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護衛対象は、お嬢様でした。  作者: 愚兎
SOSに、こたえてみました。
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13

私、格闘技って共通する部分が多い気がするんです。でもカポエイラは、オフェンスに対するディフェンスの仕方だったり。

オフェンス時のおこりだったりが全く分からなくて難しいです!笑

一方その頃。

「すぐに倒れないでよ!」

隼人が無邪気な笑みを浮かべる。

次の瞬間、身体を左右へゆっくりと揺らし始めた。

一定のリズムで足を運び、上半身も滑らかに揺れる。

まるで踊っているような、不思議なステップ。

「……あ。」

黄瀬が目を細める。

「動画で見たことあるな。」

「たしか……ジンガって言ったはず。」

隼人の口元が嬉しそうに緩んだ。

「へぇ。」

「カポエイラ知ってるんだ。」

黄瀬は肩をすくめる。

「一回見れば、だいたい覚えてるよ。」

「そうなんだ。」

隼人は笑顔のまま頷く。

「でもね。」

「知ってるだけじゃ、避けられないけど。」

言い終わるより早く、隼人の身体が動いた。

身体を大きく回転させながら、左手を床につく。

そのまま遠心力を乗せた踵が、弧を描いて襲いかかる。

メイア・ルーア・ジ・コンパッソ。

死角から飛び込んできた回転蹴り。

「なっ!」

黄瀬の視界から一瞬、隼人の姿が消えた。

気付いた時には、踵がすぐ横まで迫っている。

反射的に後ろへ飛び退く。

ブォンッ!

踵が鼻先を掠め、風圧だけが頬を叩いた。

「危ねぇ!」

黄瀬は着地と同時に距離を取る。

隼人は目を輝かせた。

「へぇ。」

「避けるんだ。」

その笑顔はますます楽しそうだった。

「じゃあ……。」

「次はどうかな。」

身体を大きく捻り、そのまま宙へ舞う。

手を使わずに繰り出す側転。

勢いを乗せた踵が、真上から黄瀬の頭目掛けて振り下ろされる。

「くっ!」

黄瀬は咄嗟に一歩後ろへ下がる。

踵は鼻先をわずかに掠め、そのまま勢いよく床へ叩きつけられた。

ドガァンッ!!

近くに転がっていた古い木の板が、衝撃で粉々に砕け散る。

飛び散った木片が、店内へ乾いた音を響かせた。

黄瀬は距離を取りながら、小さく息を吐いた。

(……やりづらい。)

さっきから隼人の動きに一定のリズムがない。

右へ揺れたと思えば左へ。

身体全体が常に動き続け、狙いが定まらない。

普通の格闘技とはまるで違う。

そんな黄瀬の表情を見て、隼人は嬉しそうに笑った。

「いい顔。」

「ちゃんと考えてるんだね。」

「でも、それじゃ遅いよ。」

黄瀬は口元を吊り上げる。

「だったら……。」

「今度はこっちからだ!」

左足を一歩踏み込む。

「シッ!」

鋭い左ジャブ。

間髪入れず右ストレートを打ち込む。

しかし。

隼人はジンガを崩さない。

左右へ頭を揺らしながら、拳を紙一重でかわしていく。

「うわっ、当たらねぇ!」

黄瀬はすぐに切り替えた。

右足をさらに踏み込み、身体を勢いよく反転させる。

腰の回転を乗せた左足が、一直線に伸びる。

踵を押し込むような回し蹴り。

「これならどうだ!」

唸りを上げた蹴りが隼人の頭部を襲う。

だが。

隼人は前屈みになるように、すっと真下へ沈み込んだ。

頭上を蹴りが通り過ぎる。

「えっ!?」

避けた。

そう思った次の瞬間だった。

低い姿勢のまま、隼人の足が黄瀬の軸足へ絡みつく。

地面に着いた足の後ろへ巧みに引っ掛けると、そのまま手前へ軽く引き寄せた。

「しまっ――」

バランスが一気に崩れる。

「ぐっ!」

黄瀬の身体が大きく傾く。

必死に踏ん張ろうとするが、体勢は完全に崩されていた。

「隙だらけ。」

隼人は楽しそうに笑う。

そのまま身体をくるりと回転させる。

地面へ片手をつく。

次の瞬間。

下から鋭く跳ね上がる踵。

「っ!」

黄瀬は咄嗟に両腕を交差させた。

ドゴッ!!

重い衝撃が腕越しに伝わる。

「ぐあっ!」

勢いのまま吹き飛ばされ、床を転がった。

「黄瀬!」

朝陽が思わず声を上げる。

黄瀬は転がりながら受け身を取り、片膝をついて立ち上がる。

腕がじんじんと痺れていた。

(重っ……。)

(蹴り一発でこの威力かよ。)

隼人はそんな黄瀬を見て、目を輝かせた。

「へぇ。」

「今のでも立てるんだ。」

「すごいね。」

まるで子どもがお気に入りのおもちゃを見つけたような笑顔だった。

「もっと遊べそう。」

そう言うと、隼人は再びジンガを始める。

左右へ、左右へ。

一定のようで一定ではない独特のリズム。

視線まで揺れているように見え、次にどこから攻撃が来るのかまったく読めない。

黄瀬は拳を握り直し、小さく笑った。

「……なるほど。」

「そういうタイプか。」

口元の血を親指で拭う。

「だったら。」

「全部見切ってやる。」

隼人は嬉しそうに笑った。

「その顔。」

「いいねぇ。」

「やっと楽しくなってきた。」

ここからは戦闘なので更新が遅くなります。

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