制裁探偵事務所―零― 『紫色の戦争』3
「ついに、現れたか・・・」
「父さん・・・」
虎徹さんが入ってきた。
「まさか、今になって現れるとはなぁ――こいつも、やっとか」
「え、一体何を・・・」
木苺が鋭い目でこっちを見た。
「父さんがうつ刀は、『引かれ合う』んだ」
「引かれ、なんだって?」
「引かれ合う。持ち主に相応しい者に、引かれ合う」
「そ、そんな」
「馬鹿な――とでも言うつもりか?」
虎徹さんが少し怖い顔で言う。
僕は萎縮してしまった。
「い、いえ。そんな」
「正直に言ったほうが身のためだ」
「――はい。有り得ないと思いました」
「ロマンがねぇなぁぐんじょーは」
「ロマン?」
「男のロマンってやつだよ・・・感じないのか?」
「んー、何ていうか、この感じは、『人を好きになる』のと似てるんだよなぁ」
「『恋』」
「だね」
二人が言った。
「静蒼無双は、『合わせる』刀だ」
「合わせる?」
「そう。つまりだな――」
■ ■
「あ、黒崎さん!」
帰り。
千里は、偶然紅音と出会った。
「今から帰り?」
「・・・・・・」
「あはは・・・」
相変わらず無口だなぁ。と思った。
「ねぇ黒崎さん。表群青くん――となりの男の子のこと、どう思った?」
「・・・・・・」
「・・・やっぱり答えないよねぇ」
「・・・危険」
「へ?」
「――彼は、『危ない』――そう言ったの」
「あ、危ないって?」
「あなたが、引き金となるから」
「ど、どういうこと?」
「あなたとの、今日のコンタクトは、これで終わり」
「・・・行っちゃった」
千里はため息をついた。
「でも、結構喋る子なんだね」
笑っていた。
■ ■
「・・・彼が、その、『蒼』で――彼女が、その、『紅』」
暗闇。
淡く光る青。
「『表群青』『黒崎紅音』」
彼は、口を裂くように、笑った。
「うふふ」




