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間話(10)


「ん、なるほどな。俺様の勘は当たってたわけだ」

「そうなるね」


蒼たちの事務所は爆破されてしまったため、紅の事務所内。


「にしてもこんなことに巻き込まれるなんてな。俺様もついてねぇな」

「そうだね・・・ごめんねなんか」

「あやまんなよ」少々うるさそうに火奈兔は肩を竦める。

「ま、楽しそうだからいいよ」

「そうか・・・」

笑顔で答える蒼。

他の皆は寮に戻っている。


「それで、『遊炎魔(フレイム)』って何なのかな」

「答えにくいところを容赦なく聞いてくるんだな」

苦笑いする火奈兔

「俗に言う通り名だよ。向こうの世界じゃちと有名なんだ俺様は」

「ふぅん、そうかい」

「で?今度はこっちの番だ。あんたたちは俺様の腕を見て俺様を選んだっつったが、本当はどうなんだ?」

「あぁ、バレてるね」

「当たり前だ。なめんなよ」

「んー、まぁ知っての通りここは一般常識じゃあ測れない人物が大勢いるんだ」

「で?」

「君も、その仲間だからさ」

「・・・」

「仲間、あ、いや同類・・・んー」

「仲間でいいよ。俺様はあんたたちを認めてる」

「ありがとう」

「まぁつまりはそういうことか?」

「そういうこと」

「ふぅーん、んじゃあ俺様は今まで通り『遊炎魔(フレイム)』って呼んでくれればいいよ」

「あ、ちょっと待って」

席を立とうとした火奈兔を呼び止める蒼。

眠いらしいのか、あー?と明らかに嫌々な表情を火奈兔は浮かべる。


「なんだよ、ほかに説明してないことあったか?」

「あるね、君の能力についてだ」

「能力?あー」

頭をかく火奈兔。

「俺の場合は『―――――――――』のとき『――――――――』なんだ。こんな風な能力も、君はあるはずなんだ」

蒼の言葉に、ノイズが混じった。

本人たちは気づいていないようだ。


「そんな風に言うならな、『炎が発生した』とき『空気の流れを操ることができる』だな」


「空気?炎その物じゃなくて?」

「ああ、そうなんだよ。いや、結局は同じなのかな」

「いや、いいよ。君も眠そうだし俺も眠い。今夜はもう寝よう」

「おう、ありがとう蒼」

「いやいいんだよ火奈兔くん」

「・・・」


バタンと事務所の扉を閉めた火奈兔。

室内でもかぶっていたフードを外す。


金と黒が入り混じった、長髪が滴り落ちる。


「ま、私も何か予想はしてたけどね」

今のは、火奈兔の言葉である。


学ランの前ボタンを全て外し、羽織った状態でハンドポケットする。

そして寮へ向かい、蒼に指定された部屋に行く。

がちゃ、と扉を開けると――


テレビゲームをしている海の姿があった。


「―――――――――ッ!!!???」

なぜ、なぜこいつがここにいる!?

とんでもない混乱を受け、火奈兔の思考回路は一時停止された。


そして我に帰れば慌ててフードをかぶり直し、学ランのボタンを全て閉じる。

「ん、おかえり」

何事もないかのように自然と言う海

「お、おうただいま」

「あれ、ボタン、ずれてるよ」

「え?あっ本当だ―――じゃなくて!」

ボタンを直しつつツッこむ火奈兔。


「どうしてお前がここにいる!?」

「ここじゃあ日常茶飯事だよ」

「そうなのか!?」

「うん・・・ふぅ、眠くなってきたよ」

そして、海は火奈兔のベッドで寝始めた。

「えっ!?ちょ、おま」

「・・・・・・」

海、完全に沈黙。

「・・・」

火奈兔、同じく沈黙。


「どーしようか」

んー、蒼んとこ戻るか?いや、でも一回出て行ったところに戻るのはカッコ悪い。じゃあ監視長のところか?いや、まだ俺様が男だと思ってる節があるからな。かと言って萌九頭んとこは危険だ。んー、あ、そうだ。違うところに行こう。


まだ人がいることを蒼に聞かされていた火奈兔は、そこに向かうとした。





 そして翌朝




「―――ッ!!!きゃああああああああぁあああ!!!」

悲鳴と共に朝は訪れた。

隣室の命が様子を見に来た。


「どっ、どうした!幸!」

そう、この悲鳴は幸のものだった。

とても男のものとは思えない。

「ひっ、人がっ・・・ひと、ひとおおおお」

パニック状態に陥っている幸をなだめて、問題の幸のベッドに手を伸ばした命。


「な、ななんなななくぁwせdrftgyふじこlp;@:」


そこに居たのは――

パンツ姿の、火奈兔の姿だった。


「どわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁあぁぁあ―――!!!」

命の悲鳴。

男らしい悲鳴である。

「ん、やかましぃ・・・なばかやろー・・・」

その声に火奈兔は目を覚ます。

そして、その状況を確認し、確認し、確認したところで


「――――ッ!!んにゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁああぁぁあ!!!!!!!」

可愛らしい悲鳴だ。

火奈兔は一瞬のうちに脱ぎ捨てた衣服を回収、着衣し、しばらく沈黙したところで、状況を話した


「――と、いうわけだ・・・」

「おう、分かった。お前も被害者なんだな」

「あぁ、犯人は海だよ」

「僕が一番の被害者ですよ・・・」

「ごめんって」

「もう二度とやめてくださいね」

「わかってるって」

「それより――その、なんだ。お前なんで裸だったんだ?」

「え、命さんやーらし」

「ちげぇよ!」

「俺様は昔から寝るときはあの格好なんだ・・・」

「そ、そうなのか」

「これで、一応すべての謎が解けましたね」

「だな」

「一件落着・・・と」


「んで、火奈兔・・・さんでいいのか?」

「え?あ、呼び捨てで構わない」

「じゃあ火奈兔。お前、なんでそんな格好してるんだ?」

「ん?」

「学ランだよ。お前女だろ。どうしてそんな格好をしてるのか聞いてるんだ」

「えっ、どうして俺様が女だって――」

「胸を見たからでしょう?」

幸が言う。

「恐らくCかDくらい――」

「だぁぁぁぁああああ」

赤面する火奈兔

「・・・まぁその件はいいとして。俺の質問はどうなった?」

苦笑いの命。

「うん、まぁ俺様は昔、放火魔なんかじゃなくて、ちょっとした殺し屋の仕事をやってたんだ」

「へぇ、放火魔だったんだ」

「あ、ああ」

「それで?」

「昔ーつっても中2くらいかな。まーその時に訪れたのが俺様の初恋よ」

「ふぅん」

「まぁそいつは変わり者でよ、まずは年がら年中学ランなんだ。んで一人称が俺様・・・んで最後が、俺様と、この火奈兔と絡んでくれたんだ」

「・・・」

「俺様はその時はまだ乙女で一人称も私。でも仕事のことがあって、誰とも仲良くなれなかった」

「命令ですか」

「あぁ。でもあいつは違った。私がどんなに拒否しても、彼は俺様と一緒にいてくれた」

「良いやつだな」

「俺様は、好きだったから、幸せだったんだ。でも、長く続くはずが無かった」

「・・・」

「しばらくして、同じ仕事の奴にバレたんだよ。彼の存在を」

沈黙する命と幸。

「その見つけた奴ってのは、俺様よりもランク・・・みたいなものが下だったから、俺様を少し妬んでたんだろうな」

そして、涙が、火奈兔の頬を伝う。

「あいつは、彼に私の正体をバラした」

「・・・」

「そう、ぶちまけたんだ。これまでに私が殺した人間の数!私が生きてきた経歴を!全て!!!ぶちまけたんだ!!!」

涙混じりに叫ぶ火奈兔。

「でもさぁ、彼なんて言ったと思う?その時、彼はなんて言ったと思う?」

そして、クスと笑う。


「そんなの関係ねぇ、俺様があいつのことが好きなことに変わりはねぇ。って」


命が顔を伏せる。

「あいつはそれを聞いて激昂し、私の目の前で、彼をビルの屋上から突き落とした」

「・・・」

幸は、表情を変えずに聞いている。

「私は、その時は吹っ切れたんだ。もう、怒りとか憎しみとか、そういうのを全部通り越して・・・完全に吹っ切れた。そして、煙草を咥えて、ライターに火をつけた所で――」


「スタイルの、覚醒か」


「・・・あぁ。そうだ。私はそのままあいつを嬲り殺し、焼き殺し、ぶち殺した」

「・・・」

「それでも、私は彼のことが忘れられないから――そんな未練がましい女だから、こんな事をしてるんだ」

「・・・・・・」

ゴシゴシと目をこする火奈兔

「変、かな」

「変なんかじゃねぇよ」

即答する命。

「お前は全然変なんかじゃない。むしろ普通だ。だから、安心して誇っていい」

「・・・」

「火奈兔、今まで溜め込んできたなら、ここが切れどきだ。ここは、仲間がいるから」

「――わぁってるよ、んなもん」

「・・・」


「俺様は俺様を俺様として生きていく。俺様を背負って――俺様を信じて戦ってやんよ」


「・・・面白いな」

「そうか?」

「あぁ、最高だ」

「ありがとう」

「いいお話でした。僕は感動しました」

「・・・」

「また、お話しましょう。今度は、僕の話でも――」

「ふん、いいだろう」


そして、火奈兔は新しい一員(メンバー)として迎えられた。





しばらく、通常版は停止します。

長編を書こうと思います(劇場版的な)

よろしくお願いします

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