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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
5章 始まり

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第7話 おみせやさん

 なんだか……良い最終回を味わったような気がしてならないけれど、俺たちのっていうか、俺のお仕事はまだこれからなんだよなあ……ああ、おはようございます。ユウですけれども。


 昨日予告したとおり、今日はお金を使う練習をしてもらうってことで、朝からせっせとお店の用意をしましたよ。


 言ってしまえば、幼稚園児がお金の使い方を学ぶあれ、お店やさんごっこみたいなもんなんですけれどね、使うお金も、それで売る商品も本物っつーことで、しっかりと準備をさせていただきましたとも。

 

 今回俺(・)た(・)ち(・)が出店するのは、俺とクロベエの八百屋と、パンさんとルーちゃんの肉屋の二店舗だ。


 肉を売るルーちゃんより、お野菜を売るルーちゃんのが可愛いよなーって思うんだけどさ、八百屋では品種改良した種も取り扱うから、説明できる俺がやらねーとだめなのよね……。


 肝心の店舗なんだけど、それはシンプルに露店風で行くことにしたんだ。


 ゴザを敷いて、上に箱を並べて……これだけでも十分、店として使えるし、ここの人らも真似しやすいだろ?


 だから、シンプルな露店スタイルが一番いいってわけなのさ。


 うまくすればさ、この村に露店が増えていくだろ。


 そうすりゃ、ふらっと遊びに来た時に、買い食いなんかも出来るようになるじゃんか。


 俺さ、ちょっぴり憧れてたのよ、異世界屋台の買い食いにさ。


 異世界屋台と聞いてなにが思い浮かぶ? 


 そう、謎の串焼肉屋さんだ! 異世界物を読んでいると、高確率で登場するのが串焼肉屋の屋台だ。


 あの、なに肉なのかはわからんが、妙に美味そうな串焼肉!


 そういう屋台をさ、村の人には是非ともやってもらいたいわけなのよ。


 だから……今回は串焼肉も体験してもらう。

  

 特別に用意した屋台でジュウジュウと焼かれる串焼肉! 


 今日一番人気になることは間違いない……!


 そんな秘密兵器たる、第三の店を担当するのが、村長の娘さんと奥さん……そう、リットちゃんとマーサだ!


 買い物だけの体験じゃああとに続きにくいからな。しっかりと売り子体験もしてもらいましょうってわけなのさ……と、噂をすればなんとやら、だ。


「ユウさーん、遅れてごめんなさいねー」


「わ! すごいすごい! お肉と野菜と……ごはん作るところ? なんかわからないけどすごいね!」


「おはよう、マーサ、リットちゃん。今日はよろしく頼むぜ」


「あ、リットちゃんだ! おはよー!」


「リットー おはよー」


「おはよー、ルーちゃん、クロベエちゃん。パンさんもおはようございます!」


「おはよう、リットちゃん。ふふ、今日はルーちゃんと一緒に頑張ってね」


「はい!」


 パンさんが母親ムーブをかましてる……こいつ、ほんと普通にしてればキレイだし、ほんと理想の奥さんって感じだからこまるぜ。


 ……まあ、ちょいちょいやらかすアレやコレやが台無しにしてるけどな。

 

 っと、要らん事を考えてる暇なんて無いのだわ。お店屋さんの用意をするのだわ!

 

「マーサとリットちゃんに頼みたいのはこのお店だ」


「これ、気になってたんですけど、なんなんですか?」


「小さな調理場みたいなもんだよ。ここをこうすると……下から熱が出て、上の鉄板を温めるんだよ。そこにこいつ、タレがついた肉をのっけて焼くんだ」


「わ、なにこれすごい! どうして火がないのにお肉が焼けてるの?」


 おっと、しまったな。面倒くせえからと、魔導コンロで屋台を組んじまったが、そういやこいつらって魔導ランプくらいしか魔導具を知らねーんだったな。


 ……まあいいや。遅かれ早かれ魔導具を広めようと思ってたんだ、早めのお試しってことで良いことにしよう。


「魔導ランプってあるだろ? あれと同じ感じでさ、光るんじゃなくて熱くなるように……って、マーサ近い……近いから、キンタにキレられっから」


 リットちゃんに説明を始めたはずなのに、気づいたらマーサの顔が目の前にあった……やべえな、主婦の物欲なめてたわ。


「……まあ、あれだ。道具のことは後で説明すっからよ、今日のところは肉焼いてくれや……」


「後できっちり教えてもらうからね? 忘れないでね、ユウさん」


「うっす……」


 いやあこええこええ。ほんとこええな。


 いやまあ、食事の支度のために炊事場まで通うってのはほんと大変そうだからな。


 魔導コンロなら、改築しなくても家に置いて調理場を作れそうだし、興味を示しまくるのは仕方がないことだよなあ。


 ……奥様ネットワークってやっべえんだよなあ。たぶん、明日の今ごろには村中に魔導コンロの話が伝わってることだろう……。


 こうなると、魔導具の早期普及も考えないといけないな……。


 面倒なことは未来の俺に丸投げするとして、とりあえず……今は肉を焼いていこうか。


「串に刺して焼いた肉を……こうしてドボンとタレに入れて、もっかい焼くと……」


「わあ、すっごいいい匂い!」


「ほんとね、ただ焼くだけでも美味しそうなのに、このタレ? に入れるともっと美味しそうになるのね」


「そこまで難しくないでしょ?」


「ええ、簡単なのに凄く美味しそうですね! このコンロというのは火が出ないみたいだけど、リットには……やっぱりちょっと危ないかしら?」


「火は出ないけど、熱いのは熱いからな……そうだな、リットちゃんにはお客さんからコインを貰う係をやってもらおうか」


「こいん……リパンってやつだね? うん、がんばる!」


「串焼き肉は1リパンだから、この銅貨を貰うんだぞ」


「はーい」


「ようし、リットちゃん。ちょっと練習して見ようか。串焼き三本下さいっていわれたら何って言うのかな?」


「ええと……1リパンを三枚下さい、かな?」


「惜しい! こういう時は『3リパンです』って言うんだよ」


「なるほどー! じゃあ四枚だと4リパン、五枚だと5リパンだね!」


「その通り! じゃあさ、3リパンの支払いに俺は10リパン銀貨を出しました。どうすればいいかな?」


「うんと、これだと貰いすぎなんだよね、残りを……うん、そっかこのザルから7リパンを取って渡せば良いんだね」


「おおお……リットちゃん……やるじゃないか! お店屋さんどころか、キンタのお手伝いでも活躍出来るかもしれないな」


「本当? やったあ!」


 正直侮ってましたわ……リットちゃんには算数はまだ難しいかな? って思ったのに、なあにこれ。リットちゃん賢いやんけ! 


 下手したら、俺より算数できるかもしれん……。


 会計の補助をしようと思ってウチの隣に屋台を配置したけど、こりゃ余計なお世話だったかも知んねえな。


 ううん……近い将来、リットちゃんが村の経理を牛耳りそうな気がしてならねえ……。


 なんてやってるうちに準備もおしまいだ。


 肉の匂いにつられ、フラフラとやってきた村人たちがソワソワしながら遠巻きに開店を待っているみたいだし……開店するとしましょうか!


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