制裁探偵事務所―紅― 『七色の魔法使い』2
場所は天災島。
そこで、6人の人間が対話をしている。
「どうやら、我々の親の仇が再びやってくるそうですよ、皆さん」
「ほう、それが?クラン」
「特には、ルイン」
「一応、我々の研究の邪魔をされるのは少々困りますので」
「賛成だ。私の研究は皆とは違って未完成なのだからな」
「研究に完成などはありませんよ、マドウ」
「ふむ、なら問おう。貴様の『完了』とは、なんだ?福音」
「『混沌』の完成ですよ」
「そうか、上出来だ」
「随分と下に見られていますね、僕は」
「私に上は居ない。ましてや下もだ。今のは同じ立場からして――」
「うっせぇなマドウ、福音。静かにしてくれたまえよ」
「おや、起こしてしまったか?シト。すまない」
「謝るなよ。俺は謝罪を受けることが死ぬほど嫌いなんだよ」
「ふむ、そうか。気がつかなかった」
「ところで、ずっと黙っている隼。君の意見はどうだい?」
「知れている。全ては『奇跡』のために」
「すみません、隼――『絶対』のことを『奇跡』なんて呼ぶのやめていただけますか」
「無駄だクラン。そいつは自らの意思は曲げない」
「しかし――」
「まぁしかし、だ。『終焉』のことをそんな名称で呼ぶのは私も少々頭にきている」
「だからどうした。『奇跡』は『奇跡』だ。それ以外の何物でもない」
「俺からの意見からすると、『虹』は『虹』だ」
「あなたもですね――」
「やまかしいぞ、主ら。大体名称などはどうだっていい。儂が『開闢』のことを『開闢』と呼ぶのと同じようにな」
「やかましいのは貴方も含まれますでしょうルイン」
「ふん」
『ラフレシア』の残党。『腐食の広がる庭園』こと『再生』
彼らは、彼らによる彼らのための彼らの――研究を続ける。
すべてが、全てと等価であるかのように。
■ ■
「いやー、ありがとなおっちゃん」
「礼には及ばねぇよ。俺も少し用事があんだよ」
「用事?あそこにか?」
「あそこはマグロがよく取れるんだ、へっへっへ。帰ってきた時にはご馳走してやんよ」
「そこまでお世話になっては敵いませんよ」
「いーんだよこまけぇこたぁ――あの島ぶっ壊してくれるんならよ」
「ありがとうございます」
太平洋。
天災島へと向かう一行は、偶然そこに向かうと言う船を見つけ一緒に乗せてもらっているのである。
「しかしまぁ、まるで英雄だなあんたら」
「――英雄?」
船酔いしている命が反応する。
「ああ、こんなちょうどいいタイミングでやって来てくれるなんてよ」
「何かあったんですか?」
「いや、あの島が突然現れてから、うちの近くの海には魚がてんでいやしねぇ。困ったもんだぜ」
ちなみに船長は褐色のおじさんだ。
白いタンクトップに黒いサングラス。健康的だ。
「しかしまぁ、あんたら結構なやり手そうだ。安心して任せる」
「分かるんですか?」
紅は他の三人を見る。
「あの青年は、船酔いしちゃあいるがあの目には――なにかギラギラしたもんがある。守るべきものは身を挺して守る。と覚悟をいつも決めておるだろう?」
「!」
命は少し驚いた。
たった数時間の中で、人をここまで見抜く人を見たのは紅以来だったからだ。
「そこの、えーと、黒髪の子。女の子か?まぁいい。しかし、あんたァこの船に乗ってからそこから動いてないだろ。バケモンかあんた」
「・・・」
幸はそこまで驚きはしなかったが、表情に波が見えた。
「んで、そこにいる女の子、だな。忠実さ、誠実さを追求したような目つきだ。メイドか何かか?」
凪沙はにっこりと微笑んだ。
「最後――あんただよ、戦ヶ丘さん」
「紅、でいいよ」
「じゃあ、紅さん――何者だ?銃をこんなに自然に持ってる奴は初めて見た」
「ふぅん・・・」
銃器式紅一点は、8つの銃器によって構成される。
「よく、分かりましたね」
「老いぼれを舐めてもらっちゃ困るわい」
「そうですか」
ふふ、と笑う紅。
「――――見えましたよ。あれが、天災島だ」
なにか、白い立方体が見える。
「あ、あれが?」
「身構えろよ英雄、守人、白黒暴徒。もう平和は終わったぜ」
「うす」
「はい」
「分かりました」
そして船は白い立方体の目の前で静止する。
「俺ぁここまでだ。達者でな」
「はい、ありがとうございました」
「精々頑張れ」
立方体の上に乗る紅たち。
問題が発生。
「どうやって入るんだ?これ」
「さぁ」
「さぁって」
入り方が分からない。
さて困惑。
するとその状況下において、電話が入った。
「え、電話!?」
「日露璃くんからだな」
海のど真ん中だが、日露璃の技術を持ってすれば電話の一本など容易いようで。
「もしもし―――」
『あ、久しぶりっすねー紅さん』
「あぁ、KOIか」
電話の相手は、KOI。
「このタイミングでかけてきたってことは」
『ええ、入り方を教えます――というか、内側からしか開かないようですので』
うふふ、とKOIは少女のように笑って
『しっかりと、足腰や急所を守ってくださいね』
「え――ちょ、ま」
紅の必死の反応も、この時ばかりはどうしようもなかった。
ブチッと通話が切られた瞬間。
英雄たちが状況を確認する前に―――
足場が、抜けた。
正確には入口なのだろうが、この場合の問題はそれではない。
「うぉぁああああああぁぁぁぁああああ!!!!????」
無事、施設内にたどり着けるのだろうか




