第25話 たくさんとれました!
優秀なナビのおかげで結構な数の食材を手に入れることに成功した。
つーか、うまく利用してやるつもりだったのに、逆に利用された感が強いんだよな……まあ面白かったからいいけどさ。
今回の探索で調達できた食料は、ヒッグホッグ二頭にムックル四匹、それと大量の山菜たちだ。
採取してきた山菜はリーゼ、ジャンニ、シラウの三種類で、そのどれもが見たことがない植物だった。
リーゼは鮮やかな黄緑色の爽やかな香りがする植物で、森で見つけた小さな泉に群生していた。
図鑑によると、シャキシャキとした歯ごたえと爽やかな香りが素晴らしいとのことなんだが、なんだか味の特徴だけ見ているとセリに似ているよな。
……まさかそれでリーゼって名前に…流石にちがうか?
いや、パンちゃんは妙に日本に詳しいからな……セリが元ネタの可能性はあるかもしれん。
で、お次のジャンニはさ、見た目も匂いもまんまニラなんよ。
ただ『味はニラというより、ニンニクに近い』って書いてたのが気になっている。
レバニラやニラ玉風に使うのもいいが、餃子の具にしたら間違いなさそうだよな。想像するだけで喉がなるぜ!
そしてシラウだけど……これがまた一騒動あってな。
『アレもおいしいのよ』と、パンちゃんが指さしたのが、妙にひょろ長い木でさ。
『真っ直ぐで頑丈だから、人族は物干し竿に使ってたりするわ』なんて言うわけよ。
んなもんをさ、わざわざ食えるって言ってるわけじゃん? 変なの拾い食いして混乱のデバフでも貰っちゃったのかな? ってちょっと思ったわけじゃん。
でさ、『ほら、これよ。これだけまっすぐで頑丈なら、なんにでも使えそうよね』と、折れておちていたらしい、現物を渡されたんだけどさあ、まあ普通に木なわけじゃん。
真っ直ぐで妙に軽いなあって思ったけど、叩くとコンコンと音がしてさ、マジで木なわけよ。
だから、こんなんどうみても食いもんじゃねえだろ……って、いよいよパンちゃんの頭が心配になってきたわけ。
それでも『美味しいんだから』ってうるせえからさ、しゃあねえつきあってやるかと、色々と考えてこう言ったんだよ。
「水にさらしてから、ごぼうのように調理して食うのかな?」
ってね。
そしたらあいつなんて言ったと思う?
「ばかねー!」
そう、ばかねーよ。いただきましたよ、今日のばかねーを。
「ふ、普通に考えてさ、木を食べようとは思わないじゃない……わ、わ若芽を食べるって……発想がでなかったわけ? み、水にさらしても食べられるわけ……ぷくふぅ!」
もうね、クソほど笑ってましたよ。
お花に胞子上げてたムックル達が、ビビって逃げ惑うレベルでゲラゲラと笑ってましたとも。
ムカついたけどまあ、ええんよ……自分でもなんかこう、ああ、そうかあ、馬鹿だったなあってちょっと思ったし、言われてみれば、タラノキにそっくりだもんな。
そうなんだよ、そう思ってみればさ、まさにトゲがねえタラノキなんだわ、シラウって。
でさ、この若芽とやらがさ、タラの芽より美味いらしいんだよな。それも、上位互換とかじゃなくて、別もん的な美味さらしいんだよ。
ふっくらとした大きめの芽を半分に割ると、中にまんまアボカドみたいなのが詰まってんだと。こってりとして濃厚なペーストなんだとさ。
そんなんさあ……絶対美味いやつじゃんね。本気で探しましたとも。
つーわけで、山の幸をたんまり採ってきたわけなんですが、採りまくっても絶滅とかしないから遠慮はいらんよと、管理神から直接言われちゃったもんだからさ、マジで遠慮なくとっちまったよ。
おかげで結構な量になっちゃったが、ストレージに入れときゃ腐らんからな。
これで長い旅になっても、そこそこ平気になったわ。
◇◆
家に戻ると、すぐにパンちゃんがソワソワしはじめた。
いつの間にか帰ってきていたクロベエも一緒になってソワソワしている。
……もうすぐお昼だもんな。わかったよ、ご飯の支度するってばよ。
この女神様、思考回路がペットレベルでうけるわ。
さっそく山菜たちの出番……と、いいたい所だけど、あいつらが下ごしらえを終えるのを待てるとは思わねえ。
つうか、初めての食材だからね、もうちょっと研究してから使いたい。
なので、お昼は焼いた肉で勘弁してもらう事にしたのだが……文句を言うどころか大喜びだ。
「わあい! お肉おにくお肉ぅ!」
「やったー うまいにくだー!」
「「わぁい」」
こいつら……完全に肉で脳をやられちまってるぜ!
焼けば焼くほど食いやがる。まあいいさ、ヒッグホッグ肉は売るほどあるかんな。食べたいだけ食べな……っておいおい、マジかよまさかのブロック三個目……それもたいらげ四個目に行くだと!?
付き合ってると俺まで脳を肉に侵されそうだ……。
もう腹がはち切れそうだし、一足お先に退散することにしよう……。




