第3話 貰った加護はどんな加護
加護をもらう前に……ちょっと確認しておきたいことがある。
こいつ、死ぬことも老いることもないって言ってたじゃん? つまりさ、不老不死的な加護を別枠でくれるってことじゃん。
それはすごく助かるって言うか、嬉しいんだけど、こいつポンコツの匂いがすっげえするじゃん?
まさかとは思うけど、一応確認した方がいいよね……。
「この世界にいる間、老けたり死んだりしねーって言ってたけど、それも加護なの?」
「貴方は日本の管理神……ぶっちゃけると、私の先輩からお借りしている形になるんですよ」
「ほうほう」
「お返しした際に、ちょっとでもアレな感じになってるとめちゃくちゃ怒られるので、真っ先に不老属性を付与しましたし、死んだわこれって状況でもなんとかなるように不死属性を……あれ? おかしいな…………付与しておきました」
「おいこら、ぜってー忘れてていまセットしただろ! 聞こえてんだよ!」
「フシュー フシュー……」
「口笛へたくそかよ……まあいいや。それは貰える加護とは別枠なんですよね?」
「ですです。ああ、それと何故か言葉が通じるアレも後でつけておきますね。言葉の問題で仕事ができないのは困りますし」
「おお、助かるっつうか当然だよなあ……この流れにならなきゃ、くれなかったよね? あっぶねえ……」
「うるさいですね……いいから早く加護を言いなさいよ!」
「わかったよ。ほんとになんでもいいんだな? できないって言われたら泣くからな?」
「よほど無茶なこと言わない限りは大丈夫です。目が合った異性を即落ちさせる魅了スキルでも、魔王になれるカンストステータスでもなんでもいいですよ!」
パンちゃんが鼻息荒く張り切ってらっしゃる。どっかで聞いたような、それ貰ったらあかんやろって感じの加護を楽しげに語ってるが……俺にはそんなものは不要だぜ!
「俺の願いはただひとつ。このスマホを、パンちゃんの世界でも普通に使えるようにしてくれ」
「は? えっと、どんな加護をお望みですか?」
「やりなおしてんじゃねえよ、スマホですよ、ス・マ・ホ」
「ススススス……スマホォ!?」
「そうだよ、スマホだよ。ほら、俺ってオタクだからさ、ゲームやネットから離れると死んじゃうじゃん? だからお願いだぜ、パンちゃんの世界でスマホを使えるようにしてくれ……」
「えぇ……マジで言ってる? あんた、これからファンタジー世界に行くのよ?」
「マジマジ。キャンプ場行ってみろって。自然と触れ合いにーとか言って来た連中、ほぼほぼみんなスマホ弄ってっから。スローライフ好きでも、暇つぶしがねーとぜってーつらくなるってば」
◇◆SIDE:女神リパンニェル◆◇
え? なにこいつ? は!? スマホ? ゲーム? 何いってんの? 異世界よ? 魔獣が蠢き、剣と魔術が存在する……かは、ちょっと停滞してるから怪しいけど、そんな世界なのよ?
いくら死なないようにするといっても、痛みがないわけじゃないのよ? 怪我もしちゃうし、お腹だって痛くなるかもしれないのよ?
なんかこう、もっと戦えたり、守ったりする感じの加護選んだりしたほうが良くない? 生き延びるための生産系の加護とか、そういうの欲しいとか思わないのかしら。
はあ……恥ずかしいから「ダーツで選んだ」って言ったけどさ、実は狙い撃ちしたっていうか、個人的な理由でユウさんを選んだのよね。
彼なら任せてもいいかなって思ったから呼んだんだけど、ちょっと不安になってきたわ……。
うーん……あ、そっか。私の権限がどんだけあるのか、わかってないから、遠慮しちゃったのかもしれないわね。
我この世界の創造神ぞ? 管理者ぞ? 望めばTS美少女にだってしてあげられるし、ついでに魔法少女になりたいって言うなら、それも叶えられるのよ?
ユリカゴを壊しちゃうような力は流石にあげられないけど、勇者ロボを召喚できる加護とか、ゲームキャラになれる加護とか、そういうオタクが大好きなのもつけてあげられるのにさあ……。
……まあ……さ?
それが望みだっていうならね、別にいいのよ。
なんでもって言った以上、叶えてあげるわよ。
でもさ、どうしてスマホなのかな? スマホってそこまで必要な物かな? そりゃないと暇だろうけどさ、もっとこう……あるじゃないの。
それがスマホって。ボール集めると出てくるドラゴンにパンツ頼むような物よ――
――待って。
暇つぶしのためだって言ってたけど、それを言葉通りに受け取っていいのかな?
うーん……ユウさんって結構面白い同人描くからなあ……あんなん描くような人が、普通に『スマホを使いたい』って願うかしら?
ううん、違うわ。それだけじゃ駄目なような気がする……きっとこれは『行間を読め』って言う奴よ……。
ハッ!
なるほど! スマホといってもただのスマホじゃなくって、様々な奇跡を起こせるスマホが欲しいのね!?
確かにそういうギフトを与えた管理神の噂を聞いたことがあるわ。日本人らしい発想だわーって笑った覚えがあるもの。
……間違ってたら恥ずかしいわね……念のために一応聞いてみよっと。
「スマホの持ち込み……まあ、許可しましょう」
「おおやったぜ! 長考してるからダメかと思ったわ」
「……それでなんですけど、アプリはどうします? 必要であれば追加しますけれど」
「アプリ? あーアプリなー。確かに、この謎空間に来ちまったら追加とかできねーもんな。そうだな、パンちゃんのおすすめを頼むよ。なんかおもしれーの入れてくれそうだし」
やはりそうね……。
『おすすめを頼むよ。なんかおもしれーの入れてくれそうだし』
……か。
これは暗に『アプリを使って色々な|奇跡を起こせるようにしたい《チートを使いたい》』と言っているんだわ。ほんとおねだり上手なんだから。
なら、アプリを通じて私の力を貸せるようにしようじゃないの。
「では、スマホに加護を付与しますので、少し貸してください」
「お、おお……落とさないでくれよ。買ったばかりなんだから」
「わかってま……っぶねえ……」
「マジで頼むぜ……」
さて、スマホちゃんをつよつよにしていきましょうか。
……これとこれと……こんなのもあればいいわよね……そうだ、あの女神はこんなのあげてたわね……いいんじゃないでしょうか!
あ! そうそう異世界生活必須のアレも……。
これだけやってあげれば十分ね! 後は実際に使ってもらって……そうだ、向こうで何かあった時にすぐ対応できるようにしたほうがいいわよね……ええと、自動配信設定はこんな感じで……。
うふふ、なんだか久しぶりに楽しくなってきちゃった!
本日は5話まで投稿します。




