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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
5章 始まり

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第21話 似た者夫婦

 ロビーに戻り疲れた顔をしていると、リリィが素早く駆け寄り、よく冷えたビールを出してくれた……ありがてぇ……。


 ぐったりしながら三杯目のビールを飲み始めたところで楽しげな顔をした女性陣が戻ってきた。


 髪がサラサラだの、お肌がすべすべだの……キャッキャうふふと女子トークを繰り広げている。


「そっちの方から、随分と賑やかな声が聞こえてたけどさあ……子供じゃないんだから、静かにゆっくり浸かりなさいよねー」


 ……どっと疲れが押し寄せた。


 確かにうるさかったし、悪いと思ってるよ。


 けど、俺じゃねえんだよ……あいつらが、あの陽キャどもがはしゃいで、はしゃいで……はあ……まさか、ここまで喜ぶとは思わなかったわ。


 その陽キャ達? ああ、あいつらは思いがけず出てきたビールに大喜びで、勝手にどんどんやってるよ。


 もう知らねえよ、俺はもう知らねえ! 俺もどんどん飲むんじゃ!


 つうか、二杯目飲んでる時に気づいたけど、このビール、生中なんだよ……。


 中ジョッキにさ、キンキンに冷えたビールがクリーミーな泡と共に注がれてんの。


 なんかさ、よくみたらさ、ロビーの片隅にバーカウンターがあるんだよ……。


 そこにさ、ビールサーバーがさり気なくおいてあってさあ、リリィたち、ウサ族メイドがそっから器用に注いで持ってきてくれんの。


 いくらウサ族がすげえからって、ビールサーバーは作れねえよな……。


 これ、ぜってえパンさんの仕業に間違いないわ。


 ……間違いねえんだけど、湯上がり生中はもっと間違いねえので、これに関しては見て見ぬふりをしておいてやるよ……はあ、ビールおいし……。


「ユウさん、ちょっといい?」


 疲れた顔でビールを飲んでいるとマーサがやってきた。


 元々綺麗な人だなあとは思ってたけど、風呂で磨かれたのか、マシマシで美人さんになってるな……。


 はあ……キンタもげねえかなあ!


「……ほいほい、なんかあった?」

「お風呂が凄くってさあ、お礼をいいたかったのよ。ありがとうね、ユウさん」


「ああ、それに関しちゃパンさんに言ってくれよ。あいつがここに風呂を作るって決めたみたいだし」


「勿論パンさんにも言ったわよ。そしたら、お風呂を考えたのはユウなのよって、お礼はユウに言ってって……ふふ、あなた達、ほんと似たもの夫婦よねえ」


「そ、そうかよ……いやまあ、俺が入りたくて作っただけだし……まあ、気にしないでいいよ」


 ……似た者夫婦って……そ、それそのまんまブーメランじゃねえかよ。

 

 説明中だってのに、脱ごうとしたのは何処の夫婦だっつーの。


「そう? でもありがとう。それでさ、この服なんだけど、ずいぶんと肌触りが良いじゃない? これどうやって作ったの?」


「どうやってって……そりゃ……フワフワの実をつかってだな……」


「フワフワの実? それってどんな実なの? 今まで見たことも聞いたことも無いわ」


「そういや、村の人らはコットコで服を作ってんだっけ?」


「そうそう。今まであれが普通だって思ってたけどさ、これを着ちゃったら……ね」


「そこまでか?」


「そこまでよ! 軽くて暖かくて……チクチクしない。なんだかとっても優しい生地なのよねえ……」


 うっとりとした顔で服を撫でるマーサ。


 よっぽど触り心地がいいのか、心底楽しそうに着ている服の袖を撫でている。


 そんな顔で言われたら……ってそうじゃなくてもそのうち教えようと思ってたけどさ……。


「そんなに気に入ったんなら、研究用にいくつかやるよ」


「ありがとう! これで肌着を作ったらきっと快適になるわ!」


「お、おう……!」


「ねえ、これって村で増やせたりする?」


「あー……これってさ、池の中に生えてるんだよ。だから池を作って育て方を研究するところからしないといけないぞ」


「じゃあ帰ったらシゲミチに相談してみるわ。あの子、花とか草とか好きだし……」


 ……すまねえシゲミチ。またお前の仕事を増やしちまったようだ……。


 でもまあ、いいよな? 事務仕事と違って趣味と実益を兼ねたうんたらって感じだしさ……っと、まったり話し込んでる場合じゃねえな、ルーちゃんとリットちゃんがはらぺこですわ。


「よし、じゃあそろそろ飯でも食おうぜ。おらおら、キンタ共、いつまでも飲んでんじゃねえぞ! パンさんもだ! ほら、食いながら明日の予定を説明すっからさ、さっさと移動しろ!」


 酔っ払い共をぐいぐいと無理やり食堂に連行し、えいえいと席につかせると、間もなくしてリリィたち、ウサ族メイドが次々に料理を運んできた。


『お食事もおまかせを』と言っていたので、期待半分怖さ半分でドキドキしてたけど……流石は器用なウサ族、料理の腕もなかなかじゃねえか……。


 そんなウサ族メイド隊の指揮を執っているのはモル助だ。


「そろそろメインを出してもいい頃だろう……キッチンに向かうように、ああ、それとデザートの仕上げも頼む」


「かしこまりました」


 ……プルプルしながらテキパキと指示を出すのは、慣れてる俺が見てもシュールだな……。


 キンタがまたビビるかとちょっと期待していたのだが、なんかもうすっかり慣れちまったみたいで、普通にビールのおかわりとかたのんでやがる。


 つまんねえ。


 しかし、モル助お前さ……異様に様になっているよな。


 まさか執事スキルとか増えてんじゃなかろうな?


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