制裁探偵事務所―蒼― 『霞ヶ月のかぐや姫』3
「――あの子が行きそうな場所・・・といえば、そうですね。昔から、遊園地に行きたいと言っていました――」
場所は遊園地。
「――ぅぅううううひゃっほおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!! ふぅぅぅぅぅぅぅう!!!!!」
それぞれ、場所を分担して、白髪の男の子、浮雲証を探しているのだが――
アドベンチャースポットと名付けられた、ジェットコースター等々の絶叫マシンが多々ある場所は、砂滑海、つまり――狐が担当していた。
半分、いや、4分の3は遊んでいるが。
「なにあれ超楽しい!」
最低でも、乗っている最中に、地上を見下ろし、白髪を探したりはしているだろうが、最早目的が変わっているように思える。
「もう一回乗るっ!」
狐は、遊んでいた。
「――このような場所に来たのは、初めてですね」
メルヘンスポットと名付けられた、小さな女の子が喜びそうな可愛らしい乗り物が多々ある場所は、リィアーク=ホワイトアウト、つまり――監視長が担当していた。
何やら不満げだが。
「いや、ここ女の子が来る場所じゃないんですかね・・・そういう趣味の男の子も、小学校1年生になら、居そうな感じはしますけど・・・」
正論だろう。見渡す限り、ピンクで埋め尽くされた目に悪い空間だ。
「・・・これが、面倒という感覚なのですね」
監視長は、ふてくされていた。
「――ここは、人が多いぞ」
スペーススポットと名付けられた、男の子の夢とロマンが詰め込まれた乗り物が多々ある場所は、闘々龍萌九頭、つまり――狂兵器が担当していた。
何か、挙動不審だが。
「人が多いのは、苦手、だ。この視線というものが――どこか突き刺さる」
服装は普通なのだが、そのようなものを感じてしまうらしい。
「・・・サングラスでも買っておこうか」
狂兵器は、疲労していた。
「――ったく、何で俺様が」
ロマンチックスポットと名付けられた、カップルや家族連れが多く、昼に来るのにはまだ早い気がする場所は、太刀風火奈兔、つまり――遊炎魔が担当していた。
少し赤面しているが。
「何か、遊炎魔、と遊園地って語呂が似ているな・・・どうでもいいんだけど」
そして、観覧車を見上げる。
「あいつと、来てみたかったなぁ――」
遊炎魔は、黄昏ていた。
■ ■
皆が、それぞれの場所を、それぞれのやり方で捜索している時、争谷蒼、つまり――蒼は、今回の依頼主の三日月かぐやと、カフェに居た。
「皆、大丈夫かな・・・」
「心配、ですか?」
「まぁ、大事な教え子達ですので――」
ふぅ、と息をつく蒼。
「それにしても――『竹取ランド』ですか・・・」
その遊園地の名前を言う。
「・・・出来すぎていると、思いますか?」
「いえ、ただの偶然と、思っています――今のところは」
「今のところ――?」
「実を言うと、まだ貴方を完璧に信用したわけではないんですよ。ああ、信頼と言い直します」
「どちらにしても、したわけではないのだから、言い直す必要はないと思いますが」
「それもそうですね。しかし・・・」
「しかし?」
「――あなたの言う、浮雲証くんは、あなたとはどういった関係で?」
「・・・・・・」
「言えませんか? 言えないのなら、強制するつもりはありませんので、大丈夫です」
「いえ、そういうわけでは・・・言葉が見つからないだけです」
「言葉・・・ですか」
「はい――運命の人、とか」
「――小学生がですか!?」
「ああ、いえいえ――そういうことでは無いです・・・運命の人であり、何というか」
「はぁ・・・」
「俗に言う、竹取物語の、翁と、かぐや姫の関係でしょうか」
「・・・」
「しっくり来ませんか?」
「――かぐや姫が、あなたですよね?」
「いえ、逆です」
「・・・」
「ますますわからない。ような顔をしていますね」
「実を言うと、しっかり竹取物語を読んだことがないのですよ」
「私もです」
「は、はぁ」
「しかし、大雑把な内容としては理解できるでしょう?」
「少しなら、大丈夫ですが・・・」
「あの子と出会ったのは、本当に偶然でした」
「・・・」
「なにせ、竹林で迷っているあの子を、竹林で迷っている私が見つけたのですから」
「それは・・・見つけたとは言えないでしょう」
「――そうかもですね、しかし、出会ったのは紛れもない事実です」
「・・・・・・」
「そうですね、私とあの子の関係を語るのには、まず出会いを語らなければいけません――なので、お話しましょう。その、運命とも言うべき・・・私達の出会いを」




