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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
1章 拠点を作るぞ

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第17話 開拓の始まり

 おはようございます。本日もリプラシルの天気は晴れ。油断すると眠くなるポカポカ陽気が続いています。


 つーわけで、さっそくスマホを開いて【建造】のクラフトをセットした。


 うん? 【開拓】を使うんじゃないのって? 慌てなさんなって。


 これさあ、使えるまで十二時間もかかるじゃん? だからこうして先にセットしておけばさ、時間が無駄にならないってわけよ。

 

 ジーニアスな俺だからね。常日頃からタイパに気を遣って……うん? じゃあ、なんで昨日やらなかったのかって? 


 うるせえ、スポーンと忘れてたんだよ! 


 言わせんなよ、バーカ!


 ぽちっとクラフトを開始すると、昨日同様にエゲつないほどにバッテリーが消費された……が、今日の俺はその程度じゃあ動揺しないぜ。


 なんたってたっぷりと魔石を持っているからな。


 さて、いよいよ【開拓】を試す時……いや、先に満タンまで充電しておくか。なにか出すたびに、細々と電池減りそうな気がするし……。


 ふう……これでよし。


 さあ、来たれスコップ! 現れよツルハシ! 開拓の神器たちよ、今こそ我の手にー!


 なんて、テンションぶち上げで【開拓】をタップしてみると……カメラが立ち上がった。


 カメラ イズ ナゼ


 ……待てよ、この既視感、これまでのパターンからすると……ははーん、なるほど、そういうアレか?


 さては、AR機能みたいなノリで開拓スキルが発動する感じだな? 

  

 なるほどなるほどぉ……確かに言ってたもんな、凄いのは俺じゃなくてスマホだって。俺に道具を与えて土木作業をさせるより、チート能力を得たスマホにさせたほうがいいもんな。


 つまり、牧場ゲーみたいなノリで開拓できちゃうんだろ?


 いやあ、さっきまで肉体労働する気満々だったし、少し楽しみにしてたけどさ、それはそれよ。


 ぜってーこっちのほうがいい。


 人力で整地とか、冷静に考えなくてもヤバイわ。例え、土がバターみたいに掘れるスコップが使えたとしても、家を建てられるくらいに整地して、森までの道を作って……とかやってみ。


 俺は俺のままで、チートもクソもないわけだから、明日の朝には生まれたての子鹿になってお布団から出られなくなるわ。


 ありがとう、パンちゃん……今後とも、是非こういう方向で頼むぜ!


 しっかし、ほんとカメラ使わせるの好きだよな。


 画面には目の前の風景が映っていて、その上下には、様々なメニューが並んでいる。


 色々とできるみたいだが……そうだな、とりあえずこれを試してみるか。


 やや勾配がある斜面にスマホを向け【切土】と書かれたボタンを押してみた。


 すると、画面上の地面に網目のような模様が広がった。


 LiDAR……いや、ちがうな。これは牧場ゲーで見たやつまんまだわ。


 やりたい作業を選んで、マウスでドラッグすると仮選択されてたが……これはスマホだから、多分こうやって指でさわれば……おお、触った側から均されていくぞ!


 ううむ……岩塩掘りとタメはる気持ちよさだな!


 シュシュっと画面を撫でると、スーッと地面が均されていくのが最高。


 スイーっとやって、スーッと消えて。


 スイスイーっとやって、スーッと消え……あれ、土とか石とか草どこに消えたんだ?


「あの、パンさん……これ、消えたものって……やっぱり消滅しちゃってたりするんです?」


 ポポコン!


『生命体が混じってるかもしれないのに、そんなヤバいことしないわよ!』

『土や草などはストレージに、生命体は少し離れたところに飛ばされる仕組みよ』


 ほほう……おお、マジや。ストレージを見ると、入れた覚えがない素材がわさっと入ってるわ。


 ほんで生命体っつうと……おお……ゲーミングミミズ。


 やべえ色に発光する、ヘビくらいはある大きなミミズさんたちが、慌てた様子で潜り込んでいくのが見えた。


 なるほど、あんな感じで逃がしてくれるんなら、気にせずどんどんやれるな!


 今度はあの辺りをフラットに! あっちはなだらかな坂に! んで、森に向かうこっちと、洞窟に向かうあの辺には道を!


 って、何のために整地してるか忘れるとこだった。


 ちゃんとした家を建てるために、整地しようぜって思ったんじゃん。


 場所は……やっぱ水辺だよな。


 夢だったんだ、池のほとりに家を建てんの。


 日本でやろうとすると、きっと許可周りでめんどくせえ思いをするだろうし、金だってめちゃくちゃかかるだろうさ。


 建てたら建てたで、湿気やら虫やらで頭を抱えるのも目に見えてる。けど、ここはファンタジー世界リプラシルだ。


 許可なんていらねえし、自分で建てるから金もかからん。そして、湿気や虫は……パンちゃんに頭でも下げれば、きっとなんとか……してくれるといいなあ。


 いいの! そういう面倒なことは建ててから考えたらいいの! 


 未来の俺に丸投げをし、憧れへの第一歩、宅地造成をはじめた。


 そうだな、将来的にはデッキから繋がるように桟橋を設置したいから……ギリギリまで水辺に寄せて……と。


 うん、だいたいこの辺から整地すりゃいいな……おっと、やりすぎた。こういう時はきっとこの【盛土】で戻せるはず……うん、いいね。タップするごとにちょっとずつ土が復活するわ。


「姐さーん、この土、どっからきたんすかー?」


 ポコン!


『誰が姐さんよ! 使われてるのはストレージの土ね。在庫がなければ使えないから、暇な時にストックしておくといいわよ』


 ほーん。いいこと聞いたわ。積極的に整地しよっと。


 そうだ、ついでにこの【掘削】も試してみるか……あの辺でいいかな。


 適当な場所をタップしてみると、幅も深さも五十センチくらいの穴がボコっと開いた。

 

 なるほど、一タップ五十センチね……待てよ、なんか丸いポインタが見えるな……もしかして……おお、ピンチイン・アウトでサイズ変更できるやんけ! こりゃいろんな作業が捗るわあ。


 ふむふむじゃあ、その場で押したままにすると……おー、押している間どんどん穴が深くなっていくのか。


 んでそのままスワイプすると……ほほう! そのままの深さで縦横に掘れていくと。水路なんか作るときに良さそうだな。


 おや、クロベエがさみしげな顔でこっちを見ているぞ。


 ……さてはこいつ、穴掘り仕事を取られたとか思ってるな?


 かわいいやつめ!


「うーん、でもこれじゃなー、クロベエさんに頼まないといけないことはまだまだありそうだぜー」


「えー? せっかく 俺がらくできると思ったのになー しょうがないなあ ユウはー」


 ほんとかわいいやつだな。尻尾をばすん、ばすんと振って嬉しそうじゃねえかよ。


 ふふ、また一緒に砂遊びでもしようぜ、クロベエ。


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