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護衛対象は、お嬢様でした。  作者: 愚兎
初登校、してみました。
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7

「次、11番」


「はい……」

俺の次に呼ばれた彼女は、静かに立ち上がった。

艶のある髪は、光の加減でわずかに紫を帯びたセンターパートのロングヘア。腰近くまで伸びたその髪は丁寧に手入れされており、切れ長の瞳とすっと通った鼻筋が知的で凛とした印象を与える。

やや吊り気味の目元は鋭く、高校生とは思えないほど落ち着いた立ち居振る舞いと、大人びた雰囲気が自然と周囲の視線を集めていた。


「小紫楓と申します。」

澄んだ声が教室に響く。


その瞬間だった。

(……ん?)

言葉では説明できない違和感が胸をよぎる。

顔立ちでも、声でもない。

立ち方だ。

頭のてっぺんの天道から人中、水月、丹田を意識し、両足は肩幅よりわずかに狭く、重心はほんの少しだけ前寄り。

力を抜いて立っているように見えるのに、全身が妙に安定している。

まるで――

いつでも動き出せるように。

祖父に何度も叩き込まれた黒鉄流古武術の基本姿勢。

もちろん完全に同じではない。

それでも、どこかそれに通じるものを感じた。

(……気のせい、か。)

ただ立っているだけで、そんなことを考える方がおかしい。


俺はそう自分に言い聞かせ、意識を自己紹介へ戻した。

その後も順番に自己紹介が始まる。

野球部だった男子。

吹奏楽部だった女子。

ゲームが好きな生徒。

犬を飼っている生徒。

どこにでもありそうな自己紹介が続いていく。

(……平和だ。)

それだけで少し安心した。

誰も喧嘩を売らない。

誰も睨み返してこない。

そんな当たり前の光景が、俺には少し新鮮だった。



――どうか、このまま何事もなく終わってくれ。

その願いが、あまりにも甘かったことを、このときの俺はまだ知らない。

本作をお読みいただき、誠にありがとうございます。

まだまだ読者の方も少なく、皆様がどのように感じられたか、そわそわとした気持ちでおります。

どのような些細なことでも、また率直なご意見でも大変励みになりますので、一言だけでも感想をいただけますと幸いです。


最後に気に入って頂けたら、ブックマークと評価のほど宜しくお願い致します

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