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引きこもりの場合(下)

「・・・終わったか?」


日露璃がPCの画面に向かって問いかける。

『えぇ、まぁ一応ですが監視映像のハッキングは完了しました』

「おっけ、じゃあいよいよだ」


カタッとキーボードを叩く



部屋中の明かりがついた。



いや、単に暗い部屋だったから見えなかっただけだ。

「・・・ふぅん」

無数の画面にそれぞれ違う映像が流れる。


監視カメラだ


「誰か、いるな」

『施設内ですからいて当然でしょう』

「違う、外部の人間だ」

『へぇ、ここに入ってこれる人間なんてまだいたんですね』

「組織の撲滅を目論む正義の味方か、ただの馬鹿か」

『前者であってほしいんですがね』

「同感だ」


さて――、


「じゃあ、こいつら持たせておくから使え」

『らじゃーっす、行ってきます』

「あぁちょっと、待て!」

『なんすか?』

「・・・万が一だ」

『へ・・・?』

「万が一、《あいつ》がいたら俺でも敵うかどうかは五分五分になる」

『《あいつ》って?』

「・・・それはな―――」



■     ■


そこは太平洋のどこかの海底

『ラフレシア』の本拠地


「誰もいねぇな」

「留守ですかね」

「んなわけねぇだろ」


そんなただの日常でしかない会話を繰り返す。


「じゃあ、ちょっと僕は先に行ってます」

「?おぉ、わかった。何かあったら呼べ」

「携帯でいいですか?」

「おうよ」

「ところで、どこに行くんだ?守人(ディア)

「ちょっと罠をです英雄(ヒーロー)

「なるほど、で(ルージュ)

「なんだ英雄(ヒーロー)

「なんかおかしくないですか、この施設」

「おかしい、と言えばおかしいな」

「結構奥の方まで来ましたよね俺ら」

「確かにな、防犯カメラも多々あったはずなのに」

「バッテリー切れですかね」

「たとえそうだとしたら施設を徘徊している警備係の一人や二人いるはずだろ」

「やっぱ留守ですかね」

「いや、この場合私はこう考える」

「何ですか?」


「第三者の加入だ」


「第・・・三者・・・」

「恐らくは、同じ目的でここまで裏で潜り込んだ輩がいる」

「・・・それってめちゃくちゃじゃないですか」

「あぁ・・・そもそもここはサイバーテロ組織の施設だ」

「そこに潜り込むって、一体どうやって」

「でもま、そういうのは人間に声の出し方を聞くようなものだ英雄(ヒーロー)

「そうですね・・・」

「とりあえずそう考えとけばつじつまが合うだろ」

「そうですね、防犯カメラをハッキングかなんかして」

「相当の技術だな、だが少なくとも私達の敵ではなさそうだ」

「それが唯一の救いですね」

「だな」


「お待たせいたしました」

「おう」

「おかえり」


と、


全員が揃い、会話が一度途切れたところで――、



「・・・行き止まり、か」



そして背後には


「貴様らッ!!そこで一体何をしている!」

「おっ――」

「ちっ――」

「はっ――」

一瞬で追い込まれた。


背後には、白衣を着、ガスマスクを被った人間が14人

前方には、海底の水圧に耐えられるように加工してある壁


「・・・どうする」

「あ、ご安心を」


カチッ

罠師が、何かのスイッチを入れた


どこかで機械音が微かに聞こえ

14人の白衣ガスマスク達のさらに背後から


「行きなさい」


がしゃん、がしゃん

「あ、あれは・・・?」

「正式名称『ジャイアントパパラッチ』、ここの、この施設のガーディアンです」

「・・・ロボットか?・・・なるほどね」


がしゃん、がしゃん


「おっ、おい!あれッ!!」

「まずいぞ!」

「侵入者確保は次だ!今は自らのみを守れ!」


がしゃん、がしゃん


「まっ、待て!待ってくれ!!」

「急げ!もたもたするなァ!!」


がしゃん


「ひっ、まっ、待って――――」


逃げ損ねた白衣ガスマスクの一人が、大きな機械の前に立ち尽くす


うぃーん、ぴぴぴッ


「そうだァ!俺を、俺を認識しろ!」


緑に光っていたライトが、赤く変わる


「・・・え?」

「・・・」

「・・・」

「・・・」


がちゃ、ぴーぴー


「おッ、おい!どうした!俺だぞ!この施設の人間だ!」


大きな機械は、その場に取り残された白衣ガスマスクに大きな銃口を向ける



そして、ぞっとするようなハキハキとした声で





『ラフレシアメンバーNo,26と識別しました。直ちに排除行動へと移ります』





「えっ――」

白衣ガスマスクは、それ以上の行動を許可されなかった

もはや、跡形もなく



「・・・」

「・・・」

「・・・」



消し飛んだ。



大きな機械に向かう罠師

後ろに周り、USBを繋いだ携帯に繋ぐ


5秒後、大きな機械は活動を停止した。


「どうやら、とんでもないものを見つけてしまったようですね」

「ちょっとやりすぎだな」

「同意だ」


そこで、警報が鳴り響いた


「さっきの爆音でバレたな」

「あんなん、この施設に何体いるんだよ」

「僕が見た限りでは、一体だけでした」

「・・・はっ、それを聞いて安心したぜ」


3人は走る


何処かへ



■     ■


『ここに、これを』


『ラフレシア』が管理しているこの施設には、膨大な量の情報が入っている。


『結構重労働ですよ・・・これ』


それは、施設内で無数に飛び交う電波によって共有されているが、

保管されている場所はそれぞれにある



「いいか?KOI。お前に渡したウィルスを、このデータに書いてあるとおりの場所に置くんだ」


とかなんとか言ってたな、と

『全く、人使いが荒いんですから・・・』


KOIは、その命令の約90%をこなしていた


『にしても、今まであの人が来なかったことが幸いですかね』

残り3つ


爆弾のように設置されたウィルスは、一斉に誘爆する仕組みになっている。

一瞬でそのプログラムを削除できる。


『ふぅ・・・』

残り1つ


『ここ、ですか』


そしてウィルスのコードが入っているファイルを設置する。



そして、顔を上げた瞬間。



いた。


目の前に、いた。



『lange Zeit(久しぶり)』



『あ、あなたは・・・!』




そのプログラムの手には今までKOIが設置してきたウィルスが握られていて

その背後には・・・



無数の『ジャイアントパパラッチ』の起動を制限するプログラムが設置されていた。



『Mädchen(姉さん)』

lieben(リーヴェン)ッ!!』


liebenと呼ばれたプログラムは人の形をしている。



そして『それ』は、

握られた無数の起爆ウィルスを、

背後のプログラムに向かって投げつけた。



■     ■


ぷるるるるるっ


携帯が鳴る。



「えっ?」

しかも三人同時に



「これは、出たほうがいいのか―――ってもう出てるしッ!」

「あ、もしもしー?」


英雄(ヒーロー)の怒涛のツッコミをスルーし、電話に応答する(ルージュ)

続けて守人(ディア)英雄(ヒーロー)も恐る恐る応答する。



「今、この施設の防犯システムをハッキングしている者だ」


電話での第一声はこの言葉だった。

音声が合成されている。

三人が三人とも同じく


「時間がない。黙って聞いて欲しい」

とても、焦っているようだ



「君達の目の前に存在するのは、大量の『ジャイアントパパラッチ』が設置されている保管庫だ」



「―――ッ!?」

「――ッ!」

「・・・・・・」


「おれがこの施設を内面から破壊しようとしている際、第三者、否、第四者の存在を知った」


それは――、と続く



「第三者は君達で、第四者というのは――」

「AI、lieben」

「・・・」


そこで口を開いたのは、(ルージュ)だった。


「『ラフレシア』内で二番目に作られた、《完了した知能》」

「・・・説明が省けた」


少々驚いてるようだった

「そいつが今、その保管庫に爆弾を仕掛けた」

「なっ――ッ!」

「ただの爆弾じゃない、制御装置をぶっ壊すウィルスだ」


三人が三人驚愕する


「俺は、その爆弾を解除もとい削除するためにウィルスのハッキングを行う・・・だから――」

「待てよ」

ここで発言したのは英雄(ヒーロー)

「俺達がその発言を信じる理由がどこにある」

「・・・確かに、その理由は無い。が、今おれが嘘をつく理由も無い」

「・・・」

「私達は、何をすればいい?」

「その扉から、保管庫に海水をいれて欲しい」

「海水を?」

「錆びらせるんですね!分かりました!」

「ただし、中には入るな。通常的に信号が送られ、そいつらが一斉に起動してしまう」

「わかりました」


守人(ディア)は携帯にUSBを繋げ、扉に繋げた


「そんな物で・・・」

「ハッキングに特化した高スペの携帯です!」

「・・・・・・」


そのやり取りをしているうちに、



「見つけたぞッ!侵入者だッ!!」



白衣ガスマスクの集団が押し寄せてきた。


(ルージュ)。行きますよ」

「おうよ英雄(ヒーロー)


戦闘モードに入った二人。




KOI VS lieben

日露璃 VS 起爆ウィルス

守人ディア VS 保管庫

(ルージュ)&英雄(ヒーロー) VS 白衣ガスマスク集団



アクション



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