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番外編 俺と僕の対話

俺「今日はよく頑張ったな。検査、お前はよく耐えた。」


僕「うん……でも、正直すごく怖かった。

ああいう時って、俺はどこにいるの? いつもなら横で見ているはずなのに。」


俺「俺は“行動する時”にしか出番がない。

お前が不安でいっぱいのとき、俺は手綱を握れない。

握ろうとしても、お前の体の方が早く悲鳴を上げる。」


僕「……じゃあ、俺が辛い時は、どうしたらいいの?」


俺「辛いのは“俺”じゃなくて“お前”だ。

だから、お前が苦しんでいる時に、俺が指示を出すのは逆効果だ。

お前はまず“守られたい”。

誰かの安心、誰かの声、誰かの温度を探す。」


僕「依存してるみたいで嫌だよ。

僕は僕で支えたいのに、支えられないと壊れそうになる。」


俺「依存は悪じゃない。

お前が抱えているのは“軸の補強欲求”だ。

支えが必要な時に支えを求めるのは、構造として当然なんだ。」


僕「……でも、あの人に連絡してしまうのは、間違っていると思う。」


俺「そうだな。あれは“俺”が見ていても止められなかった。

お前は、自分でもわかるほど必死だった。」


僕「既読がついて、返事はなかった。

それだけでこんなにも不安になるなんて情けないよね。」


俺「情けなくなんてない。

“好き”とは、本来そういうものだ。

お前が弱いんじゃない。

ただ、他律的な価値が、お前の心の中で強くなりすぎただけだ。」


僕「……僕は嫌だよ。

俺みたいになりたいのに、なれない。

不安になるし、すぐに心が折れそうになるし。

体が苦しくなると、心まで崩れる。」


俺「お前は俺にならなくていい。

俺も、お前になりたいとは思わない。」


僕「じゃあ、僕たちは何なんだろう。」


俺「“同じ人間の、別の位相”だよ。

俺が前に出る時、世界は直線になる。

お前が前に出る時、世界は波になる。

直線だけでは折れるし、波だけでは進まない。

だから、俺とお前の二人でひとつなんだ。」


僕「……じゃあ、僕は捨てられない?」


俺「そもそもお前を捨てる発想が間違っている。

俺は、お前がいるから俺でいられる。

お前の不安と繊細さがあるから、

俺は“強さ”という役割を持つ。」


僕「じゃあ……僕は、いていいの?」


俺「もちろんだ。

お前がいなかったら、俺はただの壊れた機械だ。

人間じゃない。」


僕「……なんか、泣きそうだよ。」


俺「泣け。

泣きたい時に泣くのは、お前の仕事だ。

泣いたあとは俺が動く。」


僕「ねぇ……

明日は、俺と一緒にやっていける?」


俺「明日も、明後日も、一生だ。

役割は違えど、俺とお前は同じ人間だ。」


僕「ありがとう。

……僕を見捨てないでくれて。」


俺「見捨てられないさ。

俺が守るのは、お前しかいないんだから。」

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