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護衛対象は、お嬢様でした。  作者: 愚兎
文化祭、してみました。
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6

「よーし!」

黄瀬がパンッと手を叩く。

「衣装合わせも終わったことだし!」

「最後にみんなで記念写真撮ろうぜ!」

「賛成!」

青嶌さんが元気よく手を挙げる。

「文化祭前日って感じする!」

「では、先生にお願いしましょう。」

小紫さんが北条先生へ声を掛ける。

「先生。」

「写真をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「おう、任せろ。」

北条先生は笑いながらスマートフォンを取り出した。

「じゃあ並べ並べ!」

北条先生が手を叩く。

「男子後ろ!女子前!」

「先生!」

黄瀬が勢いよく手を挙げる。

「俺、青嶌さんの隣がいい!」

「……は?」

青嶌さんが思わず聞き返す。

「なんでよ。」

「ん?」

黄瀬はキョトンとした顔をすると、悪びれもせず答えた。

「好きだから?」

「はぁ!?」

青嶌さんは思わず一歩後ずさる。

「そんなサラッと言う!?」

「え?」

「ダメだった?」

「ダメとかじゃなくて!」

「もっとこう……あるでしょ!」

「段階とか!」

黄瀬は腕を組んで真剣に考える素振りを見せる。

「なるほど。」

「じゃあ、友達からお願いします。」

「そういう問題じゃない!」

教室中がどっと笑いに包まれる。

北条先生は呆れたようにため息をついた。

「黄瀬。」

「写真撮るだけで何を告白してる。」

「いやぁ、つい。」

「つい、じゃない!」

青嶌さんは顔を真っ赤にしながら黄瀬の背中を軽く叩いた。

「もう!」

「写真終わるまで喋んな!」

「えー。」

「それは困る。」

「困っとけ!」

再び教室に笑い声が響き渡った。

「よーし、いい写真撮れたぞ!」

北条先生がスマートフォンを確認しながら満足そうに頷く。

「みんないい笑顔だ。」

「文化祭が終わったら、この写真もクラスの思い出として配るからな。」

「やったー!」

教室から歓声が上がる。

「それじゃあ今日はここまで!」

「戸締まりだけ確認したら解散!」

「「「はーい!」」」

俺たちは最後の片付けを始めた。

机や椅子の位置を整え、忘れ物がないかを確認する。

教室の照明を消すと、夕日に照らされた大正喫茶だけが静かに浮かび上がっていた。

「いよいよ明日かぁ。」

黄瀬が大きく伸びをする。

「なんか緊張してきた!」

「黄瀬君が緊張することなんてあるんですね。」

小紫さんが少し驚いたように言う。

「あるある!」

「失敗して追い出されたらどうしよう!」

「それは黄瀬君ならありそう。」

青嶌さんがさらっと言うと、

「ひどっ!」

黄瀬が大げさに肩を落とす。

神白さんも口元に手を添えながらくすりと笑う。

北条先生は教室のドアを閉めると、俺たちへ振り返った。

「今日は早く帰ってしっかり休め。」

「明日は朝から忙しいぞ。」

「「「はい!」」」

俺たちは職員室前で先生と別れ、それぞれ荷物を持って昇降口へ向かう。

夕焼けに染まる校舎を背に、六人で校門を出た。

「いやぁ、いよいよ明日っスね!」

黄瀬は大きく背伸びをしながら笑う。

「楽しみすぎて今日寝られるかな!」

「寝坊だけはしないでくださいね。」

小紫さんがくすりと笑う。

「大丈夫大丈夫!」

「俺、こう見えて本番には強いから!」

「その自信はどこから来るのよ。」

青嶌さんが呆れたように肩をすくめる。

「日頃の行い!」

「それを自分で言う?」

そんな他愛もない会話を交わしながら、俺たちは神白さんの屋敷へ向かう。

文化祭前日ということもあり、どこか皆の足取りは軽かった。

屋敷へ到着すると、大きな門がゆっくりと開く。

「皆さん、本日もありがとうございました。」

近衛さんが穏やかな笑みで俺たちを迎えた。

「いえ、いつも通りですから。」

俺が答えると、近衛さんは小さく頭を下げる。

神白さんも俺たちへ向き直った。

「皆さん。」

「明日はいよいよ文化祭ですね。」

「はい。」

「皆さんと一緒に迎えられることを、とても楽しみにしています。」

そう言って柔らかく微笑む。

「俺も楽しみ!」

黄瀬が真っ先に手を挙げる。

「絶対成功させような!」

「はい。」

神白さんは嬉しそうに頷いた。

「それでは、また明日。」

「あぁ。」

「また明日。」

神白さんが屋敷へ入っていくのを見届けると、俺たちは再び歩き出した。

「さて!」

黄瀬が両手を頭の後ろで組む。

「明日は大忙しだ!」

「今日は早く寝るぞー!」

「黄瀬君がそれを守れたら奇跡ですね。」

小紫さんがさらりと言う。

「ひどくない!?」

「俺だって寝る時は寝る!」

「その言葉、信用できないなぁ。」

青嶌さんが笑い、またいつもの賑やかな空気が戻る。

夕焼けに染まる帰り道。

明日への期待を胸に、俺たちはそれぞれの家路へと向かった。

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