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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
1章 拠点を作るぞ

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第15話 塩うまい

 大量の肉どうしよう問題が勃発したと思ったが、気のせいだったぜ! 


 俺にはストレージがあっからな。保存で困ることなんざないってわけ。


 ん? 悲しい事件でしたね、だって? な、なななんのことかな?


 お肉を液晶にチョン? ヒッグホッグが枠を通らない?


 あんなの異世界ファンタジージョークですやん! 


 私は初めからそういうもんだって知ってましたよ。ちょっとボケて場を穏やかにしたかっただけですやん。


 はい、この話は終わり! 解散解散!


 ……というわけで、さっそく収納していこうと思うのだが、ストレージもアイテムボックスも中の時間が止まるお馴染みのタイプらしい。


 サラッと流してたけど、そんなすげえ機能がついてるとは知らなかったわ。同じ収納でも、時間停止は最上位だからなあ。


 ありがてえっちゃありがてえんだが……だからこそ、入れるものはちょっと考えなければならねーんですよ。


 まず、肉や木の実、山菜なんかの食料は間違いなくボックスに入れるべきものだな。

 ほっといたら腐っちまうし、熟成なんて素人がやるもんじゃねーからね。


 さっさと入れるのが吉だ。


 あと……すぐには使わんような素材、ヒッグなんちゃらとかいう、イノシシさんから貰った鉄みたいのとか、拠点の周りに散らかしてる枝やらなんやらも収納すべきだな。


 理由? ただ単に今使わねーからだよ。直ぐに傷みはしないだろうけど、普通に邪魔だし……。


 毛皮はどうすっかな……これは収納しないで、少し干しといたほうがいいかもしれんな。


 解体機能さんが完璧に鞣してくれちゃあいるが、お布団って干すといい匂いするじゃん? お日さまに当てるのも悪くないと思うんよね。


 あとそうだな、今んとこやる気はないけど、味噌とか醤油、酒、あと漬物なんかもそうか。そういうのは完成するまでストレージに入れちゃダメなやつよな。


 いつか作る機会があったら、倉とか建てないといけないかもなあ。


 しっかし、マジですげえ量の肉だわ。


 この体格のクロベエと二人で食っても、半年は行けそうな気がするぜ。


 ただなあ……流石に味がない肉っつうのはキツいよなあ。


 空腹は最大のスパイス?


 うるさいよ、そこまで飢えてねーの! つか、めちゃ腹減ってても塩は欲しいわ。


「というわけで! さっそく岩塩を掘りに行こうと思います!」


「がんえん?」


「塩だよ、塩。猫にはダメだから食わしたことはないけどな」


「どく?」


「猫には毒だな。人でも食いすぎは体に悪いが、かけると肉や魚が旨くなるんだよ」


「へえ いいなあ でも おれは 食えないんだよね?」


「いや……魔獣化したから、平気になってるらしい……」


「おお! やったあ!」


「ちょっとだけだぞ」


「わかってるよー」


 迂闊なこと言っちまったわ。


 なんかさあ、魔獣化したから塩はもちろん、玉ねぎとかチョコとかも平気になってるらしいのよね……。


 ただ、変に覚えさせて癖になっちゃうと、あっち帰ったとき大変だから、なるべく食わせないようには……あれ、地球に帰る時ってどうなるんだろう? 


 ロールバックしてただの猫に戻るのか、はたまたそのまま帰ることになるのか。


 前者なら舌が肥えたクロベエくんは大いに困るだろうし、後者なら俺が頭を抱えるハメになる。


 ……クロベエくん帰還問題は、いつかパンちゃんに聞かねえとな。


  ◆◇


 クロベエにまたがり、岩塩ポイントに向かってひたすら走る。


 地図に立ったピンを見て、少し遠いかなーって思ったけど、クロベエくんが思った以上に速かったので、十五分くらいで岩場に到着した。


 ……振動エグくて色々出そうになったけどな。


 到着した先にあったのが、また見事な岩山だったのだが……正直どこを掘ったらいいか分かんねえ。


 こういう時は……。


「親方ぁ! どの辺掘ればいいっすかねー」


 ポコン!


『おう、そこの角のあたり掘ってみろ!……って誰が親方よ! ほら、あの出っ張ってるあたりから掘りなさい。奥にたくさん埋まってるわよ』


「あざっす!」


 ほんとノリがいい女神様で助かるぜ……!


 さぁて、ガツンと一発ぶちかましますかぁ


……って、ツルハシなんてもってねえぞ!


 さりげなくアイテムボックスに追加されてたり……もねえなあ。


 パンちゃんが何も言わない……つうことは、今ある手持ちでなんとかできるってことだよな。


 ふむ……なるほど、そういうことか……!


 手持ちの道具で、一番可能性があるのはこいつだ。


 やべえ加護で、ヒッグホッグの頭突きに耐えたこいつなら、岩くらい余裕で割れるはず。


 ならば、ここはこいつをぶん投げるのが正解で間違いないだろう!


「そぉい!」


 大きく振りかぶって……スマホを岩肌に投げつける。


 ガッ


 いい音が鳴り響き、岩肌が一メートルくらい砕け散った。うむ、予想通りの成果だ! つうか、ドン引きするレベルの威力なんやけど……。


 ポコン!


『ちょ! あんた何してんのよ! ばっかじゃないの!?』


「え? 採掘だけど……? ほらみて。スマホの加護のおかげで岩がどんどん掘れちゃうんだ…… ソォイ!」


 ポコン!!


『って、また投げてるーーー! どんどん掘れちゃうじゃないわよ!』


 ガッ


 ゴッ 


 女神様からなんかメッセが来てるが、見ることはできない。


 なんたって、スマホさんは岩を砕くのに忙しいからな!


 ひょいっと投げ、跳ね返ってきたのを拾って、また投げる!


 ほいほい、ガンガンと、テンポ良く砕いていく。


 ノリノリで砕いていると、あらあら、かわいい岩塩が顔を出しましたよ。


「きたぁ!」


 砕けて落ちた岩塩を隅にまとめ、もうしばらく掘っていく。既に当分困らないだけの量は手に入ったけれど、なんだか楽しくなっちゃったのでどんどんいくよ! 


 なんたって、軽く投げるだけで、解体重機みてえに岩肌が崩れんだもん、楽しいったらもう!


 ガッ ゴッ ビシ!


 ……これ、思いっきり投げつけたらどうなるんだろう?


 今は結構軽めに投げているけど、一体どうなっちゃうんだろう? 


 ……ぜってー気持ちいいよなぁ? やるしかねえよなぁ!


「ぬおっしゃああああるぁるぁっ!!」


 ズズンッ 


 ビシ ガッ ゴッガッゴガガゴゴゴッガゴゴゴッゴゴゴゴゴゴグッガゴゴゴゴゴ……


 うほほ! メッチャぎんもぢいぃ……! 


 ブロック崩しの球みたいに、岩肌を無限に跳ねていい感じにぶっ壊しまくってる! おほほ、やべえなこれ、めっちゃ楽しい!


 これ、どこまで行っちゃうんだろうな? もう既に俺の手が届かねえ奥まで入り込んじまってるぞ! 連鎖してるみたいですっげえ気持ちいいぜ……


 ……ん?


 ちょっとまって。


 これ……やべえんじゃ。


 衝撃をほぼ逃さずに反射するっつう、なめくさった加護のおかげでさ、勢いが衰えるどころか、ますます破壊力を上げながら奥へ奥へと進んでるわけじゃん……。


 岩肌から数メートル続いているバレーボールサイズの穴。

 そこから、だいぶ奥の方から今もスマホの破壊音が聞こえている……。


 これ……スマホ回収すんの無理じゃね? 岩山貫通するまでとれねんじゃね……?


 結構でかい山だったよなあ……。いくらスマホにでたらめな加護がついてるっつっても、あれ貫通するつったら、めっちゃ時間かかりそう……。


 それまでスマホなしか……っていうか、貫通した勢いでそのままどっかに飛んでって見つからなくなるかもしれん。


 これは……やっちまったのでは。


 がっくりとうなだれていると……スッと手の中にスマホが現れた。


 は? え? なんで!?


 ポコン!


『……まさかこんな形で説明することになるとは思わなかったけれど、ロスト対策の加護もかけてあるのよ……』


 もうすっかり丁寧な言葉を忘れたパンちゃんが説明をしてくれた。


 ・持ち主の手元からある程度離れると手の中に転移する。

 ・近距離であっても、ロスト判定がされると戻ってくる。

 ・なんなら、念じればすぐ手元に戻ってくる。

 ・捨てようと思っても捨てられないと思え。いつもお前の後ろに居るからな……。


 なんで最後ホラーっぽくしてんだよ。ちょっと怖いからやめろ!

 

 はあ……心配して損したわ。つうか、なかなか便利そうな加護がついてんじゃねえかよ。これこそ、最初から言っとけよ案件だわ。


 まあ、過ぎたこたあいい。


 ククク……念じれば戻る? つまりさあ、投げ放題ってことじゃん!


 もはや遠慮することはない! うっしゃあ、行くぜハイパー投擲タイムじゃ!


 シュッ……ドガバキゴガシャ……ストッ!


 シュッ……メキャバゴゴゴゴ……ストッ!


 うひょー! きんもちいいい! 投げて壊して戻ってくる!

 うおおお! 今度は向こうだ! ヒャッハー!


 ……

 …

 

「はっ! ついつい夢中に……おお……これはこれは……」


 我に返って岩山を見れば、どっからどう見ても洞窟にしか見えない立派な大穴があいていて、中には一生かけても使い切れないほどの岩塩がゴロンゴロンと散らばっていた。


 ま、まあ……いつか誰かにあげてもいいし……穴は……家作れなかったら、ここに住めばいいし……うん! 問題なし!


 にしても……奥の方まで散らばってるから、収納に行くのめんどくせえな。当たった瞬間に収納してくれたら楽なんだけど、流石にそういう機能は無いだろうからな。


 チラッ チラッ


「投げたスマホに当たった物を収納できる加護とかなー、あったらなー」


 チラッ チラッ


 ポコン!


『……露骨な催促やめなさいよ……うーん……あっ……どうせ不要になるし、嫌な予感もするからつけないでおくわね』


 ちっ! 

 

 つうか『あっ』ってなんだよ……不要になるってなんでだよ……くっそ、だんまりか!


 しゃあねえ……そういうことなら、とりあえず必要な分だけ収納して、他は後に……


 ……まてよ、よく考えたら、この辺って俺しか住んでないんだよな。

 だったら、このまま塩の保管庫として使ったらよくね?


 そうだ、そうしよう。


「ねえねえ、名付けしたらマップに載ったりする?」


 ポコン!


『それくらいならいいでしょう』


 よし! だったら……そうだな。


 ここは『塩の洞窟』にしよう。まんますぎるって? いいんだよ。


 そんくらい適当な方が、末永く言い伝えられるんだからさ。


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