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アサイーボウルを食べ終わる頃には、少しだけ風が涼しくなっていた。
「なんかさ。」
黄瀬が伸びをする。
「甘いものって無限にいける気がするんだけど。」
「それはお前だけだ。」
「えー?」
青嶌さんが笑う。
「じゃあ最後、ちょっと休憩しない?」
「賛成。」
神白さんも頷く。
「喉も少し渇きましたし。」
ということで、俺たちは近くの喫茶店に入った。
落ち着いた木目の店内で、さっきまでの騒がしさが少し遠のく。
それぞれ注文を決める。
「紅茶ストレート。」
神白さん。
「レモンティーで。」
青嶌さん。
「コーラ!」
黄瀬。
「アイスコーヒー。」
小紫さん。
「烏龍茶で。」
俺。
飲み物が揃うと、ようやく一息ついた感じがした。
「ふぅ……。」
黄瀬が椅子に寄りかかる。
「生き返る〜。」
「大げさ。」
俺が呟くと、テーブルの空気が少し緩む。
その時だった。
「ねぇ。」
小紫さんがストローをくるくる回しながら言った。
「私最近、格闘技に興味があるの。」
「格闘技?」
俺が聞き返す。
「ええ。」
「テレビで少し見てから気になって。」
「強くなるには、どういう練習をするのかなって。」
「へぇ。」
青嶌さんが感心する。
「意外だね。」
「小紫さんって、そういうの興味あるんだ。」
「少しだけ。」
「知識があると、身を守ることもできますから。」
「なるほど。」
すると黄瀬が「あっ!」と声を上げた。
「そうだ!」
「朝陽んちって古武術やってるんだぜ!」
「古武術?」
小紫さんが驚いたように目を見開く。
「うん。」
俺は頷く。
「祖父から教わってる。」
「黒鉄流っていう古武術。」
「へぇそうなのね。」
「めちゃくちゃ強いんだぞ!」
「この前なんか――」
「余計なことは言わない。」
俺が慌てて止める。
「なんだよ。」
「本当のことじゃん。」
小紫さんは興味深そうに俺を見つめた。
「黒鉄くん。」
「もしご迷惑でなければ……。」
「今度、お邪魔してもいいかしら?」
「実際に見てみたいの。」
「え?」
突然の申し出に少し戸惑う。
すると――
「わ、私も!」
神白さんが思わず大きな声を出した。
全員の視線が集まる。
「あっ……。」
神白さんは顔を真っ赤にしながら慌てて言い直す。
「えっと、その……。」
「私も興味…あります。」
「じゃあ私も行きたい!」
青嶌さんが笑いながら手を上げる。
「えー楽しそう!」
「じゃあ俺も!」
黄瀬まで乗ってくる。
俺は思わず額を押さえた。
「いや待て。」
「明日ちょっと道場に顔出すつもりだけどさ。」
「ちょ、ちょっと待って。」
「じいちゃんに確認しないと無理だって。」
「えー。」
「えーじゃない。」
テーブルの上が一気にざわつく。
神白さんは少し不安そうに、
「迷惑じゃなければ……」
と小さく言い、
小紫さんは興味深そうにグラスを見つめながら、
「楽しみね」
と静かに笑った。
(……なんでこうなるんだよ。)
俺は烏龍茶を一口飲みながら、深く息を吐いた。
明日が少しだけ、面倒で――
でも、どこか少しだけ楽しみでもあった




