↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
6章 新たな土地はおかしな地

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

162/166

第23話 あの子を呼びに

 空洞に突如として現れた謎の建造物……。


 はい、そんなん目立たないわけがないっつうか、興味を引きまくるっつうわけで。


 さあ、温泉の布教に行くぞいと、温泉宿から外に出てみれば、誘蛾灯に集まった虫のごとくドワーフたちが、ぞろぞろわらわらと大集合していた。


 これから呼びに行こうと思っていたので、手間が省けたのは良かったな……って、マルリさんいねーじゃん。


 あんだけ楽しみにしてくれてたマルリさんを呼ばないとかありえんわ。 


「パンさんよ、ちょっくらマルリさんを呼びに行ってくるから、ドワーフたちがフライングで入らないよう見張っててくれよ」


「あら、マルリちゃんいないの? ルーちゃんナーちゃんと見てるからさっさと呼んできなさい」


「おう、頼んだぜ!」


 善は急げと、久々にクロベエに乗ってマルリさんのもとへと向かう。


 コイツ……なんか微妙に身体がデカくなってるよな……? なんだか前より大分乗りやすくなった気がする。


 魔獣化が進んでいるのか、普通に成長しただけなのか……。


 ……乗り心地が良くなったからいいことにするか。


「ヒカリ、そろそろ疲れたんじゃないかー?」


「なんのなんの! しかしクロベエはすごいな! 親父殿を乗せてるのに速いぞ!」


 デカいモフモフにのり、その脇を白くてデカいモフモフに走られるとこう……なんだか、もののけの王様にでもなったかのようだわ。


 ううむ……これはこれで、ちょっと気分がいいな。


 ドワーフたちがびっくりしてこっちみてるし……あ、これから向こうでおもしれーの見せるから、良かったら来てねーっと。


 折角だから多くの住民たちに見てもらいたいからな。


 道中、ついでに宣伝していこう。


 しかし、こうしてクロベエと戯れるのもなんだか久々だなー。


 前はもっと、しつこいくらいに構い倒していたってのに……つーか、逆だわな。


 コイツが俺に構わなくなったんだわ。


 そうだよ、こいつ俺にかまってくんなくなったんだよ。


 最近のクロベエと来たら、すっかりヒカリにべったりでさあ。もう、なんだかんだ言って良いカップルですやん。


 ……それどころか、密かに夫婦になっていて、ヒカリのお腹の中ですくすくとベイビーが育っている説がちょっとあるんだよな。


 クロベエの子どもってのに憧れはあったから、密かに楽しみにしてたりするんだけど、クロベエがこちらの世界に馴染みつつあるってのは、それはそれで淋しいもんだわ。


 ……だってさ、きっと今のこいつなら……日本に帰らねえって言うぞ。


 なんて、気分がジェットコースター化したところでマルリさんのお家に到着だ。


 着くまでの間、見かけたドワーフは両手で間に合うくらいの人数だけだった。


 たぶん、みんなあそこに駆けつけたんだろうな。


 好奇心が旺盛なやつらだから、噂が噂を呼んでわーっと集ったに違いない。


 となると……先頭に立って行きそうなマルリさんがいねえってのは、尚更気になるな。


「ちわーっす、マルリさんいるー?」


 返事がないな?


「マルリさーん?」


 留守だろうか? いや、中から気配を感じるな……ちっちゃな女の子に見えるけど、あれで結構なお年らしいからな。


 何か起きてたら大変だ。


 仕方ない、中に入って確認しよう……。


「失礼しますよ……と、こいつぁこいつぁ」

 

 入口の布をめくって中に入ってみれば、そこにはスヤスヤと寝息を立てているマルリさんの姿が。


 白く透き通るような髪の毛、ふわふわの耳毛、モッフモフのしっぽ……。


 民族衣装のような服に身を包んだそれは、とっても可愛らしい、儚げな美少女……これでお婆ちゃんだって言うんだから、びっくりだよな。


 そんなマルリさんが、俺の気配を感じたのか『んう……』なんて甘ったるい声を上げて寝返りを打った。

 

 ……やべえな、なんだかとっても撫で繰り回したい気分になってきたぞ。

 

 このままじゃマズイ。


 こう、庇護欲というか、パパマインドがムクムクと起き上がってきたと言うか、父性本能に押しつぶされそうと言うか……くっ! 持ってくれ!


 このままじゃ……他所のお婆ちゃんを抱っこしちまう! 俺が俺でいるうちに……はやく起きてくれー!


「マールーリーさーん! おーきーてー!」


「んみゃ……なんじゃ……ユウか……どうしたんじゃ?」


 くっ! ちっちゃいお手々でクシクシと目をこするなんて……!


 なんて愛らしいんだ、ちくしょう!


「ほら、面白いの作るって言ってたでしょ? それができたんで、迎えに来たんですよ」


「にゅにゅ……面白いのが……? できた……じゃと……? わ、わしは……一体どれくらい寝ておったのじゃ……?」


 両手で頬を押さえ、あわあわとするマルリさん。


 うおおお……くっそかわいい……。


 やっべえ……マジやっべえ……ケモミミ美少女が……はわわ、はわわとオロつく姿はマジやべえ……これはリプラシルの特別天然記念物に指定せねば。


 あ、ほんとにヤバい。


 あまりにも可愛すぎて、少しだけ弄りたくなってきちゃった……くっ! 収まれ俺の口! 


「そうですね……最後にマルリさんと会ってから、かれこれ二百五十六回ほど朝が来たかなあ……」


「にひゃく……? そ、それは……えーとえーと……どれくらいなんじゃ?」


「ふふっ、沢山ですよ」


「た、沢山か! それは大変じゃ! あわわ……寝すぎてしもうたのじゃあ……」


 うーん、この。


 可愛すぎかよ……。


 地頭は悪くなさ気っつうか、賢いな! って、感心することがちょいちょいあるのに、計算終わってるってマジで最高だわ。


 リットちゃんさあ、この間会った時に五桁の暗算をスラスラこなしてたんだよ……俺でもできねえよそんなの……スマホの電卓さんがなかったら終わってるレベルだよ。


 あー……マルリさん、ほんと安心するわ。


 数字周りのポンコツは、村長業務に差し障りがありそうではあるけれど、そこはまあ……一人でやらなきゃ無いわけじゃねえからな。


 計算に強いやつを見っけて補佐にすりゃあいい。


 シゲミチか誰か、始まりの村から賢いやつを一人派遣して、村長補佐の育成をさせりゃあ、どうせたちまち使い物になるように育つだろ……。


 すると……だんだんとマルリさんの仕事が減っていって、名前だけ村長と化すだろ?


 暇になったなら、空洞にいなくても大丈夫だよねってなるわけじゃん。


 そこまでいったらもう、連れて帰っても大丈夫だろ?


 無事にマルリさんをうちの子にできるよね……って、半分冗談だけど。


 ……つうか、そろそろ冗談だって教えてやらねえと、マルリさんがかわいそうだな。


「まあ、嘘なんですけど。実は一晩しか経ってねえんだな、これが」


「はわ? 一晩だけ? も、もう! 驚かせおってー!」


 ぽふぽふぽふと、肉球が俺の腹をたたく。


 これはダメだ……致命傷だ……! 愛らしすぎて死んでしまう……!


「いや……一晩でできるわけが無いのじゃ。それも嘘なんじゃろー?」


「はは、そう言いたくなるのはわかるよ。まあまあ、見ればほんとだってわかりますし、みんなも待ってるんで、行きましょう?」


「なに、皆を待たせておるのか! それはいかん! よし、ユウよ急ぐぞ」


 急ぐ……あ、そうだ折角だし帰りも乗っていこうか。


 ちょうどマルリさんの分も一緒にいることだしな。


「マルリさん、良かったらヒカリに乗ってかね? 自分で走るよりきっと速く着くし楽ちんだぞ」


「お、おお……のう、ヒカリや、わしをのせてくれるかの?」


「クロベエとお揃いになるし、私は構わないぞ!」


 俺たちはアクセサリー扱いかよ。


「やったのじゃ! 実は密かに乗ってみたいと思ってたんじゃ」


 ウッキウキでヒカリによじ登るマルリさん……しつこいようだが、すげえかわいい。


 とっとことっとこ、にゃんにゃか、にゃんにゃかと、大きな猫さんに乗って我らは急ぐ。


 ……こうやって並んで走ってると、マジでもののけの族長一家みてえだな……。


「あ! 来た来た! もうみんな待ちくたびれてるわよ! はやくはやく!」


 遠くの方から俺を見つけたらしいパンさんの声が聞こえてくる。


 目が良すぎるし、声がでけえよなあ、あいつ……。


 ん……うっわ、改めてみるとすっげえ集まってんな。


 なんか百人は軽く超えてるんだけど……。


 始まりの村が集落だった頃の人口が百人前後くらいだったが、ここはそこより密度が高く感じたからな……。


 ほぼほぼ集まってるとして……ひーふーみー……ざっくり百三十人くらいはいる……めっちゃ多いな!


 現状でこの人数なら、他の空洞からも来たらかなり賑やかなことになるだろうな。


 温泉のキャパは二百人くらいだから、これくらいなら余裕で収容できるし、浴室もまあ……洗い場で待ってもらえりゃ、男女それぞれ百人ずつくらいは余裕だ。


 けど、将来的に他の空洞や、他の土地からも来ることを考えれば……改築も視野に入れておいたほうがいいかもしれんなー。


 その時は、ドワーフやウサ族に任せてみよう。


 そうやってノウハウを身につけりゃ、第二第三の新たな温泉宿を建ててくれそうだしな。


 この大空洞のあっちこっちに、様々な温泉街ができたら……きっと楽しいだろうなあ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。