表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
35/96

メイドの場合(中)


「申し訳ありませんでした。主人には『ご友人』として招待させましたので・・・」


別室(彼女の部屋)にて会話は進められる。


「まぁ、別に言いにくいならそれでいいんだけどよ・・・」

「今現在、あなたがたの正体を知っているのはわたくしのみだと思います」

「・・・」


命の気遣いを無視して話を進めるメイド。


「それでは改めて自己紹介させていただきます――わたくしは日本よりこの邸に仕えております、明日来日凪沙という者です。何卒よろしくお願いいたします」


「ああ、戦ヶ丘紅だ」

「姫劉院幸です」

「俺は命だ、よろしくな」


「もう存じておりますが、齋藤様・・・でよろしいですか?」


「・・・?」

ん?

誰のことだ?

「ですから、あの、命、様?」

「えっ、お、俺か!?」

「えぇ。齋藤命様でいらっしゃいますね」

「さ、いとう?」

「あ、違いましたか?」

「いや―――それがな・・・」


・・・・・・


「記憶、喪失の類ですわね」

「やっぱりそうか・・・」

「しかもそんなに重点的に・・・これは―――」

「・・・?」


「誰かが意図的に記憶を奪った・・・と考えた方が納得できますわ」


「意図的に?」

「ええ」



「おーい、もうそろそろいいかー?」

メイド、凪沙と命の会話に飽きたらしく、紅と幸はそこに置いてあった椅子に腰掛けている。

「あ、申し訳ありません・・・」

「いいよいいよ、それで?」

「依頼に関しての説明・・・ですか」

「ああ、頼むよ」


命は壁にもたれ、幸は扉の前に立ち、紅は凪沙の目の前に立つ。


「簡潔に言えば、この家を潰して欲しいというのがわたくしの依頼です」


「潰す?この家を?」

「ええ、先日、調べ物をしてまして、地下にある図書室を探索していました時――」

凪沙の声が低くなる。

「隠しの扉を発見してしまいましたのです」

「隠し・・・ねぇ」

「その時は、忠誠心よりも好奇心の方が先に出てしまい・・・扉の奥へと進んで行きましたところ、とんでもないものを見つけてしまいました」

「それは?」


「人間を製造する機械です」


「・・・っ!?」

「にわかには信じがたいことです。この世にこんなものが存在するなど」

「・・・続けて」

「しばらく唖然としている間に主人と奥様が入ってきまして、こんなことを喋っていました」

「・・・」

「『完成までもう少しだ。これを世界樹へと献上すれば、私はヨーロッパの覇者となる!!』」

「せ、世界樹・・・!!!!」

「その名に聞き覚えがありますか」

「い、いや、それで・・・?」

「先程も言った通り、この家ごとあの機械を潰して欲しいのです」

「報酬は?」

「この家の総財産でいかがでしょう」

「OK、交渉成立だ」


「でも、ゆっくりするわけには行きません。どうせここでの会話も筒抜けとなっていることでしょうから、早く実行に移りましょう」

「ましょう・・・って」

「わたくしも手伝います」

「おいおい、大丈夫なのか?」

「ええ」


そして彼女は、一つの鈍器と一つの銃器を取り出した。


「これでもわたくし、ここら辺では『メイド服を被った鬼』と呼ばれているんですよ?」

「・・・はっ」


右手には鈍器、左手には銃器。


右手に持つ鈍器は、先端に、とてもえぐい形をした鉄球が取り付けられて、後方には鎖が繋がれている。さらに鎖の先には、三方向に出っ張った形の取っ手が付いている。


左手に持つ銃器は、説明は不要だろう――ロケットランチャーである。


「あんたも、その立ち振る舞いからして、私達と同類っぽいな」

「なんのことでしょうか」

「いや、なんでもない」


その会話が終わったあと。


その邸中に、警報が響き渡った。


「さぁ行くぞ命くん幸くん!!」

「はい!」

「・・・」


沈黙で答えた命。

これまでには無い、難しい表情をしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ