて、これまで食えてなかった分って感じで、すっげえ食うと思うんよ……。


 だから、世帯単位じゃなくて、住人一人ひとりに配っていく。それだけの肉は余裕であるからな。


「はい! まだ説明は終わってませんよー! 次は交換する物がなくて困った顔をしてる人たち注目してくださーい!」


 会場のあちらこちらから視線がぐわっと突き刺さった。


 あの人は……たぶん鍛冶屋か、あの婆さんは薬師っぽい……あの若い連中がマモ爺が言ってた奴らかなー?


「俺はみんなに肉を分けたいと思っています。なので、物の用意できない人は、後から私に話をきかせてください」


「……話? なんの話をすりゃいいんだい?」


「普段している仕事とか、好きなこととか……なんでもいいんですよ」


「そんなんで肉を貰っていいのか?」


「今回はそれでいいです。話を聞いて、みんなが何をできるかわかったら、次からはそれを用意してもらいます」


 野菜を用意できない方々が嬉しそうな顔をしているな。


 肉はほんとアホほどあるので、何かしら理由つけてみんなに押し付けて帰りたいんだよ。


 話を聞いて次回の交換品を決めるっつうのは……ぶっちゃけ、咄嗟の誤魔化しだったけど、我ながらいいこと言ったような気がするわ。


「肉はマジですげーいっぱいあるんで……ほら、そこで困った顔してる奴ら、そう、お前らもさ、遠慮せずきちんと俺のところに来てくれよなー! 待ってるからな!」


 遠巻きに見ていた若者たちがびっくりした顔をして見ている。

 いいの? って顔してるけど、いいんだよ。


 みんなに配るために来たってのもあるけど、面白い話聞けそうだし、この集落……いや、この世界の未来のためにはさ、お前らみたいな連中が必要なんだからさ。


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