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バグった世界にテコ入れを  ~スマホ片手に停滞世界を再開発~   作者: 未白ひつじ
5章 始まり

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第1話 肉の集落ふたたび

 我々は帰ってきた! 


 そう、肉の集落に帰って来たのだ!


 密かに計画していた集落アップデートのため、もうすぐ大晦日だという今日、こうして集落にやってきたのである!


 というわけで、久々の集落なんですけれども。


 前回来た時に、色々と宿題を残していったけど、あれからどれだけ変わっていることやら。


 ……ああ、あの門、なんかもう既に懐かしいぜ。


 あれもそのうち、もうちっと立派なのにさせてえよなあ……――


「ユウさんが来たぞー!」


 ――と、門に近づいた瞬間、アッという顔をする見張りのおっさん、叫ばれる俺の名前。


 わらわらと集い、俺を取り囲む住人たち。


 おいおいまてよ、肉か? また肉なのか……ってなんか増えてねえか?


 いや、明らかに人が増えてんぞ……『誰だこいつ?』って感じの、微妙に嫌な視線も感じる……いったい、なにがあったんだ?


「おーい、ユウー! もう来ねーかと思ったぞー!」


「おー、キンタじゃんか。もっと早く来たかったんだが、俺も忙しくってさあ……ところでさ、なんか住人増えてね? 知らない人がたくさんいるんだけど……」


「ああ、それがな――」


 キンタの説明によると、どうやらこの辺には他にも集落が点在しているらしく、これまでもちょいちょい、野菜交換やら結婚やらで交流があったそうなんだよ。


 それで、俺が帰ったあとにもよその集落から人が来たらしいんだが、丁度キンタたちが狩りから帰ったところだったらしくってさ。


 覚醒したキンタたちはその日も多くの獲物を持ち帰ってきたそうで、集落全体で分けてもまだ余裕があるほどだったらしいんだ。


 で、いつもであれば、余剰分は狩人で山分けって感じらしいんだけど、たまたま来ていた別の集落の人に気づいたキンタは――


『いつも交換に来てくれてありがとうな、良かったら食ってくれ』


 と、軽い気持ちでロップを一羽あげたんだって。


 これだけ聞けばまあ、普通の話に聞こえるけれど、この世界だと違うよね。


 そう、肉は貴重品。


 そんな肉を、ポンと分けてもらった人は、もうびっくりして――


『に、肉じゃないか! 欲しいが、今だされても困る! 持ってきた野菜は交換しちまったし……持ってきた分全部出しても全然足りないぞ』


 ――と、悲しげな顔で言ったそうだ。


 それを聞いたキンタは、なんだか少し前の自分たちのようだなと、しみじみと……


『それは今日まで、来てくれたことに対しての交換品だ、遠慮せず受け取ってくれ』


 と、返した。


 不思議そうな顔をして、何度も良いのかと言う男に、キンタは、いいから、いいからと持たせて帰らせたんだってさ。


 結果どうなったか。


『あそこの狩人たちは、よそに肉を分けられるほどに肉を狩るのが上手いらしい』


『あそこにいけば、肉と交換してもらえるらしい』


 ……と、噂がどんどん広まっていき、よその集落から物々交換に来る人がどんどん増え……また、キンタたちもぐんぐん狩りの腕を上げてくもんだから、それに対応できてしまって。


 そのうち、こんなに肉が食えるなら住みたいと言う者が現れ、いいな、俺も住もうかな、あたしも、おいどんもと、近場の集落からどんどん人が集ったって言うか、結局ご近所集落が全部統合しちゃったそうな……。


 先祖代々の土地とかそういう考え方ってねえのかな……ねえんだろうなあ。


 いやあ、フッ軽すぎてビビるわ。


 そうやって一気に人口がふえたわけだけど、元の住人たちはどう思ってんのと、聞いてみれば、来るもの拒まず、どんどんウェルカムって感じらしいんだな。


 最初こそ、家を建てる手間などで大変だったみたいだけど、働き手……特に狩人が増えたことにより、肉の供給量も増え、誰一人肉に飢えることなく、平和に暮らせているそうな。


 ……やっぱ肉か、肉なんだな……。


「ユウさーん」


「おお、その声はシゲミチ! いいところに来た!」


「え、え? ええ?」


 いいタイミングで来てくれたぜ、シゲミチくんよ。


 以前、彼には住民の記録をつけてもらったことがある。


 増えるとは思ってなかったら、追加に関してはなにも言ってなかったが……シゲミチくんなら、ワンチャン記録してくれてるかもしれん。


「めっちゃ人増えてるけどさあ……あれからも住民登録してた?」


「はい、もちろんです! ええと……今んとこ二百八人ですね……」


「二百て……ずいぶん増えたなあ」


「ですよね、人も家も倍になって、賑やかになりましたよ」

 

 すげえわシゲミチくん。


 俺なら絶対やってねえわ……マジで有能すぎない?


 ていうか、二百人ってのにも驚いたけど、周辺の集落吸収しても倍くらいって……。


「もしかして、ここって元々一番人が居るところだったりする?」


「そうですね。元々狩人たちが住み着いた場所だったところに、人が集まったんだって爺さんが言ってました」


「あー……森が近いしな」


「ですね。狩りがしやすくて、他より肉が取れるから……なんか、今の状況と似てますよね」


 そうかあ……肉かあ……。


 今の状況見たらな……大昔にこっち来なかった人の子孫も、そら引っ越してくるわ。


「うーむ……ほんと、家が増えたよなあ」


「ちゃんとした家はまだまだですけどね」


 確かに、仮設っぽい建物が目立つけれど、それでも以前よりだいぶ賑やかになってるよ。


 年越し前に『次の段階』に移行させるぞーって、色々と無理して用意をしてきたけど……こりゃ大正解だったなー。


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