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護衛対象は、お嬢様でした。  作者: 愚兎
SOSに、こたえてみました。
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「それが俺の流儀だ。」

店内に重苦しい沈黙が流れる。

その静寂を破ったのは緋乃だった。

「待て。」

一歩前へ出る。

「この人数相手に、その言葉をそのまま信用しろってか?」

天宮は鼻で笑った。

「疑うのも無理はねぇな。」

「だが安心しろ。」

「俺はなぁ、タイマンに横槍を入れるほどダセぇ真似はしねぇ。」

そう言うと、天宮は後ろを振り返る。

「なぁ、お前ら。」

鷹取が眼鏡を押し上げる。

「異論ありません。」

「私も無駄な戦力は使いたくありませんから。」

鷲尾はガムを噛みながら肩を回した。

「どっちでもいいけど、女の子がいいなぁ。」

隼人は嬉しそうに手を叩く。

「オレも何でもいいよぉ。」

天宮は再び俺たちへ向き直る。

「決まりだ。」

「好きな相手を選べ。」

「それとも、こっちで決めてやろうか?」

その言葉を聞いた瞬間。

緋乃が一歩前へ出る。

「眼鏡。」

「お前だ。」

鷹取は小さく笑う。

「私ですか。」

「構いません。」

「どこまで出来るか見せてもらいましょう。」

「後悔させてやる。」

緋乃が拳を握る。

「次は私です。」

青嶌さんは静かに一歩前へ出た。

その表情から笑みは消えている。

「さっきから聞いていれば……。」

静かな声だった。

だが、その瞳にははっきりと怒りが宿っていた。

「女性を馬鹿にするような発言ばかり。」

「正直、不愉快です。」

鷲尾は青嶌さんを舐め回すように見つめ、口元を歪めた。

「お姉さん。」

「そんな細い腕で喧嘩なんかしなくていいって。」

ゆっくりと青嶌さんへ歩み寄る。

「俺が可愛がってやるからさ。」

店の奥を親指で指した。

「ほら、あっちにVIPルームがある。」

「二人でゆっくり楽しもうぜ。」

「優しくしてあげるからさ。」

店内に下卑た笑いが響く。

その時だった。

「……朝陽。」

隣で黄瀬が低い声を漏らす。

「どうした?」

黄瀬は鷲尾を睨みつけたまま言った。

「なんかアイツ……。」

「すっげぇムカつく。」

「俺がやっていい?」

俺は思わず苦笑する。

「青嶌さんが相手をすると言ったぞ?」

「それはそうなんだけどさ……。」

「青嶌さん、女の子だし。それに……。」

黄瀬は頭を掻きながら小さく呟く。

「なんか、あの人があんな奴に絡まれてるの見てると……。」

「腹が立つ。」

青嶌さんはそんな黄瀬を見て、ふっと笑う。

「ありがとう。」

「でも、この人は私が相手をします。」

「伊吹様に手を出し、女性を見下す人には……。」

「一度、現実を教えてあげないといけませんから。」

その言葉に、黄瀬は肩をすくめながら一歩下がる。

「……分かった。」

「でもヤバそうになったら、俺が飛び込むから。」

青嶌さんは小さく頷いた。

「その時はお願いします。」

青嶌さんは一歩前へ出た。

その背中を見ながら、俺は小さく声を掛ける。

「……青嶌さん。」

「はい?」

「それ。」

「完全に護衛の動きになってるけど、隠さなくていいのか?」

その一言で、青嶌さんの肩がぴくりと震えた。

「……あ。」

「わ、私としたことが。」

困ったように額へ手を当てる。

「つい、体が先に動いてしまいました。」

「どうする?」

「皆に気付かれるんじゃないか?」

青嶌さんは少し考え、小さく息を吐いた。

「……大丈夫です。」

「黒鉄くんのお祖父様の道場で護身術を教わっている、と話してありますので。」

「そのまま押し切ります。」

「押し切れるのか?」

「……押し切ります。」

その言葉に、俺は思わず笑ってしまった。

「分かった。」

「なら、それでいこう。」

青嶌さんも小さく微笑んだ。

「ありがとうございます。」

そう言うと、再び鷲尾へ向き直る。

その瞬間。

穏やかな青嶌さんの姿は消え、一人の護衛としての鋭い眼差しへ変わっていた。

すると、それまで黙っていた隼人が黄瀬を指差した。

「ねぇ。」

「さっきからうるさいキミ。」

「オレと遊ぼうよ。」

黄瀬は眉をひそめる。

「はぁ?」

隼人は無邪気な笑顔を浮かべたまま続ける。

「大丈夫。」

「すぐ終わるから。」

「言ってくれるじゃねぇか!」

黄瀬は拳を握り締める。

「望むところだ!」

天宮は満足そうに頷き、最後に俺を見る。

「で。」

「残ったのは俺とお前だ。」

俺は静かに一歩前へ出た。

「望むところだ。」

天宮は口角を吊り上げた。

「その目。」

「ますます気に入ったぜ。」

店内の空気が張り詰める。

誰も言葉を発しない。

天宮が拳を鳴らした。

それを合図に、四人の幹部が同時に前へ踏み出す。

俺たちも、それぞれ拳を構えた。

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