第22話 愉快なメンバーを紹介するぜ!
「相変わらずユウの飯はうめえな!」
いや、これは俺が作った飯じゃ無いんだが……言われてみれば、俺の味によく似てる……いや、違うな。
「いや、作ったのは俺じゃねえぞ。ウサ族……あのロップ耳の魔族だぞ」
「マジか……でもこれ、ユウの味付けにそっくりだぞ」
「うん、ユウさんが作ってくれた、このスープ、トンジルみたいな味がするよね、お母さん」
「そうね、お肉じゃなくてキノコだけど、スープの味付けはミソを使ってるみたいね」
そう……これは俺の味付けってわけじゃなくて、日本風の味付け……和食だ。
ウサ族が器用なのは知ってるし、俺のメシも何度か食わせたことはあるが、ここまで本格的な和食の作り方は教えてねえぞ……。
心当たりがあるとすれば……あ、心当たりが目をそらしたぞ。
露骨に目をそらして、マーサとしょうもない話を早口で始めたぞお……。
なるほどね。
リリィたちが、ずいぶんとメイドさんっぽくなってるなあ……って思ってたけど、さては、神殿で働かせるために、こっそり教育を施してやがったな?
パンさんにしては、ずいぶんマメにダンジョンに行ってると思ってたが……答え合わせができちまったなあ。
ま、そのままホテルの従業員として使えそうだから、これに関しても突かないでおいてやるよ。
次はないがな!
……
…
夕食が終わり、みんないい感じに満腹になったところで、お茶を飲みつつお話タイムだ。
「さて、気になっているだろう、この辺りの土地について説明しようと思う」
パチパチと謎の拍手が上がった。
「この辺りには、俺たち一家のほかに、魔獣や魔族も住んでるんだ。とは言っても……この辺りの連中は特殊でさ、人族の言葉を喋るし、そういう奴らは襲ってこないんだ」
「なるほどなあ……そういうことなんだなあ」
「なんだよ、もっと驚くかと思ったのに普通だな?」
「だってよお、ユウには散々驚かされてきたんだぜ? なんかもう、ユウが言うならしょうがねえなあ、そういうこともあるんだなあって思うようになっちまったよ……」
諦めた顔でキンタが言い、それに頷く一同……。
そんな……そこまでやらかしまくってなんて……色々やってんなあ……。
まあ、ビビらねえって言うなら、やりやすくていいけどよお。
「じゃあ、そんな愉快なメンバーを紹介するぜ! まずはコイツ、モルモルのモル助だ」
俺に紹介されると、ぴょこぴょこ跳ねながらモル助が前に出た。
こいつ、ちょっと見ない間にまたちょっとデカくなってるんだよな……。
「紹介されたモル助だ。我は主により家に招かれ、ユウ殿に清掃業務を任され、日々励んでいる。最近は、この建物の管理もしている。よろしく頼む」
「せいそうぎょうむ?」
「キンタくんにわかりやすく言うと掃除の事だよ」
「モルモルって、川でみたことあるよ。お掃除得意なの?」
「ああ、得意だな。ゴミ以外にも、水の浄化やゴミの処分なんかも得意でな、俺の家はモルモルたちのおかげでピッカピカなんだよ」
「へえ、掃除をしてくれるだなんて、羨ましいわね」
「マーサとリットちゃん、それにザックは、明日モル助とパンさんの案内で俺の家の見学をして貰うことになってっから、そん時いろいろと聞いてみるといいさ」
「うむ、明日は我と、同僚のモルゾウが応対する故、なんでも聞くが良いぞ」
器用に力こぶを作って見せるモル助を見たマーサが苦笑いをしている……まあ、見た目はアレだけど良い奴なんすよ。
「そんで、お次は狩人の連中がすげー気にしている、ロップ耳の彼女たちなんだが……明日お前ら狩人を連れて行く場所に住んでいるのが彼女たち、ウサ族だ」
紹介されて出てきたリリィは……なんとメイド服を着ていた!
やったなお前……と、パンさんを見ると、ぐっと親指を立ててウインクをしてやがった。
……こいつマジでわかってるよなあ。
見た感じ、ちょっと安っぽいコスプレ衣装感がパネェから、きっとひとっ走りしてボンキで買ってきたんだろうな……。
パンさんのそういうとこ、すっごく良いと思います!
「ユウ様に『ウサ族』と言う素晴らしい種族名を頂きましたが、かつてのわたくし共はウッサロップという小さな魔族で、元はロップとよく似た姿をしていました」
「え……ロップって、俺らがよく狩ってる……」
「ばか、言うんじゃねえ」
「あっ」
「うふふ、大丈夫ですよ。ロップは、かつてのわたくしたちとよく似ていますが、あれは魔獣で、こちらは魔族。アレは話ができるほど賢くありませんし、気にはなりませんわ」
「そ、そっか……ならいいんだけど……つうかさ、リリィさんは、俺らとよく似た姿に見えるんだが、本当に、ロップみたいだったのか?」
「ええ、本当ですよ。ユウ様がたのおかげで、ちょっとした奇跡が起きまして、今ではこのような立派な姿にしていただき、様々なお仕事を任されるようになりました。皆様、明日はよろしくお願いします」
ユウさんだ、またユウさんか、ほんとユウさんはよお……と、俺をチラチラみる狩人連中だが、その合間にリリィたちウサ族をチラチラ、チラチラと見ている。
鼻や口元、それに目立つ耳などに、まだケモっぽさは残っているものの、服を着てるのもあってか、体付きは人間の女性と変わらんように見えるからな……ああ、キンタがまたマーサにケツをつねられている。
「リリィ、なんでかメイドさんしてっけど、明日の件は大丈夫だよね?」
「はい、ユウ様! メイドのお仕事も、あちらのお仕事もバッチリこなしてみせます!」
「……そのうちあっちは大忙しになるから、メイドはほどほどでいいぞ?」
「ええ……ちょっと気に入り始めてましたのに……」
ウサ族って働き者だから、油断すると自らブラック環境にどっぷり浸かりそうで怖いんだよなあ。
魔族だけあって、体力はやたらとありそうだが、マジでご自愛してくれや。
「うーし狩人のばかたれども! 明日は朝から狩りだ、部屋に戻ってさっさと寝ろ!」
「ええー! 夜はまだこれからじゃねえかよ!」
「そうですよユウさん! このビールとかいうの、もっと飲ましてくださいよ!」
「リリィ達がなー、明日お前らが来るのを楽しみにしてんだけどなー」
「リリィさん……たちが?」
「今朝みたいに、フラッフラになった姿を見たら……どう思うかなあ? あ、ちなみにスッキリするアレはやらねえからな」
「よーしお前らもう寝るぞ!」
「ですよね! リリィさんたちを待たせちゃなんねえ! 寝るぞねるぞー!」
ほんと現金で馬鹿な男たちだよなあ……いやまあ、俺もあっち側に居たら同じリアクションするだろうけどさあ。
うん? それで明日キンタ達に何を見せるのかって?
ちょっとした思いつきから始まったことなんだけどな……。




