引きこもりの場合(中)
「命さん、ほらあ~ん♪」
事務所傍にある寮の一室。
「・・・・・・」
そこに、ゴスロリとパジャマ姿があった。
「なんで、ここにいる・・・」
「へ・・・?」
「ここは俺の部屋だぞ!どうしてお前が平然とここにいるッ!!!」
「いいじゃないですかぁ。どうせ減るもんじゃあるまいし」
「俺の生活が減るっての」
「うまいッ!」
「うっせぇ!」
「むー、どうせ命さん朝ごはんも食べてないだろうからって思ってせっかくお弁当作ってきたのに」
「俺は料理ができる男子だよ。ったく」
とんだサプライズだっての・・・、と小声で俺は言った
朝目を覚ましたらそこにあの罠師が居たのだから。
「ところで、新住居人が入ってきたっぽいな」
「え?あぁ、そうみたいですね」
この寮を挟んで向かい側には、もう一つの制裁探偵事務所がある。
詳しくは知らないが
「確か、元刑務所勤務のお偉いさんだとか」
「そうなんですか」
「んだ、知らねぇのか?」
「興味がないので」
「あ、そう」
テレレレッテッテッテー
「ん?」
このタイミングで音楽が流れた。
俺の携帯のメール着信音だ。
「レベルアップしましたね」
「ははっ、そうだな」
有名なRPGのレベルアップ音と言えばわかるだろうが、
問題はそこではない。
この着信音に設定している相手が、紅さんということが、問題だ。
「依頼、かな」
「そうかもな」
恐る恐るメールを見る。
『依頼だ。』
とだけ書いてあった
「・・・じゃあ行くか」
「・・・・・・ですね」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「って、出てけよッ!!!」
そんな出来事が起こり、10分後
「来たな」
「なんです?依頼の内容は」
「率直に言えば、大仕事だ」
「へぇ・・・」
「最近とてもホットな話題に挙げられているサイバーテロ組織『ラフレシア』の根源を絶て。だとよ」
「サイバーテロ組織・・・」
「ラフレシア・・・」
それは、俺の既知の範囲内だった。
世界への不満と世界以上の頭脳を持つ天才達が集う腐敗した集団。
その中心には、彼ら自身が創り出した人工知能が存在しているとのこと。
その根源を絶て、ってことはその天才達を皆殺しにしろってことだよな
「大仕事ってのは、その組織の大きさに関係しているんじゃない・・・か」
「お?よく知ってるな守人」
「ディアと呼んでください紅」
「悪かったな。で、大仕事ってのは」
「人間を多数殺すから。でしょう?紅」
「その通りだ英雄」
「・・・それで、場所は」
「海を渡って太平洋♪」
「海外・・・ですか?」
「いや、正しく言えば世界の中心部・・・かな?」
「中心部・・・?」
「沖ノ鳥島から東に2kmの地点にある、存在を否定された島『天災島』だ」
「あざとい名前ですね。でも、存在を否定されたっていうのは?」
「実際に存在してることを隠蔽されているんだよ。一般人は触れちゃ駄目なやつだからね」
「なるほど」
「それで、俺達は今回そこに向かえばいいですね」
「そうなるな」
「出発は?」
「明後日の午前0時00分にこの事務所玄関前だ。結構派手な戦いになるだろうから、準備は怠るなよ」
「はーい」
「うぃー」
■ ■
「・・・?」
同時刻に
「・・・・・・」
おれは、驚愕した。
「・・・・・・まじかよ」
『ふぅぁーあ、おはようございますです。オートさん』
「・・・・・・あぁ、おはよう」
『寝起きのコーヒーは?』
「ねーよ、ってか今それどころじゃねぇ」
『え?何かあったんですか?』
「ハッキングされた」
『・・・まじすか』
「これは、あぁ、こいつらか」
『ラフレシアっすか?』
「正解だ。どうして分かった?」
『手口とか痕跡とか見れば分かりますよ。えげつないわりにどこかヒントを残してる』
「まるでゲームでもしてるようにな」
『少なくとも私は嫌いです』
「あいつらが好きな奴なんていねぇよ」
『言えてますね』
「本当に馬鹿野郎だらけだな、あそこは」
『それで、どうしますか?オートさん』
「ちょっとお灸を据えに行きましょうか」
『久々に細菌モードですか?』
「そうだな、おれに喧嘩売った代償は高くつくぜ」
『ひゅー、かっこいいいいいい』
「声がバグってんぞ。無理なら言うんじゃねぇよ」
『サーセン』
「全く、あの時に教えてやったはずだぜ?俺に楯突くととんでもない目にあうってことを」
『あぁ、オートさんと私の感動的な対面ですね!懐かしいですね、もう10ヶ月も前ですか』
「あの時の腐敗は馬鹿ばっかだったからな。お前も簡単に攻略できたよ」
『相変わらずの否定的な発音ですね。私、オートさんのそういうとこが好きです』
「あっそ、俺はお前の3分の2が大好きだぜ」
『嬉しいですね、照れますよう』
「はん、それで、何時やりたい?」
『明後日ですかねぇ、ちょうどいい感じです』
「分かった。一応攻撃用のウィルスは持たせておくから、熱冷ましとけ」
『らじゃーっす』
「ふん、全く、この俺が腐敗創立者の一人だってことも知らずにあの馬鹿どもは」




