制裁探偵事務所―蒼― 『霞ヶ月のかぐや姫』6
「・・・・・・おかしいな、皆電話に出ない・・・」
少し薄暗く、小さな光が淡く優しく光るその小屋で、蒼とかぐやが晩酌をしていた。
「まだ夢中になって探しているんですよ! 仕事熱心な部下がいていいですねぇ」
「部下じゃありませんよ、仲間です仲間」
「いいセリフですね」
時刻は、22時くらいだろうか。竹林の中にひっそりと存在する小屋は、かぐやの小屋だった。
「・・・・・・」
「心配ですか?」
「そうですね・・・ 呑み終わったら探しに行きます」
「え? ここから竹取ランドまで、結構ありますよ」
「あてが無いわけじゃないんです。乗せてくれる人ならいますよ」
「そうですか? まぁ善は急げですからねー」
「・・・大丈夫ですか? 呑み過ぎてないですか?」
「大丈夫ですよー! 久々のお客人ですから!」
「普段は呑まないのですか?」
「んー、証とは呑むんですけどぉ、召使が下戸でー」
「そうなんですか・・・」
しばらく時間が過ぎて
「――――で! その時その監視長がね! 喜んでもらえました!! って顔真っ赤にして来てくれたんですよ!!」
「なんとも微笑ましい!! その命くんという少年は罪ですねー」
「分かりますか!? あの子、監視長以外にも何かとモテるみたいで」
「そうなんですか? 一度お会いしたいものですね!」
「それでその後、その光景を見た萌九頭くんが変な方向に勘違いしてしまったらしくて」
「ほうほう」
「結構な範囲で喧嘩が始まっちゃったんですよ!!」
「えーっ!! 大変じゃないですか!」
「いや、萌九頭くんも許可された状態になると、俺でも手をつけられないくらいの能力を発揮するんで、もう萌九頭くんの圧勝かと思いきや・・・」
「なんですか? 勿体ぶらずに教えてくださいよ!」
「なんと、命くんが、萌九頭くんが許可された3分後、勝利を収めたらしいです・・・!!」
「えっ! 命くんというのは本当に強いんですね・・・!!」
「実際俺でも勝てるかどうかですよー」
「そんなことないでしょう? あなたからは、只ならぬ強かさを感じますよ」
「・・・・・・」
「・・・」
「いえいえっ! そんなことないですって」
「もう謙虚なんですから!」
気づけば、もう次の日になっていた。
「あ・・・もう2時ですよ」
「そうですね・・・寝ましょうか」
「・・・そうしましょう」
蒼とかぐやは、もう4人のことを忘れているようで・・・。
「あれ、布団は・・・?」
「一重しかありませんね・・・」
「じゃあ、俺はそのへんで寝ますよ」
「ああ、いえ私は気にしませんから」
「そうですか・・・? ではお言葉に甘えて」
「はい・・・ちょっと狭いかな、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
幸せそうな顔をして、一つ屋根の下、同じ布団で寝ていた。
■ ■
「あら・・・? こんな時間にお客人なんて珍しい」
少し古びた、半ば田舎のような、暖かい感じの商店街。
そこの脇道には、ある外科医がすんでいる部屋があった。
「どうぞ、入って」
音を立てながらドアが開き、そこから、体中火傷だらけの青年が入ってきた。
「あんたなら・・・ここに居ると思っていたぞ、王子砂城・・・!!」
「あら、萌九頭くん。久しぶり」
彼女の名前は、王子砂城。
あらゆる傷を『巻き戻す』、一人の女性医だ。
「何人?」
「俺を含めて、4人・・・っ!!」
「分かったわ。他でもない貴方の頼みですもの――断る理由がないわ」
彼女は、萌九頭がアメリカの特殊部隊にいた頃の仲間であり、医療部隊の指揮官である。
「全ての傷は、私の前では意味を辞さないわ」




