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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
5章 始まり

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第5話 知識チートイキりマン

「みんなに受け入れてもらえそうで嬉しいぜ。ここでもう一つ提案だ」


「お、なんだなんだ」


「こいんだけでも便利になりそうなのに、まだあんのか」


「例えば、肉が欲しかったら狩人のところに行くだろう? 狩人にコインを渡し、肉を得る、これがこれからの常識となるわけじゃん」


「改めて聞かされると、すげえ楽でいいよなあ」


「……けどさ、狩人だっていつもいるわけじゃねえし、だからといって、誰か来るのを待ってたら狩りにいけないわけじゃん」


「あ、ユウ良いこと言った! うちはリットやマーサが居るからよ、留守を頼めるんだが、一人で住んでるやつとかは大変そうなんだよなあ」


 お、珍しくキンタがいい仕事したな。打ち合わせてねえのに、いい感じのネタだししてくれたわ。


「だろう? 物の代わりにコインを使うようにしても、結局その問題はついて回るわけだよ」


 途端に盛り下がる場の空気。


 せっかく温まったのが下がっていくのはよろしく無いが、下げて上げてありがたみを見せつける流れだから、むしろこれでいい。


「だからさ、交換所を……例えば、肉の交換所を作ってみたらどうだろうか」


「肉の……交換所……だと?」


「なんたる素敵な響き……」


「肉が還る場所……肉の交換所……」


 こいつらほんとな。


 食いつきが良かろうと、肉の交換所と言ってみたら案の定だよ……。


「そうだな、交換所じゃ長えから『肉屋』と呼ぶか。狩人はそこに肉を持って行ってコインと変えて貰う……そうだな、物と交換にコインを貰う事を『売る』と言うことにしようか。

 狩人は余分な肉を『肉屋』に持っていって『売る』そんで、手に入ったコインをそのままでも、後からでも野菜なり薬なり、好きな物に変えりゃあいい」


 おおおっとどよめきが上がる。


 あれだなー、知識チート系の主人公ってこんな気分なんだなー。控えめに言って、滅茶苦茶気持ちいいわ。

 

 それと同時にこう……なんか申し訳ないって言うか、恥ずかしい気持ちもあるわ……小学生でもわかるような事をだよ? どや顔でだよ? 『これを売るといいます!』ってやってんだ。


 見ろよ……パンさんの奴、ニチャニチャとした顔で俺を見てやがる……あれぜってー『知識チートでイキってる奴、生で見たの初めてだわ、ウケる』って思ってんだぜ。


 ポコン!


『知識チートでイキってるやつ、生で見れる日が来るなんて思わなかったわ! マジウケる(腹を抱えて笑ってる猫のスタンプ)』


 ……ほらね。


 けどさ、この程度の知識でイキれるほど、お前が作った世界がヒデエってのは忘れちゃだめだからな!


「なあ、ユウさん。てこたあよ? 俺らはコインをもって『肉や』に行けば肉と変えてもらえるってわけかい?」


「お、鋭いね! そういうことさ。さっきジャモが大変だって言ってた人だよな? ジャモの代わりにコインを1枚、肉屋に渡せば肉が来る。すっげえ楽でいいよな!」


「ああ! ジャモもさ、量が増えると重たいから、ほんと助かるぜ」


「そんな感じで、コインと交換に肉を受け取ることを『買う』と言うことにしよう。

 まとめると、狩人は肉を『肉屋』に『売って』コインを手に入れ、そのコインで野菜屋にいき、野菜を『買う』わけだ。コインひとつでいろんなことが楽になる、最高だろ?」


 改めて、通貨によってもたらされる生活の向上を理解したのか、あちらこちらから『おおお……』っとどよめきが聞こえてくる。


 この様子なら、スムーズに通貨を導入できそうだな。


「肉屋や野菜屋……めんどくせえからまとめて『店』って呼ぶけどよ、店は農家がそのまま自分たちでやっても良いし、農家から野菜を買って売る仕事をしてえってやつが居れば、そいつにやらせてもいいと思う」


「うちの母ちゃん、もう畑はできねえが、店ならまだまだ頑張れそうだわ」


「あ、いいな……うちも野菜屋やりたかったわ」


「店はいくつあっても問題は無いから、そこは好きにやればいいさ。勿論、肉屋や"野菜屋"以外の店があっても良いんだぞ。なんでも手伝う『なんでも屋』なんてのもあってもいい。好きなように店を作ってくれ」


 うむうむ、大好評のようだし、このまま導入まで持っていこう。


 そのために……最初の一歩として、住民たちにコインを支給しないとな。


「さて、これからの生活に欠かせないコインだが、まだ誰ももってないわけじゃん」


「そういやそうだった!」


「なあ、ユウさんよ。そのコインはどっから手に入れたら良いんだよ?」


「今日は、この話を聞いてくれたお礼として、俺から皆にコインを渡すよ。各家庭一律500リパンだ。1リパンを百枚、10リパンを三十枚、100リパンを一枚配るから、大切に使ってくれ」


「たくさん貰えそうなのは嬉しいけど、それってどれだけの肉に代えられるんだ?」


 おっと、そうだよな。貨幣価値のお話をすっ飛ばしていたぜ。

 

 雑に1リパン100円の通貨レートにしてるから……ええと、こういう時はパンを例に出せば良いのか?


 いやまて、こいつらは肉の民だ……パンより肉が良いな。


 そうだなあ……ストレージに小さい焼き鳥があったな……うーんこれなら、スーパーの惣菜価格で五本で二九八円とかだな。


 ざっくり一本60円……めんどくせえから50円とすれば、0.5リパンか。


 ……って、こいつら、焼き鳥をガン見してやがる……説明しやすいからいいけどよ、ほんとどんだけ肉が好きなんだよ。


「こいつはクッカを串にさして焼いたもんだ。あんまデカくないからな、こいつは二本で1リパン、銅貨1枚だな。つまり――」


「500リパンなら……とにかくいっぱい食えるって事かよ! すげえな500リパン!」


「うおおお! マジかよ! 旨そうな匂いがする肉をたくさん食えるのか!」


「500リパン貰えるってのはあれだな! 肉を腹いっぱいもらえるってことなんだ!」


「「「ユウさん、ありがとう!!」」」


「お、おう……」

 

 とっても雑な受け取り方をされたが、概ね理解されたみたいだから良いことにしよう……。


 ええねん……ちょっとずつ学んで、ちょっとずつ覚えてってくれたらええねん……。


 しばらくの間は俺もサポートするつもりだし、なんとかなるやろ……知らんけど。


「よーし、おまえら、まとめに入るから良くきけー」


「「「はーい!」」」


「店つってもよ、どうすりゃいいのかわからねえだろ?」


「たしかにそうだ」


「簡単に考えてたが、いざやろうと思うと困りそうだな」


「まあ、そうなるよな。だからさ、明日お試しの肉屋と八百屋を開くからよ、買いに来てくれよ」


「おお……実際どうすんのかわかるわけか」


「そういうこった。後で俺も誰かの店で買い物すっからよ、貰ったコインは巡り巡ってまたみんなのところに戻ってくってわけだ」


 そこまで話すと皆嬉しそうにしつつ、そわそわし始めた。


 ああそうね、早くお金を配って欲しいんだよね。


 わかるわかる。俺も、こういう時はさっさと配れやって思う方だもの。


 でもさ、お金を配ったらお前らさっさと帰っちゃうだろ? 


 残念ながら本題はまだなんだよなあ……。


 もうちょっとだけ待っててくれよな。


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