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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
5章 始まり

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第12話 未知の一撃

 いやまあ、この世界の野生生物は、見た目は動物さんでも総じて魔獣だからさあ、人を恐れず、むしろ襲いに来るのだってのはまあ、わかるよ。


 けどさ、自信満々の姿でやれるもんならやってみろと、悠々と向かってこられると……やっぱムカつくものがありますわよね。


 というわけで、縄張りに入って早々にリブッカと遭遇した我々ですけれども、コレ、あれじゃね? 


 わあわあ騒いだ声を聞いて、向こうから来てくれたんじゃね?


 今回は結果オーライだが……ほんと、まだまだダメダメだよなあ、こいつらはよお。


 先頭に立って騒いでたお前が言うなって?


 それはそう。


 しっかし、ほんと……このリブッカさあ、マジでなめくさってるよなあ。


 こんだけ多くの狩人が居るってのによ、警戒なんて全くしないどころか、お前らなんていつでもぶちのめせますことよ、みたいな感じでユラリユラリとしてやがる。


「みろよキンタ、あいつ、お前らをなめ切った態度してんぞ」


「おう……確かに、気に入らねえツラしてるな……」


「大丈夫だ、お前ならやれるって! ほら、見せてやりなよ、練習の成果をさ!」


 キンタは少し緊張しているようだったが、バシンと背中を叩いてやると、ニヤリと不敵に笑い、コンポジットボウを構えた。


 狙いは頭、その一点だ。


 前回、自信満々のキンタが放った矢は、頭に当たりこそはしたけれど、貫くことはできなかった。


 今、目の前にいるリブッカは、あの時の個体とは違う。


 けれど、まるで情報を共有しているかのように『お前が向けているモノは俺には効かぬ』とばかりに、向けられている矢を平然とした顔で見つめている。


 ……いや、リプラシルシステムのリスポーンは、一部記憶を引き継ぐらしいからな。もしかすると、この個体は前回俺がとどめを刺した奴の転生体かもしれねえ。


 だとしたら、災難だったな。


 だって、今キンタが構えている弓は、それにつがえた矢は――


 お前が知らない、新しい力なのだから。


 バシュッ


 大きな鉄の鏃が付けられた改良矢がキンタの弓から放たれ……と、思った瞬間、リブッカの額に突き刺さっていた。


 リブッカは、少しの間だけ、不思議そうな顔をしていたが、間もなくしてゆっくりと横に倒れ、動かなくなった。


 うおおお……一撃で決めやがった! ほんっと、ムカつくほど弓の扱いがうめえよな! 


「す、すげえ……すげえよこれ! 弾かれねえで、ちゃんとぶっ刺さったぞ!」


 キンタが興奮に身体を震わせ叫んでいる。


「やったぞお! キンタさんがやったぞ!」


「すっげえ! 毎日練習した甲斐がありましたね!」


 狩人たちが駆け寄り、輪になって抱き合ってきゃっきゃと跳ねまわっている。


 これが女子校のハンティング部とかだったら……きらきらしてとっても素敵だったろうに、ほぼほぼおっさんしかいねえから暑苦しい……つうか、きゃっきゃすんじゃねえ!


「キンタは勿論、お前らだって弓の腕は悪くねえんだ、それにダンとザックの弓が加わりゃ……こうなるってわけよ!」


「ユウさん、俺もいつか自分の弓を手に入れたら……キンタさんみたいにできますかね?」


「ああ、いけるとも! だが、道具だけに頼るんじゃねえぞ? ちゃんと腕を磨いてこそ、道具が生きるんだからな!」


「うっす! がんばるっす!」


 道具に頼りっぱなしの俺ですけれども、こういう時は、それっぽく偉そうに言わないとね。


「これなら……もう、なんでも狩れるんじゃねえか?」


 ほら、すぐにこうして慢心する奴が出てくるだろ? だから、水を差すようなことも言わなきゃならんのよね……。

「この弓は強えが、安定して倒せるのはリブッカまで、それも、ダンが作った改良矢を使わねえと無理だ」

 

「え……マジかよ」


「マジだ。キンタがつがえてたのが、普通の矢だったら、当たった瞬間矢が折れてたよ。俺が倒したラウベーラだと……改良矢を何本も当てて、ギリ倒せるかどうかってとこだな」


 知らんけどね……。


 だって、あれ、スマホランスでポーンってやっちゃったから、実際の強さなんてわからんのよ。


 でも、なんかヒッグホッグより少し弱いくらいのレベルらしいし? ヒッグホッグが居るのって、多分エンドコンテンツ的な森だし?


 こんくらい盛っても大丈夫じゃねって思う。


「なあ……だったらよ、ラウベーラより強えやつには、これも効かねえってことか?」


 改良矢を握り、驚いた声を上げているのはキンタだ。


「俺が持ってくる肉――ヒッグホッグって魔獣はさ、ラウベーラより強いんだが、その矢じゃ弾かれちまうよ。あいつの装甲を抜くには、魔鉄鋼の矢じゃねえとな」


「だったらよ、その魔鉄鋼の矢があれば――」


「それがな、キンタ……ありゃあ、俺らにはまだ無理だわ」


「無理?」


「無理っす。ダンさんと色々調べて試してるっすけど、まだ当分加工できそうにないんっす」


 それを聞いてガックリと肩を落とすキンタと狩人たち。


 ほんと、お前らは生き急ぎすぎなんだよ。


 なにも、すぐにできるようにならなくたっていいじゃねえかよ。


「そう気を落とすなって。その弓だってよ、ダンとザックが作れるようになるまで時間が掛かっただろ? その間……キンタはできあがったときのために腕を磨いてたんだろ?」


「ああ、そうだ……な。俺はコンポジットボウに慣れるために練習してたし、こいつらだって、ユウに見せるんだって、練習を続けてたな……」


「だろ? こんなすげえ弓を作れるようになった二人なんだ、きっと魔鉄鋼の矢もいつか作れるようになるさ。それまでの間、お前らはそれに相応しい狩人になるためにまた頑張ってたら良いだろ」


「そっか……そうだよな! へへ、まだリブッカ一頭狩れただけだってのに、どうかしてたぜ!」


 そうだよ。まだリブッカ一頭狩っただけなんだぜ? 


 魔鉄鋼の加工が安定し、矢が量産できるようになるその日まで、コツコツと腕を磨いたら良いんだよ。


 そしたら、ラウベーラは勿論、ヒッグホッグだってきっと狩れるようになってるはずさ。


「よーし、みんな! 狩った獲物は、全部俺が持って帰ってやるからよ! 帰りの心配なんてしねえで、たくさん狩っちまえ!! 今日までどれだけ腕を磨いてきたのか俺に見せてみろ!」


「「「おーーーー!!!!」」」


 盛り上がる狩人達を連れ、森をあっちこっちとうろつき、獲物をどんどん狩りまくり。


 最終的なリザルトは、リブッカ三頭にクッカがたくさんと、最高の結果とともに試射会は幕を閉じたのでありました。


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