8
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
これをもちまして、キャラクターたちの自己紹介パートは一区切りとなります。
次回からは、いよいよ本格的に物語が動き始めます。
もし少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価などで応援していただけると大変励みになります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
一頻り自己紹介が終わったタイミングで、再びスピーカーからチャイムが鳴り響く。
「さて、出席番号順に並んで体育館へ移動するぞ」
先生の指示で、生徒たちは廊下へ出て二列に並び始めた。
ぞろぞろと列を作り、体育館へ向かって歩き出す。
「朝陽って、部活どうするん?」
出席番号が近い黄瀬が、気軽な調子で話しかけてきた。
「まだ決めてない。……というより、バイトでもしようかなって思ってる。」
「へぇ、珍しいじゃん。なんで?」
「家が母子家庭なんだ。少しでも母さんの力になれたらって思ってさ。」
もちろん、祖父から古武術を教わっているから部活動に未練がない、という理由もある。
だが、一番の理由はそれだった。
黄瀬は少しだけ目を丸くすると、すぐにいつもの笑顔を浮かべた。
「そっか。」
それだけだった。
気を遣って励ますわけでもなく、変に同情するわけでもない。
ただ、変わらず笑って頷いてくれた。
その何気ない一言が、不思議と心に染みた。
入学式も無事に終わり、教室へ戻ると担任からの連絡事項や教科書の配布、提出物の回収などが行われた。
慌ただしかった一日も終わりを迎え、北条先生が出席簿を閉じる。
「今日はここまでだ。みんな、気を付けて帰れよ。」
「「ありがとうございました!」」
教室中に返事が響く。
席を立つ者、友達と話し始める者、連絡先を交換する者。
それぞれが思い思いの入学初日を締めくくっていた。
もちろん、俺もその一人だ。
「ふぁ〜……終わったー!」
黄瀬が大きく伸びをしながら欠伸を漏らす。
「初日って意外と疲れるねぇ。」
「お疲れ様でした。」
神白が小さく微笑みながら頭を下げる。
「ほんとだね! 教科書重っ!」
青嶌は苦笑いしながら、教科書で膨らんだ鞄を背負い直した。
「じゃあ、帰ろっか!」
その一言に、自然と三人の視線が俺へ向く。
「……え?」
「朝陽も一緒でしょ?」
黄瀬が当然のように言った。
思わず周囲を見回す。
俺…?
一瞬、本気で誰のことを言っているのか分からなかった。
「あれ? 朝陽?」
黄瀬が不思議そうに首を傾げる。
「あ、いや……俺も?」
「当たり前じゃん。」
まるで「何を言ってるんだ?」とでも言いたげな顔だった。
「もう友達なんだからさ。」
その一言に、胸の奥が少しだけ熱くなる。
友達。
その言葉を、こんなにも自然に向けられたのは初めてだった。
「……じゃあ、お言葉に甘えて。」
少し照れ臭くなりながら答えると、
「よし決まり!」
黄瀬が満足そうに笑った。
「駅までですけど、ご一緒してもよろしいですか?」
神白が穏やかに尋ねる。
「もちろん!」
青嶌が元気よく頷く。
「人数多い方が楽しいしね!」
そうして俺は、人生で初めてと言っていいくらい自然な形で、同級生と一緒に帰ることになった。
本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。
まだまだ読者の方も少なく、皆様がどのように感じられたか、そわそわとした気持ちでおります。
どのような些細なことでも、また率直なご意見でも大変励みになりますので、一言だけでも感想をいただけますと幸いです。
最後に気に入って頂けたら、ブックマークと評価のほど宜しくお願い致します




