引きこもりの場合(SpecialStory)
「なに・・・これ・・・」
守人は唖然とした。
そのパスワードロックの多さに
「こんなの・・・できるわけがないじゃん・・・」
「Nelke」
「へ・・・?」
「パスワードだ」
解除のために使われている携帯から音声が聞こえる。
彼は、日露璃という元『ラフレシア』メンバーである。
「ひっ、開いた・・・」
「がんばれ、あと少しだ」
「はいっ!!」
■ ■
『Ich(私は)』
『・・・』
無数の電波が飛び交う中、その中央とも称されるべき場所に二体は居た。
『Ich bin Sad(私は悲しい)』
『・・・』
KOIは、その外壁のいたるところが欠陥していて
liebenの両手には、無数の文字が浮き出ている。
『Vanguard Kraft meiner Maschine, die ich habe so viel zu überlaufen.』
『・・・はっ、勝手なこと言ってくれますね』
そして、彼女は立ち上がる。
『姉に楯突く弟なんて、生意気ですね・・・ちょっとお仕置きしてあげましょう』
『Warum ...?(なぜ?)』
『・・・』
『Warum versuchen zu kämpfen da oben?(なぜ戦おうとする?)』
『・・・愚問ですね』
『Was hast du gesagt?(なんだと?)』
『私はね、人間じゃないんですよ』
『・・・』
『だから、何にも縛られない』
『Also, was』
『わかんないですかねー』
『・・・』
『私を守ってくれている人のために、私は起動しているんですよ』
『・・・』
『だから、彼が諦めていないうちは、私も諦めません』
『・・・Das ist gut.(そうか)』
『それにね、lieben』
勝気な笑みで、彼女は続ける。
『今までの行動パターンを見て、私があなたに負ける要素が見当たらないんですよ』
『・・・』
『だって、私―――』
最初っから、勝つつもりなんてないんですから――、
そしてKOIは、liebenに向かってありったけの怨念を込めて
突貫した。
■ ■
「・・・・・・」
彼は喋らない。
全身全霊の集中力を、ウィルスのハッキングに込めているからである。
そして、
「・・・・・・できた」
それもそうだろう。
なにせ彼が作ったウィルスだから―――、
「・・・待てよ」
彼はハッキングしたウィルスを調べる。
「・・・・やっぱりなぁ」
嫌な予感が的中した。
liebenが、ウィルスを回収する際、一手間加えていた。
「・・・・・・簡単じゃねぇか」
彼はあっという間に最後のパスワードロックまでたどり着いた。
「・・・・・・」
心当たりが無い。
「・・・・・・」
ソフトが起動しない。
「・・・・・・」
解除、出来ない。
「・・・・・・詰んだ」
■ ■
「ちっ、おい!このままじゃ埒があかねぇぞ!!!」
「そーですね!」
「どうする!ほかに手があるか!?」
「じゃあ英雄モードになりますので、標的になってください紅」
「あ?っざけんな!私が死ぬわ!!」
「大丈夫です、絶対に」
「・・・信用していいんだな」
「はい」
「行くぞッ!!!」
「はいッ!!!」
紅が乱れに打ち
そして英雄は
「《ハニービート》」
何やら技でも使う気らしい
「蜜蜂の大波」
それほど長くはない腕を全開に開き、突進する。
「脚長蜂の舞踏」
それほど長くはない足を全力で振り回す。
「熊蜂の飛行」
超人的な飛躍を利用し、走り回る。
「黒雀蜂の栄光」
ただ単に、全力の低空飛行。
「黄色雀蜂の逆鱗」
縦横無尽に駆け抜け
「雀蜂の猛攻」
連撃を放つ。
「女王蜂の巣窟」
歯向かうものを屈服させる。
「ふーむ、ざっと30秒で50人か・・・そこそこだな」
「へぇ・・・」
関心する紅
「やるじゃん」
「どうもです」
がしゃん、がしゃん
「いつそんなの考えたんだよ」
「暇なときですかね」
がしゃん、がしゃん
「かっこいいな」
「恐縮です」
がしゃん、がしゃん
「第2ラウンド、かな」
「いえ――」
がしゃん
「ファイナルラウンドですよ」




