間話(5)
「こっ、これで!!」
守人は、ついに保管庫のセキュリティを解除した。
あとは、海水を流し込むだけである
「最後の、パス・・・え?」
そして、3秒考え
「あぁ、なるほどね」
と、不敵な笑みを浮かべた。
■ ■
同時刻
KOIの突貫はあっけなく蹴散らされた。
しかし、彼女は笑っていた
『ねぇlieben。一つ、忘れてはないですか?』
『Es gibt kein Wort im Wörterbuch, dass ich "vergessen".』
『クスクス、強気ですねlieben』
『・・・』
KOIは、教鞭するように声を張り上げた。
『私は、前の私とは違うのです。あなたの前衛機だったKOIとは、全くの別物なのですよ!』
『・・・』
『従って、あなたと同じような語呂で反論して差し上げましょう』
にやりと笑って
『私の辞書には“出来ない”という言葉は無い』
そしてKOIは、これまでいとも簡単に制されてきた突貫をする。
見た目のダメージなど関係ない。
なぜなら私は人間じゃないから
勝敗の問題などではない。
なぜなら私に勝つ気などないから
ただ、今は
私のために精一杯になってくれている人のために、私が精一杯頑張るだけだ!
『らああああああああああああああああ――――――――!!!!!!!!』
『―――ッ!?』
liebenはただ驚いた。
彼女は、全ての実力を無視して
全ての“出来る出来ない”を無視して
全ての情景を無視して
『くたばれクソコンピューターがああああああああああああああああぁあああ!!!!!!!!!』
KOIは、これまで関係してきた全てのウィルスプログラムを組み換え
この一瞬の間に切り替え、
liebenに、打ち込んだ。
『―――ッ!!?』
『おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉおおおぉッ!!!!!!』
組み替えたウィルスを全て打ち込み、liebenの動きを止めた。
『私の後衛機だってなら、構造は私と瓜二つのはず・・・』
liebenのプログラムを展開し、機能停止を謀る
『・・・パスワード?』
五秒考え
『あぁ、なるほどですね』
と、不敵な笑みを浮かべた
■ ■
同時刻
「なんなんだよ!!一体どれだけのパスワードをかけたんだ!!あぁめんど!!!めんどくせッ!!!」
日露璃は悲鳴を上げた。
「これで14回目だぞ!!どれだけの時間があったんだ!!ざけんな!!!」
カタカタ、と文字を打ち込む
「15回目ッ!!!・・・くそッ!!また出てきやがった!!!」
しばらく静寂して
「・・・あそっか、これ解除されるたびにパスワードがかかるように設定されてある」
冷静を取り戻し
「本当のパスワードがあるはずなんだが・・・」
7秒考え
「なんだ、簡単じゃねぇか」
と、不敵の笑みを浮かべた
■ ■
同時刻
「ジャイアントなんとかかんとかってのと闘うって結構荷が重いな」
「そうですね、なんとかかんとかパパラッチの性能はさっき見たばっかですからね」
がしゃん、うぃーん
「くるぞ」
「はいッ!!」
ドーン
「へぇ、散弾銃ね」
紅は笑い
「私のスタイルって、機械類は除外されるって知ってた?」
背中から、散弾銃を取り出した
「銃器式紅一点第4器『SPAS12』」
紅はその銃口を、ジャイアントパパラッチの銃口に向けた
「お前にゃ、ちょっと強すぎるかもしれねぇが――我慢しろよな」
ダン
打つ
「最近使ってなかったからなぁ。すっげぇ気持ちいいわ」
ダン
打つ
ジャイアントパパラッチの方の銃口は、もうすでに破壊されてしまった
英雄はジャイアントパパラッチの足を払い
背中をこじ開けた。
そこには、接続部分が施されてあった。
「英雄。ちょっとどいてろ」
言って紅は、どこからかPCを取り出し(本当にどこからだ)
そこに繋げた。
「・・・」
驚く程作業を簡単にこなす紅
「・・・パスワードか」
9秒考え
「・・・なぁんだ、そういうことね」
そして、全員の声が揃う
っと」
ですね』
「『「「|Genius korruptenってな」
だな」
ぴーー
システムダウンが開始された。
そして保管庫には海水が流れ込み
liebenは活動を終了し
起爆ウィルスは解除され
ジャイアントパパラッチは停止した
「あぁよかった!!」
『なんとか成功ですね』
「ふぅぁーあ、ねみぃ」
「うーし、後は施設を潰して逃げるだけだな」
5人は、5人とも、勝利した。
■ ■
それから、天災島然り『ラフレシア』本拠地は紅の散弾銃によって海の藻屑と消えた。
そこに存在していた天才達のことは考慮してないため、何とも言えないが
次の日
事務所内での会話
「なぁ紅さん」
「なんだ命くん?」
「あの時のパスワードってどんな意味だったんですか?」
「あ?あぁ、あれね。私は事前調査で知っていたからわかったんだけどね」
「それで」
「あれは―――、あぁいや・・・これは言わない方がいいのかな」
「え、どうして」
「その天才という才能を腐らせてしまったあいつらへの、せめてもの慈悲さ」
「なんですか、カッコつけてないで教えてくださいよ」
「自分でググれや」
「・・・・・・」
「あぁそうだ。あの一件で思い出した」
「へ?」
「ちょっと幸くん呼んできなさい」
「・・・うぃーす」
~しばらくして~
「連れてきましたー・・・ってうおッ!?」
「なんか用ですかー・・・ってえぇッ!?」
そこには、青白く映し出されたKOIの姿があった。
とは言っても、命と幸は知らない
「誰ですかこの美少女は」
「誰ですかこの電波女は」
声が揃う二人
「うん、そうだな。先に自己紹介させてやれ」
そして
『スカウトを引き受け、一応部員として存在することになった。一昨年 日露璃だ』
KOIの口から、男の声がした。
『オートさんの秘書のAIのKOIでーす!』
続いて、女の子の声
「この二人はな、前回の件で共同戦線を張っていたハッカーだ。私がずっとスカウトしてたらちょうど今朝に連絡が来てな」
紅が解説する。
「・・・」
「・・・」
二人は唖然としていた
「彼は何らかの事情で外に出れないらしいから、こうやって立体映像で映しているんだな」
『通常時はオートかヒロ。制裁探偵モードは『細菌』と呼んで欲しい』
『私はそのままKOIと呼んでください』
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そうして、制裁探偵事務所第一部に、三人目と四人目の部員が入ったのである
六人目 一昨年 日露璃
七人目 KOI




