制裁探偵事務所―蒼― 『霞ヶ月のかぐや姫』4
「私が彼と出会ったのは、先程も言った通り、竹林でした」
かぐやは続ける。
「今から・・・そうですね、ちょうど10年ほど前でしょうか・・・」
「じゅ、10年ですか? しかし、証くんはまだ――」
「あぁ、これも言うのを忘れていましたね、すみません――あの子は、年を取らないんです」
「年を? つまり、不老不死ということですか?」
「不老、はまだしも、不死ではないでしょう。年を取らないからといって、頭が破裂して生きる人間はいませんから」
「は、はぁ・・・」
「私が言った、6歳というのも、あの子の口から聞いたことです。本当かどうかは、わかりませんけど」
「・・・・・・」
蒼は思考する。
ただ、彼女への信頼度は少し上がった――というのは、ここまでリアリティの無い話を、納得させるほどの『何か』を持ってして、蒼自らに納得させたからである。
まだ完全に信頼しきったわけではないけど。
「私が竹林で迷っているとき、一軒の小屋を見つけました。まるで昔話に出てくるかのような、古いデザインの小屋。私はそこへ、吸い込まれるように歩いて行きました」
「・・・」
「ちょうど小屋の目の前に足を出したとき、すぐ左隣で、同じような足音が聞こえたんです」
「それが、証くん。ということですか」
「そうです。どうです? 運命感じますか?」
「感じますよ。めちゃくちゃディスティニーです」
めちゃくちゃディスティニーという表現は、少しおかしいと蒼は思った。
「――そこから、私達は筍を取り、その小屋で仲良く暮らしていました」
「なるほど、大体の話はわかりました」
「ああ、もう一つ忘れていました」
「え? なんでしょう」
「私には召使がいます」
「め――」
「どうやら私、姫っぽいです」
「ひ、姫?」
「はい」
にこやかな笑顔で、彼女は言った。
■ ■
「いやぁさ? まず人を一人、足で探すなんて無理があるって」
「うん、僕も思った。ここに居る保証は無いし」
「あくまで予測なんだろ? 証拠の無い今、それに頼る他無いんじゃないか?」
「ですが、私達のスタイルが使えない今、この辺りには居ると思います」
昼休み中の4人。
それぞれ、アイスクリームを食べている。
「スタイルが使えない・・・かぁ、今までスタイルに頼りっぱなしの自分に嫌気がさすぜ」
「激しく同感です」
「右に同じ」
「え? 僕はそうでもないんだけど・・・」
「狐は何か、スタイル以外で戦えるんですか?」
「一応、命さんに護身程度の武道を教えてもらっているよ」
「へぇ、今度俺様も頼もうかな・・・」
「いやぁ、命さんシャイだからなー・・・ヒナちゃんかわいいし」
「だっ、誰がっ」
「・・・」
「ん? どうした夢喰い?」
「・・・・・・」
「・・・――お前もかわいいよ、全く」
「えへへ・・・」
「か、監視長さんあんた・・・」
「なんですか、私だって一応乙女なんですから」
平和なムードが流れる中、彼彼女らは、一人の男と出会う。
「こんにちは皆さん。私、秋鳴 暮と言う者です」
「は、はぁどうも」
「皆さんと同じ、浮雲証様を探しております」
「!」
彼らの出会いによって、物語は歪み始める。




