遊び人の場合(中)
「息子は・・・遊び人なんです」
「あ、遊び人?」
男は、事務所の人間である。
愛車、青い「カタナ」を手入れしている際、依頼の電話がかかってきた。
それは、まだ若い女性の声。
なんでも、子供もまだ小学生のようだった。
「息子は、楽しそう!と思ったことについては、とにかく目がないんです」
「・・・」
「それに、楽しそう!と思ったことは、全てこなしてしまうんです」
「こなす・・・?」
「はい。前に5000ピースのジグゾーパズルを与えたところ、ものの3分で完成していました」
「さ、3分?」
「ちょっと目を離した隙に」
「はぁ」
「それに、この前は息子専用のテレビを買ってあげたんです」
「テレビを」
「次の日には、解体し終えてました」
「解体・・・」
「次の日には、元に戻っていました」
「元に・・・」
「あとは・・・」
「あぁ、もういいです。大丈夫です」
「え・・・?」
「お子さんのスタイルは掴めましたから」
と、こんな感じの会話だったかな
滅茶苦茶な子供だと言うことはわかった。
あとは、その子供がどこにいるかだ
主の話だと、このビル街にいるはずなんだけど
「・・・」
男は、一切喋らなかった
■ ■
かくれんぼ中のビル
「えっへへ」
男の子は満面の笑みを浮かべ、二階の女子トイレの個室にいた
「まだかな・・・まだかな・・・」
わくわくしながら、便座に座っていた
遠くから、声が聞こえる
「おい!――はいた―――」
「い―――ちには――たぞ」
そして、パタパタとスリッパで歩く音が聞こえる
「へへ、こっちきた」
二人で分担し、女子トイレ男子トイレを捜索し始めるようだ
女子トイレに入ってきた男
「怖いな怖いな」
限界の小声で呟く男の子
「へへへ」
バタン!
男の子が居たはずのトイレの扉が空いた
しかし、男の子の姿は無い
「・・・いねぇか」
「へぁははッ!!」
「うおッ――!!」
男の子は、天井に這いつくばっていた
「てっ、てめぇ!!」
「おっそーい」
男の子が手を離す
引力に従い、地に落ちる
ひらひらと花びらのように落ち、
男の背後に降り立った
「おせぇよノロマ」
グッ
男の子が何かを引っ張った
「うっ!?」
「ふん」
男の子の手に握られていたのは、マイナスドライバーだった
「口も、塞がないとね」
「―――!!―――――!!」
男の子は、ポケットから取り出したハンカチを何かに絡ませる
そのままハンカチは男の口を塞いだ
ハンカチの名前に部分には、『すなめり なみ』と平仮名で書いてあった
「僕の名前は砂滑 波。海兄さんの弟だよ」
「―――!!」
男は声にならない声を上げて、倒れた
そして波と名乗ったその少年は、男子トイレに入り、出てきた
「二人・・・ってね」
マイナスドライバーを片手に、3階へと上がる波と名乗った少年の靴には
『すなめり うみ』と平仮名で書いてあった




