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私を処刑した王子を6歳から矯正してみます  作者: すなな


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第12話 セレナが正解?

「殿下、一緒に遊びませんか?」


声をかけられて、アルベルトが顔を上げた。

庭では、同じ年頃の子どもたちが待っている。

アルベルトはそちらを見て、それからセレナを見た。

目が合う。


セレナは何となく笑い返した。


「……少しだけなら」

「本当ですか?」


少年たちが嬉しそうに駆け出す。

アルベルトもそのあとをついていった。

セレナは紅茶を口に運びながら、その背中を眺めた。

以前なら、興味がなければ断っていた。

それが今では、誘いに応じることもある。


少しずつ。

本当に少しずつだけれど。

変わってきているのかもしれない。

そう思うと、なんだか嬉しかった。





「楽しかったです?」


帰りの廊下で聞いてみた。


「別に」

「まあ」


あまりにも早い返事に、思わず笑う。


「では、なぜ?」

「セレナが笑ったから」

「……はい?」

「行った方がよかったんでしょう?」


セレナは足を止めた。

アルベルトだけが、そのまま数歩先へ行く。


「アル」

「なに?」


振り返ったアルベルトは、いつも通りの顔をしていた。


「もしかして、いつもわたくしを見て決めています?」

「うん」

「…………」

「違った?」


違った。

かなり違った。

てっきり、相手のことを考えられるようになってきたのだと思っていた。


「では、わたくしがいないときは?」


アルベルトは少し考えた。


「セレナならどうするか考える」

「それも違います!」


即座に返すと、アルベルトの眉が寄った。


「じゃあ」


本当に分からないらしい。


「セレナが正解じゃないの?」

「違います!」

「そうなの?」

「そうです!」


なぜそこで驚くのだ。

セレナはアルベルトのところまで歩いていった。


「アル。わたくしだって間違えますのよ」

「ふうん」


絶対に信じていない顔だった。


「とにかく。何でもわたくしを見て決めるのはやめてくださいませ」

「じゃあ、どうするの?」

「まず、ご自分で考えるんです」

「何を?」

「アルがどうしたいかですわ」


アルベルトが黙った。

どうやら考えているらしい。

セレナも黙って待つ。

やがて、アルベルトが手を差し出した。


「……何ですの?」

「手」

「それは分かります」

「繋ぎたい」


セレナはその手を見る。

それから、アルベルトを見た。


「それは、わたくしを見て決めました?」

「違うよ。僕が繋ぎたい」


今度は迷いがなかった。

セレナは少しだけ笑った。


「では、どうぞ」


手を重ねる。

アルベルトの指が、すぐに握り返してきた。

二人でまた廊下を歩き出す。

数歩進んだところで。


「セレナ」

「なんですの?」

「これは正解?」


セレナは隣を見る。


「どうでしょう」

「でも、セレナも繋いでる」

「そうですわね」

「じゃあ正解」


満足そうに言って、繋いだ手を揺らす。

セレナは笑った。


「……まあ、今日はそれでいいですわ」


どうやら。


矯正には、まだもう少し時間がかかりそうだった。

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