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護衛対象は、お嬢様でした。  作者: 愚兎
中間テスト、やってみました。
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12

道場を出る前。

「今日はありがとうございました。」

全員が深々と頭を下げる。

祖父は嬉しそうに笑った。

「またいつでも来なさい。」

「朝陽は、サボるでないぞ。」

「分かったよ。」

「また来ます!」

黄瀬が元気よく手を振る。

「次は俺も強くなってから!」

「まずは茶ばっか飲まずに体を動かせ。」

「うっ……。」

その一言に皆が笑う。

俺たちは祖父へもう一度頭を下げ、道場を後にした。


・・・

駅までの帰り道。

「今日は楽しかったね。」

青嶌さんが笑う。

「うん。」

神白さんも頷いた。

「黒鉄流のお話、とても勉強になりました。」

「また行きたいな!」

黄瀬が笑う。

「次こそ俺も稽古……」

「いや、やっぱ見学で。」

「だろうね。」

道中喋りながら歩いていると、あっという間に駅前へ着いた。

「じゃあ、また月曜日。」

「またね。」

「気を付けて帰れよ。」

それぞれ手を振り、帰路につく。

神白さんは迎えの車へ。

黄瀬と青嶌さんは駅の改札へ。

「それじゃ。」

小紫さんも俺へ微笑む。

「今日はありがとう、黒鉄くん。」

「こちらこそ。」

「また学校で。」

「ええ。」

そう言って小紫さんは静かに歩き出した。

その背中を見送り、俺も家路につく。


◇ ◇ ◇ ◇

数分後。

人気のない路地。

小紫は歩みを止める。

楽しげだった表情は消え、静かにスマートフォンを取り出した。

数回のコール音。

『……もしもし。』

落ち着いた声。

ロゼだった。

「報告します。」

『聞かせて。』

「黒鉄流古武術への接触は成功しました。」

「黒鉄天元とも直接会っています。」

『それで?』

小紫は淡々と続ける。

「黒鉄流は想像以上に実戦的です。」

「型を重視する古武術という印象でしたが、それだけではありません。」

「一つひとつの動きが、実戦を前提として組み立てられています。」

ロゼは黙って聞いている。

「稽古にも参加しました。」

「そこで感じたのですが……。」

ほんの少しだけ言葉を選ぶ。

「黒鉄流には、私たちの征砕流と通じる部分があります。」

『……それで。』

ロゼの声色が少し変わった。

「重心移動。」

「間合い。」

「相手の力を利用する考え方。」

「細かな違いはありますが、根本の理論に共通点を感じました。」

短い沈黙。

『面白い報告ね。』

ロゼは小さく笑う。

「あるいは……。」

小紫は静かに空を見上げる。

「征砕流の源流と、どこかで繋がっている可能性も否定できません。」

ロゼは数秒黙ったあと、静かに言った。

『そうね、念の為総司令には私から報告しておくわ』

『あなたは、引き続き頼んだわよ。』

『黒鉄流も。』

『そして黒鉄朝陽と神白伊吹との関係も。』

「承知しました。」

通話が切れる。

小紫はスマートフォンをしまうと、小さく息を吐いた。

「黒鉄流……。」

その名を静かに呟きながら、夕暮れの街へと歩き出した。

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